オーディオテクニカ AT-35X

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 中高域が多少張り出す感じだが、耳ざわりなピークもなく、圧迫感のない滑らかな音を聴かせる。中低域は幾らかふくみ声のような丸い感じでおとなしいが、総体に明るい新野しっかりした音質で、音像が甘くならない。特に弦合奏はつややかでハーモニーが美しい。ピアノの音色も独特で、コロコロとタッチが明瞭。ロスアンヘレスの声はやや中抜けのような気がするが、ヴェルディの大合唱で男声がしっかりきれいにハモるのは、音のバランスに難点が少ないためだろう。ジャズはややおとなしく迫力に欠けるが、近接感を伴って楽しく聴ける。立夏如何がよく出るが大編成のフォルティシモでは、音が僅かに荒くなる傾向がなくてもない。しかしトレースは割合安定している。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆☆
弦楽器:☆☆☆☆☆
声楽:☆☆☆★
コーラス:☆☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆☆★
ムード:☆☆☆☆★
打楽器:☆☆☆☆★
総合評価:90
コストパフォーマンス:100

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