ソニー PS-X9

瀬川冬樹

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「ハイクォリティ・プレーヤーシステムの実力診断」より

●音質/附属のカートリッジ(XL55Pro)は参考にとどめ、他機と同じくMC30、EMT、DL303を主に試聴した。こんにちのように高級プレーヤーの音質の解析が深くおこなわれる以前の製品としては、相当に水準の高い音を聴かせる。切れこみがよく、鮮度の高い印象の音がする。ただ、パーカッションが一発パッと入ると、音のスペクトラムが中〜高域寄りに散る感じがあって、大型機の割に低音の土台の支えが弱く、表面的な派手さで聴かせる傾向がわずかにあって、本当の充実感ではなく、どことなく空威張り的な音といえる。内蔵のヘッドアンプのほうに切換えてみると、MC30に対しては少々ゲイン不足で残留ノイズがいくぶん耳につく。附属カートリッジとの相性はさすがによく、ゲインは充分。音が一杯に出て、いかにも情報量が多い、という印象を与えるが、私の耳にはどうしても本当の充実感にきこえにくい。ずっと以前、本誌48号でのブラインドテストのときとは印象が違うのは、あのときのテスト機は、あとから本調子が出ていなかったことがわかったそうで、フローティングの有無によっても音が変わるそうだ。
●デザイン・操作性/スイッチ類の配置は仲々キメ細かく、感触も仕上りも上出来である点はさすが。ただし、プレーヤー右手前の部分は、アームの操作のために右手が頻繁に往復するので、速度切替スイッチのボタンの軽いタッチが仇となって、不用意に触れてしまうおそれがあり、人間工学的にはここが問題点となる。アームは素晴らしい精度で組立てられていて、ゼロバランスをとってみると、感度の良さでは今回のテスト機中一〜二を争う出来栄えであることがわかる。スタジオ機的雰囲気は、EMTがイメージとしてあるように思えるが、いかにもソニーらしい手馴れた創りと仕上げに、魅力を感じる愛好家も多いことだろう。

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