瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
市販品のなかでは最も標準的なサイズの外形寸法で、同社のTA1166プリメイン・アンプと最もよく合うようにデザインさて居る。パネル中央を大きく窓にして、その中央に同調ツマミを置くというユニークな意匠で、ソニー特有のたいそう理性的な、クールな印象を与える。
大型の同調ツマミの上側に、実効長約20センチと比較的長いダイアルスケールが置かれ、FM目盛は等間隔で明快に刻まれている。ツマミの左側に二個のメーターがあるが、右手でツマミを廻し、メーターのふれを目で追うにはこの位置が適当で、当然のことながらよく考えられた配置といえる。さすがにメーター指針の応答速度やダンピングもよく調整してあり、同調はたいへん容易にとれる。ただ、ダイアル指針はやや不明瞭で、周囲の明るさによっては少々見えにくい場合がある。パネル面の操作機能も、バックパネルの端子面もよく整理され、色調や視覚表示なども手堅く渋い。
その音質も誇張がなく抑制が利いたクールな音質を聴かせる。しかしあまりにも無色でむしろ素気ないほどドライな感じで、何かプラス・アルファを望みたくなるのは好みの問題だろうか。
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