瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
これもごく新しい製品で、プリメインの新形インテグラ725と同じプロポーションでデザインされている。ほかのメーカーとくらべると、シャーシの奥行が比較的深い。要するに真上から見おろすとほほ正方形に近く、パネルの幅が約31センチ強と小さいため、割合せまい場所にでもチューナーとプリメインを並べて置くことができるのはひとつの特徴である。二台並べて約63センチだから、長い方の横綱であるサンスイ888の二台合計約92センチとくらべると30センチもの差になる。
多くのチューナーが左右に長くダイアルスケールをとっているのに対し、この製品では目盛を上下方向に使っているため、スケールの有効長がわずか7センチと短かくなるのは致し方ないが、チューニングメーター(針のふれ最小点が同調点を示す Null タイプ)の応答速度とダンピングが、手の動きとうまく合わないように思われる。
おそらく、いわゆる色づけのないフラットな音色をねらった設計と思われるが、実際とりたてて書くべきところがなくて困るほど、まともで正統的な音質である。
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