ローテル RT-320

瀬川冬樹

ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より

 小型/ローコストの、ちょっとしゃれた雰囲気を持ったチューナーだ。一見してどことなくトリオに似たイメージがあるのはメーカーにとって損だと思うが、ローコスト機としてはなかなかうまくまとめた製品のようだ。ダイアルスケールは実効長約13センチ。このクラスとしては長い方に属する。目盛は等間隔ではないが、よけいな文字が書いてないためわずらわしさがなく、指針が明るく証明されることやメーターのスケールが読みとりやすいことなどとあいまって、同調はわりあいにとりやすい方だ。ただ、ダイアル指針の光りぐあいは、もう少し色と明るさをおさえた方が品格が上るのではないかと思う。
 大型の同調ツマミが一個あるだけであとは左下に電源スイッチを含み三個のプッシュボタンがあるだけのまことに簡潔なコントロールだが、プッシュボタン中央のMODEという表示は、何のことかとちょっと考えないと意味が不明瞭で、もう少し表示の方法を考えてもらいたい。
 総体に、ハーマンカードンの製品を製造しているこのメーカーらしく、無理のない手なれた作り方である。

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