瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
海外のパワーアンプでも、たとえばDBシステムズのDB6や、GASの Grandson のように、40W×2という公称出力から予想されるよりもはるかに力感のある音を鳴らすアンプにくらべると、QUAD303は、公称の45W×2の出力がまさに額面どおりという感じの、音の力という点ではいささか小造りな音がする。それは単に出力の問題ばかりでなく、周波数レインジやダイナミックレインジという点からみても、こんにちの最新のアンプと比較すれば、いささか古さを感じさせる。けれど、このアンプの鳴らす小造りでひかえめな音の世界は、最近のいかにも音をみせびらかすようなアンプの中に混じると何とエレガントに聴こえることか。
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