瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
A15DCの弟分ということをかなり意識して仕上げたのか、それともむしろ意図して音の傾向を変えているのか、ともかくA15とはずいぶん音質が違う。兄貴分がかなり硬質の、むしろ金属質のハードでクールな音を聴かせたのに対して、A10DCの方はもう少し力の誇示をおさえて、おだやかな鳴り方をする。ただそれはあくまでもダイヤトーンどおしの比較の話で、他社の音の中に混じるとやはり硬質の傾向で、たとえば弦楽四重奏でもA15DCのときほど各声部を目立たせることはないが、本質的にポップス系志向の傾向はあって、弦や声はどちらかというと骨ばって聴こえる。反面、ポップスの打音の系統は、かなりシャープに浮き上って聴こえる。
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