瀬川冬樹
世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より
静かな水面を覗き込む感じの、肌ざわりの冷たい透明感、とでも言ったらいいたろうか。非常に滑らかで緻密にぴしりと埋めつくされたようで粗さが少しもない。マッキントッシュC32のあの享楽的な鳴り方とは正反対の意味の、とても慎重な鳴り方をする。ぜい肉をおさえこむタイプで、素性はとてもいいがときとしてもう少しふっくらと開花したような色っぽさが欲しく思われたりする。また、音の余韻の繊細な響きが、空間のどこまでも広がって漂い消えてゆく感じまでは十全に鳴らし切れない感じなので、楽器のまわりに漂う雰囲気まで感じさせるというところまではゆかなかった。しかし質的にはきわめて高度で、清潔感のあるクールな音色が特色となっている。
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