ヤマハ HP-1000

瀬川冬樹

Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より

 HP1000という命名から想像すると、おそらくスピーカーのNS1000に相当するようなヘッドフォンを意図して開発されたものだろうと思う。手にとった感じはズシリと重量感があり、HP1の軽快なイメージとはかなり異なる。密閉型ではパイオニアやKOSSなど500g級があるが、オープンエアタイプで500gというのはこれ一機種だ。耳にかけて首を振るとヘッドフォンの重さで頭が振られてしまう。基本的にはHP1と同じ原理のフラットダイナミックだが、その音質はさすがにぐんと密度が増した印象で、たとえが適当がどうかわからないが、同じヤマハのスピーカーで、NS690と1000エムを比べたようなクォリティの違いが聴きとれる。音のひとつひとつがしっかりと形造られ安定している。パワーにも全く強い。海外製品に聴きとれる一種の音の艶や色合いを避けた、いかにも日本の製品の鳴らす音だ。

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