瀬川冬樹
Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より
K140も低音が豊かな点が特徴のひとつだったが、K240の場合には、振動系にスピーカーでいえばドロンコーンの一種のような構造が採用されているとかで、そういう意図から読みとるまでもなく低音の量感がずば抜けている。もっとも、国産の一部に聴かれる貧血性のように低音の欠如したバランスに鳴らされてしまうと、しばらくのあいだはK240の低音がばかにオーバーのようにさえ思えることがあるが、しかしこれ一機種をしばらくのあいだ聴き込んでみれば、この低音は豊かでこそあれ決して音楽のバランスをこわすようなオーバーな鳴り方でないことが理解できる。こういう低域に埋もれなくするためか高域にもいくぶん強調が聴きとれ、それが独特の輝きのある音色として特徴づけられるがさすがにAKG,この音楽の鳴り方はほんものの響きだ。イヤパッドの径が大きく、耳ぜんたいをすっぽりくるむように当りが柔らかく、かけ心地も良い。
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