エレガ DR-196C

瀬川冬樹

Hi-Fiヘッドフォンのすべて(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「Hi-Fiヘッドフォンは何を選ぶか 47機種試聴リポート」より

 ちょっと類型のないユニークなデザインだが、ヘッドバンドをユニットの結合部など、何となくブリキ細工のようだし、ユニットのカバーの仕上げもオモチャふうで、せっかくのおもしろいデザインを材質や仕上げが生かしていないように思える。しかしかけ心地は意外に良好で、手にとっていじっているときは、バンドの金具とユニットのすり合わせの部分などカチャカチャと安っぽい音を出すが、頭におさまってしまうと、本体の軽いこともあるのだろうが耳によくフィットして、不快感はほとんど無く、よく考えられていることがわかる。音質は、中低域にほどよいふくらみを持たせたソフトな印象。ヴォーカルなども歌い手の声にあたたかみが感じられる。オーケストラのトゥッティでは、高域の倍音領域にもうひと息のひろがりがあるとなおよいが、しかしレインジはよく伸びているらしく、適度に色合いや艶も聴きとれ、かなり楽しめる音だと思った。

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