リン Kaber LS500

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底試聴する」より

 英国リンの新製品、ケイバーLS500は12・5cm口径のウーファー/ミッドバスと1・9cm口径のソフトドーム・トゥイーターを搭載した3ウェイ密閉型のスピーカーシステムである。
 外観から受ける印象は、ごく平均的なスピーカーであるが、エンクロージュア関係にはかなり特徴的な設計が見受けられるようだ。
 エンクロージュア前面のフロントグリルは、注意して見るとエンクロージュアサイズとの接合部の線が乱れているが、これは単純に布製のカバーを枠や骨組みなしに直接エンクロージュアに覆せてフロントグリルとしているためで、接合部には伸縮性のあるゴムヒモ的なものが縫い込まれている。
 エンクロージュアの底板部分には、例によって先端が鋭く尖った2本のスパイクを取り付け可能なIの字型をしたブロックを2個組み合せて、4本のスパイクでエンクロージュアを支える構造が採用されている。なおこのIの字型のブロックは、床板の前後方向と左右方向に2種類の取付けが可能であり、あらかじめ、Iの字型ブラケットに穴あけ加工が施されている。
この2種類の取付け方法はエンクロージュア底板の振動モードを異なったものにし、トータルシステムの音をコントロールしようとする構想のものだが、今回試聴をしたモデルは、ポジション1と取扱説明書による、Iの字型ブロックは前後方向である。
裏板部分の入力端子は、3個のユニットに対して各1系統が用意されており、ショートバーで全部結べば通常結線、上側と下側2系統を分ければバイワイアリング接続、全部独立させれば各ユニット専用のトライワイアリング接続となる。
 低音大音量時や高域微小音量時に、バイワイアリング接続、トライワイアリング接続にメリットがあると、取扱説明書に記してある。
 ケイバーの標準セッティングは、壁から10〜30cm離し、コーナーから少なくとも45cm離すことが条件であり、聴取位置を正三角形の頂点とするように左右スピーカーを置き、かつ内側に5〜10度向けて設置することものである。
 試聴は、3系統ある内の中央に結線して行なった。小音量時に音の鮮度や低域の反応が落ちない小口径型のメリットを巧みに引き出した音だが、かなりハイバランス型のため、SS試聴室では例外的な、壁からの距離を近くするというポジショニングを取った。
 壁からの距離が15cmほどで、ほぼ帯域バランスがとれた音になり、低域は少し軟調傾向があるが、中域から高域は素直で滑らかな音にまとまる。音像は柔らかく定位し、表情はマジメ型。設置方法が音を大きく左右する製品だ。

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