井上卓也
ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底試聴する」より
デンオンを代表する2000/3000シリーズのセパレート型アンプは発売以来、すでに10年を経たロングセラーを誇るシリーズである。’86年末に発売されたシリーズ3作目にあたる型番末尾にZRのついた従来のモデルが、アナログ時代の集大成を示したものであったことに比較して、デジタル時代のセパレート型アンプとして開発されたモデルが今回の新製品だ。
コントロールアンプ/PRA2000RGは、従来のZRの基本的デザインを受け継いでいるが、全体に丸みを帯びたデザインが採用され、鏡面研磨仕上げの見事な、リアルウッド・キャビネットがまず印象的である。またボリュウムコントロールのツマミには、南地中海沿岸に育つツツジ科の植物ホワイトヒースの根から造られたパイプ材料のブライヤー材を金属とサンドイッチ構造としたものを使用し、さらに深みのあるゴールド系のパネルフェイスも、従来モデルとはひと味違う雰囲気だ。
回路構成は、フォノイコライザー部が、出力段にパワーMOS・FETを採用し、最大許容入力500mVのMM型対応のアンプをベースとして、MC型には、LCーOFC巻線の昇圧トランスを採用している。各種入力を受けるフラットアンプは、トーンコントロールアンプを兼ねた設計で、全段にMOS・FETを搭載し、入力には差動増幅、プリドライブと出力のソースフォロワーには、フォノ系と同様なPc30WのパワーMOS・FETを採用している。高入力インピーダンスと低負荷ドライブ能力を両立させた、デジタル時代のフラットアンプといえる内容だ。
入力のCD2は平衡入力用だが、広帯域LCーOFC巻線トランス受けが特徴であり、フラットアンプの出力を受ける平衡入力段は、ディスクリート構成の新開発インバーテッドΣバランス型アンプである。
この回路は±47Vの高電圧動作で、独自の無帰還技術を発展させた歪除去回路により、抵歪、高SN比で充分に高いダイナミックレンジを確保している。
電源部は、整流回路にチョークコイルを使うLCーπ型が特徴で、イコライザー、L/Rフラットアンプ、平衡、出力アンプの4系統に定電圧回路で分割され、フォノイコライザーの電源はフロントパネルのポケット内スイッチでON/OFFして、CD入力時のS/N劣化を防止する設計である。なお、各種リレー表示ランプ用電源はトランスの別巻線から分離され供給される。
筐体構造に銅板、銅メッキ鉄板、銅メッキネジが全面的に採用されているのは、同社の最新CDプレーヤー/DCD 3500RGと同じ手法である。
部品関係では、ガラスエポキシ基板、L/R各チャンネルごとに2個のボリュウムを並列使用し接触抵抗を少なくし、高音質化する左右4連ボリュウム採用が今回の改良の主なポイントである。
POA3000RGステレオパワーアンプは、従来の無帰還方式ピュアダイナミックパワーアンプから、新しく独自に開発された「MOSスーパー・オプティカル・クラスA」と呼ばれる方式を採用している。
この回路は、ドライバー段の純A級動作領域を従来の10倍程度に拡大し、小・中出力時のクォリティを向上する目的で、2個のパワーMOS・FETをインバーテッド・ダーリントン接続とした回路で、これを支える回路に光素子を採用、主信号系と干渉がないバイアス制御回路からの信号をバイアス回路に光結合で送り制御すると言うハイスピード化を実現している。
入力系は、不平衡入力が標準で、平衡入力は、平衡↔︎不平衡変換アンプ経由で不平衡入力に入るが、別系統にBTL動作入力として、平衡入力と不平衡入力を独自のインバーテッドΣバランス回路で平衡出力とする系統を備えている。
筐体関係の外装は、PRA2000RGと共通のブライヤーサンドイッチの入力調整ツマミ、制振処理された天板の放熱スリット、明るい色調に変った出力メーターなどが特徴であり、放熱板取付分、筐体側板の鉄板、焼結合金脚部と底板間などに銅板が制振材として採用されている。
機能面は、バイワイアリング対応の並列接続されたバナナ対応型と極太コード対応型の異なる2系統の出力端子を持ち、出力メーターのON/OFFなどが備わる。
なお、電源は左右独立型の設計である。ウォーマップは約40分は必要である。
MC型入力では、音場感が奥深くフワッと拡がり、音像がソフトで小さい定位感と音の粒子が細かく磨かれた広帯域型の適度にリアリティのある音が聴かれる。CD入力不平衡では、素直な表情の音で、やや芯の弱さが残り、未完成な部分がありそうな音だ。平衡入力は、素直に細部を聴かせ、プログラムの情報量に反応する速さは従来にない魅力となっている。
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