菅野沖彦
ステレオサウンド 95号(1990年6月発行)
「BEST PRODUCTS 話題の新製品を徹底試聴する」より
ロゥランド ・リサーチから、ジェフ・ロゥランド・デザイン・グループと社名変更した米国コロラド州コロラド・スプリングスにあるこの会社は、高級アンプのメーカーとしての定評を確立した。まだ10年足らずしか社歴はないが、その間に発売したアンプの高品位、高信頼性が今日を築いたことはもちろんである。見るからにハイクォリティなアンプにふさわしい作りの確かさは、新進の小メーカーにありがちな信頼性への不安を感じさせなかった。新社名となってからの製品には、トップクォリティに加えて、操作性に実用的な配慮を見せ、家庭で使う趣味製品としての総合デザインの完成度を指向するコンセプトが明瞭に打ち出されてきたと思う。
新登場のコントロールアンプ/コンスメイトにも、当然、このことがはっきり現われており、若干未消化な部分は残しているが、エンスージアスティックなオーディオファイルが満足するクォリティを実用的な操作性にマッチさせる努力が結実した製品である。たとえば、そのボリュウムコントロールはマイクロプロセッサーによるコントロールで200段階の抵抗切替を行なうものだが、アップダウンはノーマルとハイスピードの両方のコントロールが可能であるし、ストアによって各インプットのレベルを聴感上バランスさせることもできるといった具合である。前面パネル上のプッシュボタンによって行えるほかに、別売のリモートコントローラーによっても操作できる。
入力は3本のバランスと、同じく3本のアンバランスを持ち、イン/アウトともにRCA、XLR両コネクターが使用できる。電源はセパレートタイプで、ほぼ同サイズの筐体を上下二段重ねて使える。もちろん、左右に水平においてもよいが、縦に重ねてもフラックスの悪影響を受けないとメーカーは保証している。
電源部はデュアルトロイダルトランスによる左右独立で、レギレーションはACラインフィルターにより十分配慮がなされ、極めてクリーンで安定した電源供給を実現している。回路的にはNFBを嫌ったクラスAのシンプルなもので、高品位パーツやディバイスの選択と洗練されたコンストラクションによってピュアナシグナルパスに努めたFET構成アンプである。
音はかなりクリアーで繊細の極みだが、決して冷たくもないし神経質でもない。ざらついた輝かしさや鋭いエッジの立つことを好まないロゥランドらしいまとめ方だ。コントラストの強い音ではなく、照明なら、適度なレフレックス効果が利いたソフトなグラデーションである。このムードが、冒頭に記したクリアーと両立するわけだから、これは本物のクリアーさなのだ。なお、フォノイコライザーは後日別売りで発売されるとのこと。
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