パイオニア S-570

井上卓也

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 S570は、パイオニアの新しいシステムラインナップとして登場したオール・デイ・コンポのネーミングをもつシリーズのスピーカーシステムとして開発された、26cmウーファー採用の3ウェイ製品である。なお、このシリーズはプリメインアンプA570/470、チューナーF570とS570の4機種が同時発売された。
 ウーファーは、コルゲーション入りのストレートコーンを発泡ウレタンロールエッジ、高耐熱ボイスコイルをセンターポール上部に銅キャップを装着した外径120mmフェライト磁石採用の磁気回路使用。10cmコーン型スコーカーは制動材塗布コルゲーションエッジ、銅クラッド・アルミ線エッジワイズボイスコイル使用で、ボイスコイル部分とコーンの接合精度を高くし、駆動速度を上げ伝達ロスを低くした設計だ。トゥイーターは後継25mmのユニークなボロン振動板採用のドーム型で、S180Aに採用されたものと同一ユニットだ。
 エンクロージュアはバスレフ型で、内容積45・5ℓ。外形寸法は高さ59cmの中型ブックシェルフで、ユニット配置は左右対称型、集中は位置でタテ、ヨコ位置での音像定位を両立させる設計である。
 本機は低音感が豊かにある低域をベースに3ウェイらしい中域の張り、シャープな高域がバランスした明るい音だが、高音レベルを少し上げたほうが魅力的だ。

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