井上卓也
ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
アキュフェーズのコントロールアンプC200とパワーアンプP300は、同社の第1弾製品として、すでに4年間にわたりセパレート型アンプのトップランクの製品として定評を得ている。今回の新製品は、これをベースとして現時点での最高水準の性能を実現するために改良、変更が加えられたものであり、それぞれ型番末尾にSをつけた新モデルに発展している。なお、同社では従来モデルを愛用しているファンのために、Sタイプ仕様の改造を引き受けており、これにより、主にフロントパネル関係を除いてSタイプと同等の性能にグレイドアップすることができる。最近では、とかく新製品発表が多くなっているが、高級アンプほど新製品に買換えることは至難であり、メーカーへの信頼感が薄らぐことが多いが、今回のSタイプの発表に際して採用された従来品を改造するプランは高級ファンをつかんでいるアキュフェーズらしい細やかな配慮である。
C200Sは、各ユニットアンプのICL化、ミューティングスイッチ、プリアンプ出力ON−OFFスイッチ、ヘッドフォン利得の向上、フィルター関係の整理などをはじめ、パネルの色調が一段と濃くなった点が主な変更点である。
P300Sは、DCアンプ化された他に、1dBステップの入力調整、高域フィルターの除去、メーター目盛にW表示の追加、オーバーロードにも強い保護回路、M60などと共通化された増幅度、出力端子の変更などがある。
Sタイプとなって、この両機種の組合せの音は、今までの力強く緻密な音を保ちながら、性能の向上により、その物理的特性に裏付けられたような、一段とクリアでスッキリと抜けた、リファインされたものとなり、現代高級アンプらしさを身につけている。
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