岩崎千明
ステレオサウンド 2号(1967年3月発行)
「プレーヤー・システム・パーツガイド」より
今や、あまりにも有名な、トップ・グレードのコイル型カートリッジ。普通のMC型がコイルの巻芯に鉄片やマグネットを用いているのに対し、これは空芯なので、理論的にも完全なMC型。もっとも、それだから音が良いというよりもこの社の製品のすべてにいえる、きわめて密度の高い工作と技術が、このずばぬけた高性能を生んでいるのであろう。最近HiFiパーツにハンド・メイクのクラフトマン・シップが見直されているが、FRの製品、特にこのMC型カートリッジこそ、その良い現れといえるのではなかろうか。製品は、ひとつひとつが高度の熟練技術者によって仕上げられているといった感じで、メーカーの良心が、使用にひしひしと感じられる。透明な音という言葉はこのカートリッジのためにあるといえよう。願わくば、TRヘッド・アンプより安定して経済的なはずのマッチング・トランスを早く出して欲しい。
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