マッキントッシュ C22, MC275

瀬川冬樹

ステレオサウンド 3号(1967年6月発行)
「内外アンプ65機種の総試聴記と組合せ」より

 こういう音になると、もはや表現の言葉につまってしまう。たとえば、池田圭氏がよく使われる「その音は澄んでいて柔らかく、迫力があって深い」という表現は、一旦このアンプの音を聴いたあとでは至言ともいえるが、しかしまだ言い足りないもどかしさがある。充実して緻密。豊潤かつ精緻である。この豊かで深い味わいは、他の63機種からは得られなかった。
 おもしろいことに、このままプリをマランツ7型(7Tではない)に変えるともうこの音にはならないし、ましてC22を他のパワーアンプと組み合わせてもこうはならない。もちろん微妙な違いと云ってしまえばそれまでだが、この微妙な違いがどうでもよいという人には、音の世界の楽しさはわかってもらえまい。スピーカーを選ばずよく鳴る点でも最高だった。

Leave a Comment


NOTE - You can use these HTML tags and attributes:
<a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください