ビクター S-755

井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 このシステムは、大口径ウーファーをベースとした3ウェイシステムというよりは、中口径フルレンジユニットの低域と高域をそれぞれ専用ユニットで補ったシステムというほうが適当であろう。
 20cmシングルコーン型ユニットは、250Hzから8kHzの幅広い帯域を受持っている。コーン紙は、新開発のSP1コーンで、ハイヤング率、軽量タイプである。
 ウーファーは、このクラスとしては異例に大口径な38cm型で、SP1を使ったコーン紙は、ボイスコイルとの結合部にコンプライアンスをもたせ、機械的なハイカットフィルターとして、ネットワーク用の大きなコイルがウーファーと直列に入り、直流抵抗が増加することを防ぎ、併せて価格を抑えるのに役立っている。トゥイーターは、スコーカーに同軸型に組込まれた4cm口径のコーン型で、フェイズ・リンク・コアキシャル方式である。
 このシステムは、スケールの大きな落着いた音である。低域は豊かで安定し、高域のやや輝く感じが低域とバランスをとり、アクセントを効果的につけている。

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