井上卓也
ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
ビクターのプレーヤーシステムは、つねに定評があるモデルを市場に送り込んでいる点に特長がある。今回の新プレーヤーシステムは、基本的には、クォーツロックを外した、TT−81型相当のフォノモーターを中心にして構成された、高性能なモデルである。
ターンテーブルは、厚みがある、直径32・8cm、重量2・15kgの重量型で、1kg・cm以上の大きなトルクをもつ、12極・24スロットのFGサーボ付ブラシレスDC型サーボモーターで、ダイレクトにドライブされる。
トーンアームは、高級トーンアーム、UA−7045の構造を受継いだ実効長245mmニュージンバルサポートのS字型で純アルミを溶湯して高圧で鋳造成形した特殊なヘッドシェルと、チャッキングロック方式のネックシリンダーを備えている。なお、付属カートリッジは、X−1の設計を受継いだZ−1Sで0・5ミル針付である。
このJL−B37Rは、各単体部品に、ビクターの高級モデルがもつ基本性能を落とさずに簡略化して使用してあるために、価格からは、想像できないシステムとしてのパフォーマンスが高いメリットがある。プレーヤーベースは充分に強度があり、ターンテーブルは外乱に対して機敏にサーボを効かせている。ストロボは煩雑を避けるために331/3回転だけがターンテーブル外周に刻まれているが不都合はあまりない。
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