井上卓也
ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
アンプの分野では、今年になって、目立つ傾向は、独立したコントロールアンプとパワーアンプを組み合わせて使う、いわゆるセパレート型アンプの発売が多くなってきたことである。
この、HCA−8300は、ロー・ディー初のコントロールアンプで、高能率E級パワーアンプ、HMA−8300とペアになるモデルである。
フロントパネルは、フラットフェイスのブラック仕上げで、オプションのキャリングハンドルを両側に取付けることができる。リアパネルは、入出力端子が傾斜した構造を採用し、入出力コードの接続が便利であり、入出力コードの保護を兼ねたコの字型アングルが両側にある。
この製品は、価格としては、ローコストのモデルだが、機能、性能は、はるかに高価格なコントロールアンプに匹敵するものがある。まず、機能は、フル装備で、レベルつ調整可能なフォノ1入力、4連32接点ディテント型ボリュウム、左右チャンネル独立使用可能な高音と低音トーンコントロール、ヘッドフォン専用アンプ内蔵、それに、リードレール使用の電源ミューティングなどを備える。性能的には、初段FET差動3段直結7石構成のイコライザーは、400mVの許容入力と±0・2dB以内のRIAA偏差であり、トーン回路も初段FET差動3段直結アンプを採用した低歪、ローノイズ設計となっている。
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