ラックス CL32

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 ことさら管球とかTR(トランジスター)とかを意識させない、現代の最新アンプに共通の解像力のよい、レンジの広いフレッシュな音を聴かせる。が、弦やヴォーカルの音が冷たい金属質にならず、どこか暖かい滑らかさで響くところが、やはり球ならではという感じ。ただ、旧録音を含めて数多くのレコードを楽しみたいとき、ラックス得意のリニアイコライザーだけでは、音のバランスを補正しきれない。簡単なものでもトーンコントロールが欲しい。

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