オルトフォンのカートリッジM15、MF15、シュバイツアーのアクセサリーRecored Cleanerなどの広告(輸入元:オーディオニックス)
(スイングジャーナル 1971年3月号掲載)
Monthly Archives: 2月 1971 - Page 2
ビクター MCA-V7
フォスター RCF-233, ADP-01, ADP-02
フォスター GZ-77
JBL Aquarius 1, Aquarius 4
テクニクス SU-3600, ST-3600
アコースティックリサーチ AR-4x
パイオニア SA-100
岩崎千明
スイングジャーナル 3月号(1971年2月発行)
「SJ選定《新製品》試聴記」より
パイオニアがついに、新シリーズのアンプを出した。待ちこがれた買手の要望と、メーカー側の満々たる自信とを重ね担っての新製品である。
この新シリーズ・アンプは、パイオニア以外のメーカーにとっても、この上なく気になり存在を意識させられるに違いない。そういう点から言ってもこのアンプは最近になく話題の焦点であろう。というのも外でもない。最近アンプは、新製品といえば「全段直結方式」という画期的な新回路技術が全面的に採用されて、今までのアンプに比べてはっきりと性能向上がデータの上にも表われ、また、音の上でも素直な素質の良い音に、歪の少なさが確然と感じられるからである。これからのトランジスターアンプは、今や「全段直結方式」というのがこの道の通の常識にさえなりつつある。それを裏づけるかのように、このところ続いて発表される各メーカーの、この種の新型アンプは非常な好評で迎えられ新しいアンプの時代を築きつつあるといっても過言ではない。名門ソニーに続きティアック、ナショナル、オンキョーという意欲的なメーカーに一歩遅れをとって、トランジスターアンプの専門メーカー、トリオ、さらにサンスイとこの流れに乗っている中で、ひとりパイオニアは沈黙を守り続けた。
しかし、時代は熟したり満を持して放ったのが、この新シリーズ・アンプなのである。その製品に接してさすがにパイオニアと改めて息をつかせたのがこのSA100であり、新シリーズ、ニューUAシリーズのアンプであった。
まず音だ。パイオニアのアンプに私が常々感じているのは、いかにも大人向きの品のよいサウンドだ。これはステレオというよりも、ハイファイ界において、まさにその名通りの先駆者としてのキャリアと貫録とが、生み出し到達したサウンドであろう。歪の少なさにプラスして、誰にも受け入れられるに違いない音であるが、しかし、なにか音の魅力という点で、もう少し欲しい何者かがある。その点では今から10年以前のパイオニアのスピーカーの方により以上の魅力を感じるのであった。そのサウンドが今度のアンプにはある魅力ある生々しい迫力を今度のアンプに感じることが出来るのである。
それは、おそらく新回路方式によってより広い帯域に対して、完全に設計意図通りのデータが保たれたことがやはりこの新アンプのニューサウンドの底流にあるに違いない。
さらに注目すべきは、直結アンプ特有のスピーカー保護回路にある。直結アンプはその回路の性質上、わずかのクリックもスピーカーに直接加わるため、スピーカーという高価なパーツを破損してしまうチャンスが今までよりずっと多いのである。
パイオニアでは、発売を延してまてこの点こそ充分に時間をかけて万全を期すべく技術を傾けたという。スイッチ・オンの後、回路が完全に動作状態になるまでスピーカーは接続されず、、8秒後にスピーカーが動作するように特別のバランスが太検出回路がプロテクターを形成する主役となっているという。
スピーカー側の最大入力などの異常動作の場合も、瞬間的に保護回路が動作し、動作が正常になれば、つまり正常使用状態なら瞬間的に動作復帰する自動瞬間復帰方式だ。まさにスピーカー専門メーカーとしてのキャリアがアンプに生きているといえる。ブラックシルバーのいぶし仕上げのヘアーラインという新鮮で、豪華なパネルデザイン。つまみの配置もマニアライクな優れたものだ。
新シリーズのチューナーTX100、アイディアに満ちたステレオ・ディスプレイSD100とともに、当分の間ファンの話題となる新シリーズだろう。
Lo-D HS-500
ラックス SQ707, WL717
テクニクス SB-400, SB-500, SL-40
テクニクス SP-10
テクニクス RS-275U, RT-60SG
クライスラー CE-1acII, CE-2aII, CE-5aII, CE-4a, CE-6a, TYPE-1u
富士フィルム FM
Lo-D HS-1400W
岩崎千明
スイングジャーナル 3月号(1971年2月発行)
「SJ推選ベスト・バイ・ステレオ」より
HS1400Wをベストバイとしてここで述べる前に私は少々触れたいことがある。少なくともベスト・バイというなら多くのファンが良いということを認めて来た実績がなければならないからだ。
冒頭からなぜこのようなことに触れたのか、ベスト・バイという言葉と日立のスピーカーを考えると、あまりにも強烈な印象でHS500が浮び上がってくるからであろう。これは当然のことだと思われる。日立のスピーカーを語る時には、このHS500の存在を忘れるわけにはいかないからである。
HS500の音は、初めて接した2年半前の暑い夏の昼さがりの蝉の声と共にはっきりと思い出す。AR3と並んだ箱からAR3よりも、もっとすなおな、品位の高い低温がずっしりと深く息づくように出たとき、国産スピーカーということを忘れ、スタート台に立ったばかりの、日立という音響メーカーの底力をまざまざと見せつけられた思いであった。
このスピーカー・システムは、たった20cmのウーファーが低音を受け持っているが、それはギャザード・エッジという世界初めての新しい技術と途方もないくらい大きなマグネットからなり立っている点で特筆でき、今日でも、その正攻法的なスピーカー設計意図は製品の高品質とともに高く評価できる。
日立のハイファイに対する姿勢であるローディー、つまり低歪率再生と掲げられた文句はこの時に確立し、その圧倒的な低音の質の良さはこのHS500で確立したといってよい。
その日立が、今度は高能率の重低音再生に向ったのがHS1400Wである。このHS1400Wはハイファイ界の永久の夢でもある重低音再生という点に技術が新しい方向を創造し、道を切り拓かれたといえる。それはまさに技術であり、独創的に溢れた企画商品だ。
非常に簡単な計算をしよう。
40Hzの低音を、1000Hzと同じエネルギーだけ取り出すためには、振動が25分の1ならスピーカー・コーン紙の振動振幅は25倍必要となる。1000Hzで1mm動くとすれば10Hzでは2・5cmも可動振幅範囲を要求される。むろ、こんなに動くスピーカーはない。だから低い音ほど出し難い。
この出し難いエネルギーを取り出すにはどうすべきか、という点を、今までの音響システムから一切はなれた点からスタートして、HS1400Wは生れ出たのであった。この低音メカニズムを一言でいえば重低音共鳴箱である。
共鳴箱である以上、どんなパルスが入っても共鳴箱は共鳴しやすい。また共鳴が始まると、共鳴して止まるまでがおそい。その点が、ハイファイ再生という立場からは根本的にずれている、ということを指摘することは難しくない。
だが実際に重低音を出す楽器は、やはり低音共鳴体に伴っているものだ。ベース、ドラムにしてもそうだし、オルガンやティンパニーならなおさらである。そこで共鳴箱を再生用として使うことはなんら差し支えないということもいい得るのである。
非常にユニークな共鳴箱型スピーカー・システムは、そのプロフィールも今でになく新鮮だ。そして何よりも嬉しいのは、たった3~4万のスピーカー・システムでありながら、20万、30万のスピーカーシステムに少しもひけをとらならい重低音を楽々と再生する点だ。
ユニークな独創的システムにふさわしいユニークなデザインをあしらうことにより、ユニークなオーディオ・ファンのリスニング・ルームにおけるユニークな存在となるだろう。
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