Lo-Dの広告
(スイングジャーナル 1971年6月号掲載)
Category Archives: Lo-D/日立 - Page 6
Lo-D
Lo-D HS-201C, HS-250C
Lo-D HS-500
Lo-D HS-500
Lo-D HS-1400W
岩崎千明
スイングジャーナル 3月号(1971年2月発行)
「SJ推選ベスト・バイ・ステレオ」より
HS1400Wをベストバイとしてここで述べる前に私は少々触れたいことがある。少なくともベスト・バイというなら多くのファンが良いということを認めて来た実績がなければならないからだ。
冒頭からなぜこのようなことに触れたのか、ベスト・バイという言葉と日立のスピーカーを考えると、あまりにも強烈な印象でHS500が浮び上がってくるからであろう。これは当然のことだと思われる。日立のスピーカーを語る時には、このHS500の存在を忘れるわけにはいかないからである。
HS500の音は、初めて接した2年半前の暑い夏の昼さがりの蝉の声と共にはっきりと思い出す。AR3と並んだ箱からAR3よりも、もっとすなおな、品位の高い低温がずっしりと深く息づくように出たとき、国産スピーカーということを忘れ、スタート台に立ったばかりの、日立という音響メーカーの底力をまざまざと見せつけられた思いであった。
このスピーカー・システムは、たった20cmのウーファーが低音を受け持っているが、それはギャザード・エッジという世界初めての新しい技術と途方もないくらい大きなマグネットからなり立っている点で特筆でき、今日でも、その正攻法的なスピーカー設計意図は製品の高品質とともに高く評価できる。
日立のハイファイに対する姿勢であるローディー、つまり低歪率再生と掲げられた文句はこの時に確立し、その圧倒的な低音の質の良さはこのHS500で確立したといってよい。
その日立が、今度は高能率の重低音再生に向ったのがHS1400Wである。このHS1400Wはハイファイ界の永久の夢でもある重低音再生という点に技術が新しい方向を創造し、道を切り拓かれたといえる。それはまさに技術であり、独創的に溢れた企画商品だ。
非常に簡単な計算をしよう。
40Hzの低音を、1000Hzと同じエネルギーだけ取り出すためには、振動が25分の1ならスピーカー・コーン紙の振動振幅は25倍必要となる。1000Hzで1mm動くとすれば10Hzでは2・5cmも可動振幅範囲を要求される。むろ、こんなに動くスピーカーはない。だから低い音ほど出し難い。
この出し難いエネルギーを取り出すにはどうすべきか、という点を、今までの音響システムから一切はなれた点からスタートして、HS1400Wは生れ出たのであった。この低音メカニズムを一言でいえば重低音共鳴箱である。
共鳴箱である以上、どんなパルスが入っても共鳴箱は共鳴しやすい。また共鳴が始まると、共鳴して止まるまでがおそい。その点が、ハイファイ再生という立場からは根本的にずれている、ということを指摘することは難しくない。
だが実際に重低音を出す楽器は、やはり低音共鳴体に伴っているものだ。ベース、ドラムにしてもそうだし、オルガンやティンパニーならなおさらである。そこで共鳴箱を再生用として使うことはなんら差し支えないということもいい得るのである。
非常にユニークな共鳴箱型スピーカー・システムは、そのプロフィールも今でになく新鮮だ。そして何よりも嬉しいのは、たった3~4万のスピーカー・システムでありながら、20万、30万のスピーカーシステムに少しもひけをとらならい重低音を楽々と再生する点だ。
ユニークな独創的システムにふさわしいユニークなデザインをあしらうことにより、ユニークなオーディオ・ファンのリスニング・ルームにおけるユニークな存在となるだろう。
ビクター TD-664
Lo-D レコードコンサート
Lo-D HS-500, HS-1400W
Lo-D HS-1400W
Lo-D HS-500
Lo-D, グレース
Lo-D HS-500
Lo-D HS-1400W
Lo-D HS-250F
瀬川冬樹
ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より
HS500という名作をものした日立の普及品だが、音のバランスのとりかたは、HS500とは相当に違っている。片や非常にフラットな、素直で自然な音質を目ざしているのに対し、HS250Fでは、中域から高域にかけて相当に強調されたバランスのとりかたで、全く違う。同じメーカーの製品とは思えないほどの違いかただ。
低音域は音がしっかりしてなかなかよいが、中音域では、音の強調とともに軽いエコーがつくような、ホールトーン的な響きかたをする。クラシックの渋い曲などでは、やや品位に欠けるひびきかたをする。プライヴェートな試聴では、これより価格の安い2ウェイのHS201Fの方が、HS500的なバランスの良さを持っていたように思う。
中音域の、それもかなり広い音域全体について検討を望みたい。
採点表
大編成:★★★
小編成:★★
独奏:★★
声楽:★★★
音の品位:★★
音のバランス:★★
音域の広さ:★★★
能率:★★★
デザイン:★★
コストパフォーマンス:★★
Lo-D HS-500
瀬川冬樹
ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より
いわゆる無色透明型で、全音域に抑制が利いてよく締まって、夾雑物のつきまとわないクリアーな、むしろ冷たすぎるぐらいのやや硬質な音を聴かせる。能率は決して良い方ではないから、パワーアンプには相当のゆとりが必要だが、音量を上げてゆくと音のスケールが大きくなり、さわやかによくひろがってゆく。よく指摘されるようにウーファーとトゥイーターのつながり辺りで高調波ひずみがやや増すために、弦やヴォーカルの中高音域あたりで音がやや固く、ときとして圧迫感を持って響く場合があることが難点といえばいえる。海外の高級スピーカーが、それぞれに自発性に富んだ個性を売りものにしているのに対して、こういう整った透徹な音質が、永く聴いてどういう印象に変わってゆくのか、興味深いところだ。
採点表
大編成:★★★★
小編成:★★★★★
独奏:★★★★★
声楽:★★★★
音の品位:★★★★
音のバランス:★★★★★
音域の広さ:★★★★★
能率:★
デザイン:★★★
コストパフォーマンス:★★★★
(特選)
Lo-D HS-1400W
Lo-D HS-201F, HS-250F, HS-500
Lo-D IA-1200, SR-300, SR-600
Lo-D HS-1400W
Lo-D HS-500
菅野沖彦
スイングジャーナル 6月号(1970年5月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より
もう1年前くらいの話だが、内外スピーカーを何種頼も集めて比較試聴をしたことがあった。その時、テストに使ったレイ・ブラウンのベースが一際鮮やかに、張りと豊かさをもって鳴ったシステムがあった。音程が明瞭で、ベースのもつサブ・ハーモニックスも十分再生し豊麗なレイ・ブラウンのサウンドが決して鈍重にならない。一体どのスピーカー・システムが、こんな魅力的な低音域特性をもっているのかとたどってみると、これが、日立のHS500であった。
HS500から出た低音は、実に自然で生命感溢れるものだったのである。しかも、このシステムに使われているウーハーL200は20cm口径で、決して大口径ウーハーではないし、箱の容積もそんなに大きいものではない。一定容積の箱に入れる場合は口径の大きいものより小さいもののほうが低域の再生は周波数特性上有利ではあるが、実際には口径の小さなウーハーからは十分に量感、音圧感のある低音を得ることは難しいのである。それにも関わらず、このシステムは、20cmウーハーの常識を破った低音の魅力を聞かせてくれる。ここで、このウーハーについてちょっとふれておくことにしよう。低音域用ユニットL200は、先に述べたように口径は20cm、半頂角の小さい浅いコーンに、ギャザード・エッジという日立独特のエッジを採用している。たくさんのヒダをもった、ちょうど、チョコレート(板チョコではなく、丸いチョコレート・キャンディという奴?)の受皿に使われているヒダの入った紙のような具合に加工され、これが実に巧妙に円周に張りつけられ、コーンのピストン・モーションを全く自由にしている。コーン紙はかなり剛性の高いがっしりしたもので、不規則なたわみやしなりが出にくい。つまり、コーンの分割振動を極力防いでいるらしい。しかし、このウーハーの受け持つ帯域は3kHzまでとかなり高いので、高域のモーションには問題がありそうな気もする。
そのために、最近3ウェイの新製品がでたが、私としては、このHS500により大きな魅力を感じる。話が横道へそれたが、この独特のウーハーは、日立の高い技術水準と、よくオーガナイズされた音響の基礎研究から生れたもので、一朝一夕には出来るものではない。設計から仕上加工に至るまで、明確なポリシーと綿密さのうかがわれる抜群のユニットである。
このウーハーに配する高域ユニットはホーン型のトゥイーターで、これまたピストン・モーションの理想を追求した大変ロジカルな設計理論に基いたもの。14mm径のマイラー・ドームにアルミの削り出しのホーン、独特なハの字型ディフューザーでアッセンブルされた高級トゥイーターである。これと先のウーハーとを3kHzでクロスさせて2ウェイ構成をとり、エンクロージュア一にはダンプドバスレス型のブックシェルフタイプを採用している。バスレフのダクトはパイプ型で、グラス・ウールによってダンプされている。材質、加工共に高度なエンクロージュアーで、あの低音のすばらしさはもちろんこのエレクロージュア一によって生かされているわけだ。
このスピーカー・システムについて、あえて難点をあげれば、音があまりにも素直でおとなしいことだろう。この辺がいつも云うオーディオの問題点であって、日立の卓抜な技術水準がいかにソフトウェア一に結びつき、理論的に優れたものが、どう美学と結びついてくるかが楽しみである。
ジャズファンでもソフト派、知性派にはぴったりの最高級システムとして推薦したい。
Lo-D IA-1200, SR-300, SR-600
Lo-D HS-201F, HS-250F, HS-500
日立 LNE35-7
Lo-D HS-500
菅野沖彦
ステレオサウンド 10号(1969年3月発行)
特集・「スピーカーシステムブラインド試聴」より
実にのびのびとして弾力性のあるベースの音。澄んでいて丸味がある。まず、それが印象に残った。中域から高域への連続性に音色的にうまくつながらないところがあって、高音域が、やや冷たい。全体にマッシヴでソリッドなハイ・クオリティをもっているだけに、中域にもう一つ充実感が欲しいと思う。その辺がスムースになれば極めて高度なシステムといえるだろう。それにしてもジョージ・デュビビエのベースの美しさが印象的だった。
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