Category Archives: 国内ブランド - Page 3

テクニクス SB-M800

井上卓也

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

独自の内側=アクティヴ/外側=パッシヴの低域再生方式採用の中堅モデル。高域再生能力は、文句なしの新世代ニューメディア対応のパフォーマンスを備える。優れた高SN比のアンプで聴くDVDの音は、一般的なプレゼンス優先型の音ではなく、音のディテールをサラッと引き出す、いかにも情報量の多い音である。

パイオニア S-PM2000

井上卓也

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

型番に2000を付けたミレニアム・システム。エンクロージュアは、約50年寝かせた材料で作り、それを約50年間使ったウィスキー醸造樽が原材料。さすがに約100年の歳月の熟成(?)を経たエンクロージュアが聴かせるかけがえのない音は、誰しもホッ!!とする、安らぎにも似た独得の味わいである。感銘深く、楽しい力作。

ビクター SX-1000Laboratory

井上卓也

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

 独自性豊かなビクターのスピーカー技術の、文字どおり集大成といえる内容の濃い製品である。
 システム全体の構造から考えれば、底板部分が他の部分と同様に仕上げられているために、六面化粧仕上げのいわゆるブックシェルフ型の分類に含まれるが、独自の非常に独創的な構造を持つベースブロックと、準独立構造の4本の脚部を組み合わせた、中型フロアーシステムというべきモデルだ。この構造は、一見すれば、単純な発想として軽く受け止められているようだが、スピーカーわかる一部の人にとっては、相当にショッキングな内容を含んだ考え方であった。
 なぜなら、現実のスピーカーシステムの設置では、床との相関性をどのように考え、コントロールするかが、最大のテーマであるからである。その結果が、そのスピーカーシステムで聴くことができる、音楽性を決定する部分なのだ。
 SX1000LABのスピーカーと床面との間に介在する、いわゆる、スタンドと呼ばれる部分は、重量級の分厚い木製ベースが床面を安定化するアブソーバー的に働き、かつ、本体、底面と床板面に生じる定在波の影響を抑えようとする構造である。
 このブロックには、4個の円筒形の穴が開いていて、円柱状の4本の脚で、ほぼフリーな状態で本体を支える構造。円筒形の穴の内壁は厚いフェルトが取り付けてあり、各ブロックの相互干渉が少なく、かつ、固有の共振や共鳴が生じ難い特徴を備えている。当然のことながら、スピーカーシステム本体は、底板のサイズさえマッチしていれば、他のスピーカーシステムとの組合せでも固有音の少ない音が聴かれるはず。硬い木材や鉄材を組み合わせ、スタンドの固有音を積極的に活かす設計が多い海外製スタンドとは、完全な逆転の発想である。
 ただし、スピーカー本体の基本設計が、かなり高次元でないと、好結果を期待したとしても、逆にスピーカー自体の弱点を露呈する厳しい構造といえる。
 ユニット構成は、アナログディスクのプレス技術を基盤として開発した独自の振動板材料を使うコーン型ウーファーと、異なった製造方法によるダイアモンド振動板採用のドーム型の中域/高域ユニットによる3ウェイ。重要なネットワーク系の巧妙なレイアウト、内部配線材の吟味、ビクターが独自開発したエステル・ウール吸音材などを、かつては、カットモデルで見ることが可能であった。
 エンクロージュアは準楕円断面を採用し、各部の2次反射を巧みに調整したもので、独自の空間表現を備えている。なお、表面仕上げは非常に凝ったカナディアンメイプル材と丹念な塗装技術によるもので、同社の木工技術の成果を示す。
 豊かな時代の豊かな感性を聴かせる名作であり孤高の存在だ。

ダイヤトーン DS-5000

井上卓也

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

 日本のスピーカーには、日立、東芝、三菱といった、いわゆる家電メーカーがトップランクの独自の技術を活かして高級スピーカーの分野で素晴らしいモデルを市場に送り出していた時代があった。このことは、現在の若いオーディオファイルにとっては、予想外の出来事であるであろう。
 しかし若い人でも、第2次大戦後に、NHKの放送局モニタースピーカーの開発を行ない誕生した三菱電機のダイヤトーンブランドのことは、おそらく、知っている人のほうが多いであろう。
 マランツ用OEMスピーカーとして開発したモデルのバリエーションタイプが同社民生用システムのスタートであったが、’70年に発売されたDS251は、驚異的なベストセラーモデルとして評価され、愛用されて民生用の地盤固めに成功する。
 同時に、かつてのNHKモニターとして全国的に採用された2S305系の2ウェイ方式・バスレフ型エンクロージュアから、次第にDS251やDS301系のマルチウェイ方式と完全密閉型エンクロージュア採用が同社製品で主流を占めるようになる。そして’80、振動板材料にハニカムコアとケブラースキン材を組み合わせたアラミド・ハニカム振動板(低・中低域用)や新素材ボロン化チタンをドーム型ユニットに採用し、振動板とボイスコイルボビンを一体化したDUD構造の開発(中域・高域用)など、いわば新世代のダイヤトーン・スピーカーとして誕生したのが、4ウェイ構成ブックシェルフ型DS505である。
 この新世代シリーズの頂点として開発されたモデルが、4ウェイシステムのDS5000で、中低域再生能力を高めるために大変に個性的な設計方針でつくられたモデルであった。それというのも、それまでの4ウェイシステムは、3ウェイ方式の中低域を補うために専用ユニットを組み合わせた開発だったのにたいし、本機では、中低域ユニットと中高域ユニットで2ウェイ構成の狭帯域バランスをつくり、これをベースに、いわばサブウーファーとスーパートゥイーターを加えたようなシステムアップしていたからである。ここがDS5000の最大の特徴であり、ミッドバスの充実したエネルギーバランスは、従来にない、大きな魅力であった。しかも、設計思想が最優先され、変換器としては高性能であろうが振動板材料の音が際立ったDS−V9000などの後継作と比較して、余裕タップリに大人の風格で音楽が楽しめる点では、同社の最高作品といえよう。

ダイヤトーン 2S-305

菅野沖彦

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

 ダイヤトーン2S305は日本のスピーカーの歴史のなかでの傑作である。これほど、あらゆる点で日本的な美徳を備えたスピーカーシステムはないだろう。
 まず、桜のツキ板張りによるエンクロージュアのラウンドバッフルが見せる、その容姿である。グレイのサランネットと調和したサラッとした? 淡泊な印象。ちょっと見のつまらなさは、飽きの来ない日本的感性以外のなにものでもあるまい。これが作られたのは1950年代だから、こういう日本調が生まれたのかもしれない。いまなら、もっと欧米の影響を受けたものになったであろう。そして、その最大の日本的特色と言えば、なんと言っても音である。
「日本には2S305という素晴らしい製品がある。あんなに綺麗な音のスピーカーを聴いたことはない!」これは’70年代に、デヴィッド・ベイカーというアメリカ人の録音制作家が僕に語った言葉である。そして、そのとき、僕が思い出したのは、夭逝した不世出の名ピアニスト、ジュリアス・カッチェンが、以前、同じような言葉で日本製のピアノについて語ったことである。僕が彼の録音のために用意したスタインウェイDとヤマハの初期のCFを聴き比べた彼は、CFを「こんなに綺麗な音色のピアノは初めてだ!」と言ったのである。
 エキゾティシズムが美の要素足り得るかどうかは美学的には議論のあるところであろうが、僕が大変興味を持っているテーマである。彼らにとって、日本的な音はエキゾティックな魅力を強く感じさせるものではないだろうか? 逆にわれわれは欧米のサウンドには、彼ら以上に強い魅力を感じるのではないだろうか? 自国の文化には、ある意味で透明だからである。日本人の場合、欧米系の文化には基本的に劣等感が染み込んでいることに悲劇があって、オーディオや西洋音楽の美的評価には注意を要すると思っている。
 2S305はダイヤトーン・スピーカーで有名だった三菱電機が、NHKと共同で開発したスタジオモニタースピーカーである。放送用のモニターが主たる設計目標であったが、当時の日本ではNHKの「お墨付き」という技術的権威に裏付けされたエリート・システムであり、いまでは想像できないほどの君臨振りで、録音スタジオなどでも広く使われ、信頼度の高いものであった。当然、これにたいする反発も強く、一部には無味乾燥の音だとか、こんな音でモニタしているから日本の録音は駄目なんだ!などと非難する過激な人達はいたが、これらの意見はオーディオマニアに多かったように思う。バスレフ型エンクロージュアに、30cmのパルプコーンウーファーと、5cmの同じくパルプコーントゥイーターをハイパス・コンデンサー1個でつないだ2ウェイは、当時としては画期的で本格的なシステム設計であった。満開の桜を見るように、端正で、淡泊でいて豪華な響きの音は「はんなり」とでも形容したい上品な佇まいのバランスと音色であって、決して無味乾燥な音などではなかったと僕は思う。そしてなによりも、僕にとって長年にわたる録音制作の仕事に欠かせないモニターとしてなじんでいたものだから、忘れられない懐かしさなのである。

パイオニア Exclusive Model 2404

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

比較的に古典的設計を守るホーン型システム。抜本的に入力系の直結化を計り、音圧が非常に高い振動板エッジ部の対策を施した設計が、ストレートに音に聴かれる成果は、異例中の異例。鋳鉄フレームの禁を犯したウーファー設計は、確信犯的な技術成果で、少し硬質だがビシッと決まる低音はスリリングでもある。

テクニクス SB-M1000

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

2組のパッシヴラジエーター付きケルトン型低域を背向させ、振動板振動反作用を打ち消す設計は、瞬発力を備えた同社最新セパレートアンプとの組合せによって、遅れ感のない柔らかく豊かで深々とした低域再生を実現させた。スーパーグラファイト超高域ユニットは、次世代メディアの特徴を見事に再生する。

パイオニア C-AX10

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

2chステレオ再生でのディジタル技術の可能性を展開しながら次世代メディアへの対応性を併せ持たせた、パイオニア次世代オーディオシステムの中核モデル。ディジタル・クロスオーバー、ディジタルトーンとNR、6chA/D、8chD/A内蔵で、非常に多機能ではあるが、鮮度感があり、反応の速い音の魅力は素晴らしい。

テクニクス SB-M800

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

SB−M10000/M1000系の最新製品。高域は100kHzのレスポンスを誇る上級機譲りの特徴がある。密閉型とバスレフ型の利点を併せもつ独自のDDD方式ウーファーは、最新プリメインアンプの低域駆動能力の向上で、従来と一線を画した、柔らかく豊かでドライブ感のある低域再生を聴かせる。予想を超す魅力の新モデル。

パイオニア PT-R6

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

DVD−A、SACDの超高域再生能力に対応するために新開発された最新リボン型ユニット。振動板材料はアルミ系合金で、ソフトドーム系のユニットと組み合わせても質感のマッチングでの問題はない。本来のシステムの情報量が見事に増え、ナチュラルな自然体の音になる効果は、現行CD再生時でも顕著で楽しい。

パイオニア PT-R9

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

実績あるパイオニアのリボントゥイーターの伝統を受継ぐ1996年発売の高級モデル。振動板のリボンは、ベリリュウム製で、リボン型独自の薄膜が振動しているような附帯音の少なさが最大の魅力。感度は97・5dBと驚異的に高く、100dB級のホーン型ユニットとの組合せが可能。全帯域への影響度は想像以上に凄い。

イケダ Ikeda 9C V

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

基本的な発電機構は同社トップモデルIkeda9 Supremoと変らない、ダイレクトカップリング方式の魅力を味わうための注目モデルである。組み合わせるトーンアームはダイナミックバランス型がマストな条件ではあるが、初期の調整をオーソドックスに行なえば、予想以上に安定度は高く、この音の魅力は大きい。

イケダ Ikeda 9 Supremo

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

世界的に類例のない、針先が発電コイルをダイレクトに駆動する独自の発電構造を誇る同社のトップモデルだ。パーメンダー採用の磁気回路は効率が高く、磁気制動のバックアップで音溝の情報を確度高くピックアップしているような独自の音は、コンプライアンスのあるカンチレバー型と別次元の唯我独尊の世界である。

マランツ PM-14SA

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

超重量級プリメインアンプPM15を頂点とする同社プリメインアンプの中核モデルであり、前作、PM14の内容をリフレッシュしたプリメインアンプ。見事にコントロールされた、SN比が高くかつパワフルなSP駆動能力は素晴らしい。駆動の難しいB&W Nautilus801をストレスフリーに鳴らす実力の高さは見事。

デンオン DP-900M2

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

塗装仕上げが美しいランバーコア材のプレーヤーベース部と、ソリッドな感じのターンテーブルが醸し出す、アナログ時代の旧き良きプレーヤーらしい印象は、旧いファンにとっては、ノスタルジックな感銘さえ受ける雰囲気がある。トーンアームは少し華奢ではあるが、トレース能力は高く、ハウリングマージンも十分。内容の濃さが魅力。

テクニクス SL-1200MK4

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

実質的に世界最高の生産量を誇る超ロングセラーモデル。キャビネットとモーターを一体化したアナログプレーヤーとしては、華奢な印象を受けるが、適度な柔軟構造による制振効果もあるようで高周波妨害にも強く、かなり条件の悪い場所で予想以上のアナログディスクの音が楽しめるのは立派。

エソテリック D-3

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

1993年12月発売の一般的にはすでに忘れ去られたモデルではあるが、可聴帯域内ジッターを40dB低減した技術の成果と、研ぎ澄まされたクリーンな音の魅力は、現在でもいささかも色褪せない。超弩級ドライブユニットP0の威力を見事に聴かせる実力の高さは感銘を受ける。考えて納得できぬ魅力の音は何なのだろうか。

マイクロ SX-8000II System

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

超重量級のステンレス製ターンテーブルはエアフロートベアリングで支持され、ディスクは空気吸引でターンテーブルに吸着される方式。音溝に刻まれた信号のみを何物にも妨げられずに拾い出そうとする設計方針の確かさは、常識を超えた確度の高い音で実証されている。少々、テンションの高い傾向はあるが、実に濃い音だ。

エソテリック P-50s

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

上部にターンテーブルを固定した独自のVRDS方式駆動メカを、最大厚20mmのH型アルミ押し出し材を介し、8mm厚ボトムベースに直結するP0系の非フローティング構造が設計の中核。銅メッキ鋼板にニッケルメッキ処理を施す内部シャーシの剛性向上は徹底的。機械的SN比の高さは一部でP0を凌駕するほどだ。

パイオニア M-AX10

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

C−AX10とペアとなる4ch構成のパワーアンプで、かつてのM70の系統を受け継ぐ製品。高出力が得られる2ch(ブリッジ)使用が基本だが、C−AX10との組合せで4chアンプ(セパレート)によるバイアンプ駆動も楽しめる。入力系に入力切替と音量調整を備えるので、単独使用も可能。積極的な音が加われば文句なしに見事。

ソニー CDP-R10 + DAS-R10

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

CD当初の業務用CDプレーヤーで採用された光ピックアップ固定型メカを現代に再現した凄い意欲作であるCTトランスポートと、異例の鮮鋭さを聴かせる1ビット方式D/Aコンバーターとの組合せは、現時点でも世界のリファレンスモデルであり、新メディア時代到来後も、いささかも変りはないだろう。継続して見せる高い性能は素晴らしい。

ソニー SCD-777ES

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

SACDの歴史に残る第一作、SCD1の弟となる第2弾作品。外観が変更され普遍的な印象になったため、新鮮な印象があり、ディスク読み取りの超低速動作が、心理的に少々解消されるのが面白い。第一作の細身で引締まった緊張感の高い音とは異なる、ほどよく肩の力が抜けた開放感のある音は、デザインとも一致し、実に楽しい。

マランツ SC-5 Ver.2

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

マランツを代表するプリアンプである。電源部は、鉛バッテリーを2個内蔵しDC動作が可能であるが、たんなるバッテリー動作の音とは一線を画した、安定度が高く情報量が多い音が魅力的。交流動作でも快適な曖昧さがフィルター効果として働き、これもまた楽しい。

パイオニア Exclusive C7a

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

パワーアンプ的な感覚のパワフルなプリアンプとして定評の高いC7のリフレッシュモデル。独特の線が太く彫りの深い音は、いちだんと細くシャープに変り、現代のプリアンプらしいソノリティを身につけたようだ。コントラストの弱い音のプリアンプが主流を占めている現在では、この少し古典的な音の魅力は計り知れない。

タオック FC7000

井上卓也

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

AVラックで定評の高いタオックが開発した初のスピーカーシステム。木製補強材の替わり、独自の鋳鉄角材や円筒形材料を組み込んだエンクロージュアは超重量級。高/中域はディナウディオ製、低域はフォステクス製。ネットワーク素子の材料吟味とその構造は、水準を超える見事さ。ローレベル再生時の音は実に見事。