Category Archives: 国内ブランド - Page 210

オーディオテクニカ AT-VM3

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 総体に、やや重くダークな音で、音の切れ込みの良さとか音離れの点に多少の不満が残るが、柔らかくバランスの良い音質で、欠点の少ないカートリッジである。スクラッチもよく抑えられて、高域にピーク性の危なげな音も感じられない。ただ、どのレコードの場合にも、楽器がやや遠のく印象で、ソフトタッチの音になる。激しさを求める向きには敬遠されそうだが、耳当りのよさをとるべきだろう。オーケストラや弦合奏では、、弦楽器のみずみずしさがもっと欲しい気がするし、声もややドライでタッチがコロコロして輪郭が明瞭だが、強打音ではやや音離れが悪くなる傾向がある。ソフトムードというところで好みが分かれそうだ。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆☆
ムード:☆☆☆☆
打楽器:☆☆☆★
総合評価:80
コストパフォーマンス:95

マイクロ M-2100/5

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 中低域にややふくらみを持たせた温色系の音に特長がある。特別に素晴らしいという音ではないにしても、バランス良く、柔らかく、上手にまとめられた製品と思われる。ジャズの低域が豊かで(もう少し締まりは欲しいが)臨場感があるし、独唱も合唱も、声と楽器のコントラストが表現されて距離感がよく出る。大編成のフォルティシモでも飽和した感じがなく音がよく伸びるが、音源がやや遠のいた印象になり、どういうわけか高域が幾分上がり気味に聴こえる。このカートリッジの弱点はピアノにあるようで、音が平面的で打鍵ONが少々安っぽくなるし、楽器のスケールがやや小型になる。スクラッチノイズが多少ジャリつく感じなのと、レコード外周の反りに弱くフラッター気味になりやすい。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆☆★
コーラス:☆☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆☆★
ムード:☆☆☆☆★
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:85
コストパフォーマンス:100

ビクター IM-10S

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 ブラインドテストNo.27(ピカリング V15/AM3)あたりと一脈通じる、中域から低域の厚い特徴のある音質だ。高域の特性があまり延びていない印象で、そのためか音が重い傾向だが、中低域の豊かさをとるべき音なのだろう。しかしスクラッチノイズの性質は、スペクトラムが低く楽音にまつわりつく感じで、多少耳ざわりである。ピアノのソロは中域の厚みと高域の丸さのために腰のつよい太い音質になるが、ジャズではこの強さが好ましい。ロスアンヘレスの声が明るく、伴奏との距離感の出るのもよい。弦合奏もよくハモる。しかしやはりヴェルディあたりになると、強奏で何となく安っぽいハイファイ調になり、音ばなれのよくないところが気になってしまうあたり、中級品と思われる音質である。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆
弦楽器:☆☆☆★
声楽:☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆★
ムード:☆☆☆★
打楽器:☆☆☆★
総合評価:75
コストパフォーマンス:80

スペックスSD-700 LaboratoryII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 わりあいに腰の強い、ホットな音質を持ったカートリッジで、多少品格に欠けるが一種のふてぶてしさを持った、中高域に張りのある音質は独特である。オーケストラではバランスよく、低域も充分出て、音の奥行きも立体感もなかなかよく出るが、フォルティシモではやや混濁気味で、強奏の際の伸びと分離に多少難点が残る。ピアノは、タッチが明瞭だが、ややこもり気味のところがある。弦合奏は特に難は無いというものの、中高域に幾らか圧迫感がある。ロスアンヘレスの声にもそういう印象が付きまとうし、ヴェルディも強奏部でやや荒くなる。しかし、ジャズやムードではダイナミックな近接感を伴って厚みのある楽しめる音を再生する。

オーケストラ:☆☆☆☆★
ピアノ:☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆★
コーラス:☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆☆
ムード:☆☆☆☆
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:75
コストパフォーマンス:80

ビクター IM-2E/MKII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 レコードのスクラッチが軽く浮き上がり、楽音とノイズがよく分離して、おそらく振動系の軽いカートリッジであることを思わせる。総じて柔らかく軽いクールな音質であるが、試聴メモでは──中低域が不足気味で音の厚みに欠ける。音源が遠ざかる。腰が弱い。充実しない。──といった形容が八枚のレコードに共通していて、音のバランス上、とくに中音域(それもかなり広範囲の)全般に力の欠けた、線の弱い音質である。ハイ・エンド(高域端)にかけて上がり気味の特性が、このけいこうを さらに強調している。オーケストラのフォルティシモでは、音が充分に伸びきらない印象もある。ダンパーが非常に柔らかいらしく、外周で反りの大きなレコードでは、ボディーが盤面をこすり気味であった。

オーケストラ:☆☆☆
ピアノ:☆☆☆
弦楽器:☆☆★
声楽:☆☆★
コーラス:☆☆☆
ジャズ:☆☆★
ムード:☆☆★
打楽器:☆☆★
総合評価55:
コストパフォーマンス:55

グレース F-8C

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 美しく良く抜けた明るい音質。高域に軽い盛り上がりを感じるほかはフラットな印象で、すべてのレコードを安定にトレースする。ヴェルディのレクィエムでは中高域のややうるさいところが難点であること、ピアノが多少安手になること、ジャズではハイが上がっている感じなのに楽器の近接感がそれほど出ないことなどから、中低域の厚みがもう少し欲しく思われるが、総体に明るく、きめ細かで、適度のツヤを持った音質が好ましく、オケのフォルティシモでもよく伸びて歪みっぽさのないところも良い。スクラッチノイズの性質は軽くシャリつく感じで、僅かながら耳につきやすいが、楽音とはよく分離する。こまかな難点はあっても、それをカヴァーする良い所を持った製品のように思われる。

オーケストラ:☆☆☆☆★
ピアノ:☆☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆☆★
声楽:☆☆☆☆★
コーラス:☆☆☆☆
ジャズ:☆☆☆☆
ムード:☆☆☆☆
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:85
コストパフォーマンス:90

デンオン DL-103

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 総体的に上の部に入るカートリッジであろう。物理特性も良さそうだし、聴感上もなかなか好ましい。オーケストラでは音が柔らかくキメ細かで、バランス良く、フォルティシモでの音の伸びも充分だし、歪みも少ない。立体感の再現も良く、楽器の距離感や奥行きの描写に優れている。ピアノもバランス良く、腰のすわった見事な音。弦合奏はやや強さに欠けるが圧迫感がなくハーモニーが美しい。ロスアンヘレスの声もまるくつやっぽいが、声と伴奏との距離感がやや不足。ヴェルディはオケと声部が安定してよく拡がって、やや細いが分離良く澄んだ音で、特に男声が美しい。ジャズも臨場感を伴なって音像が良く浮き上がる。スクラッチノイズは僅かに耳につくが、総じて優れた製品のようだ。

オーケストラ:☆☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆☆
弦楽器:☆☆☆☆★
声楽:☆☆☆☆★
コーラス:☆☆☆☆☆
ジャズ:☆☆☆☆
ムード:☆☆☆☆★
打楽器:☆☆☆☆★
総合評価:90
コストパフォーマンス:95

フィデリティ・リサーチ FR-1MK2

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 スクラッチノイズがよくおさえられ、聴感上の歪みも少ないし、音のバランスも良い。適度の奥行きもあるし、やわらかく、温かいきれいな音で、特にピアノの高域など、いわゆる粒の立ったというのか、タッチの明瞭な独特の美しさも感じられる。強いてあげるべき欠点も無いし、おそらく計測上の特性も相当に良いという製品なのだろうか、どういうものか聴き終わった後の印象が稀薄で、個人的には食指の動きにくい音であった。たとえば、ここにもう少しシャープな切れ味を求めたい。生き生きとした躍動感が欲しい。特にピアノやジャズでは、低域の締まりがやや不足しているし、中音域がもっと充実していて欲しい。フォルティシモでやや音が伸びきらない点も気になった。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆★
声楽:☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆★
ムード:☆☆☆★
打楽器:☆☆☆★
総合評価:75
コストパフォーマンス:80

ナガオカ NR-I

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 かなり美しい音質をもっているのだが、どこか柳腰美人のような腺病質的な音のカートリッジだ。音の左右の拡がりは充分よく出るが奥行きが不足して、従ってやや平面的な印象を免れない。オーケストラの強奏では中低域の充実感に欠け、腰が弱いシリつき気味の音で、ハイ・エンドの上がっているような音質である。ピアノではタッチの弱さや音像の輪郭の甘いところが先に立ちすぎて、ハープシコードのような音になってしまう。弦合奏はそういう癖が逆に美しさにもなるが、ユニゾンの厚みには欠ける。ロスアンヘレスの声は割合美しく、伴奏とのコントラストもよく出る。ジャズやムードでは意外に立体感がよく出て、ややハイ上がりながらおもしろく聴ける。かなり癖の強い製品のようだ。

オーケストラ:☆☆☆★
ピアノ:☆☆★
弦楽器:☆☆☆★
声楽:☆☆☆☆★
コーラス:☆☆☆☆
ジャズ:☆☆☆☆★
ムード:☆☆☆☆★
打楽器:☆☆☆★
総合評価:75
コストパフォーマンス:80

グレース F-8M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 音が幾分平面的で混濁気味になりやすい。ピーク性の音は殆んど聴かれないが、中高域の引っ込みがちの音質で、従ってオーケストラでは奥行きと厚みをやや欠いて、楽器の距離感が充分に再現されず、フォルティシモでは音が充分に伸びきらない。ピアノは、中域全般に力のないソフトタッチで、音がくしゃんとつぶれ気味。弦合奏も中高域の引っ込んだ、こもった感じでつやが余りなく躍動感に乏しい。ロスアンヘレスの声は割合良いが、やや固く金属質に響く。ヴェルディの強奏部では歪みは少なく分離も良いが、音がやや薄く平板だ。ジャズはシンバルが安っぽくなり、ギターはふくらみがなく小型になる。音の素性は悪くないが、製品としてのコントロールに難があるのではないか。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆★
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆★
コーラス:☆☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆☆
ムード:☆☆☆★
打楽器:☆☆☆★
総合評価:75
コストパフォーマンス:80

テクニクス EPC-210C

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 全部のレコードを、きわめて安定にトレースして、全く危なげのない音を聴かせてくれた。おそらく、物理特性のいいカートリッジに違いない。中音域は充実して適度の厚みがあり、温かく柔らかく、刺激も少ない。しかし、音色そのものは明るい方ではなく、やや暗く、重いところがあり、オーケストラや合唱曲では音のバランスが実に見事ではあるが、音離れが良くないというか、スピーカーの中に音がくっついてこちらまで飛んでこないというような、ややもったりしたところがある。ピアノや弦合奏でも、高域の切れ込みにもどかしさを感じるし、打楽器の衝撃音やオケのフォルティシモで十二分に伸びきらないようだ。スクラッチノイズはきわめて少なく、ほとんど耳につかない。

オーケストラ:☆☆☆☆★
ピアノ:☆☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆☆
ムード:☆☆☆☆
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:85
コストパフォーマンス:90

サテン M-11E

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 トーン・コントロールでハイ・ブーストしたような、特異なバランスの音質である。このために、すべてのレコードが、他のカートリッジと比べてまるで音質が変わってしまい、ロスアンヘレスの声などは、ことさらにハスキーになる。しかしこういう華やかで鮮明な音は、他にないだけにうまく使いこなせば貴重なのかもしれない。たとえばオーケストラでは、非常に分離の良いような、ある種のきめ細かさが出るし、ムード音楽は部屋いっぱいに音が浮き上る印象になる。ピアノの打鍵も、鈍く重くまつわりつくものがなくてスカッと抜けて、軽くよく切れ込むタッチである。要するに非常に特徴があるのだが、ここまでバランスをくずしてしまうと、何となく薄っぺらで安手な印象が先に立ってしまう。

オーケストラ:☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆
弦楽器:☆☆★
声楽:☆☆★
コーラス:☆☆★
ジャズ:☆☆☆
ムード:☆☆☆★
打楽器:☆☆☆
総合評価:60
コストパフォーマンス:65

デンオン DL-107

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 ハイ・エンドのしゃくれ上がりは感じられないが、中高域がやや張り出し気味で、スクラッチノイズがわずかながら耳につく。こういう特性のためか総体にやや派手な、明るい印象を受ける。オーケストラは多少勇ましいという感じがあり、ピアノはきらびやかでタッチが軽く、打鍵もしっかりして切れ込みが良い。しかし弦合奏のユニゾンがややうるさく、合唱では特に中高域の張りが目立ちすぎ、内声部の温かみも欠け、ロスアンヘレスの声は、何となくハスキーがかる……というように、音のバランス上難点があった。音の性質(タチ)そのものはそう悪い方ではないのだから、おそらくもっと良くできるカートリッジのはずだ。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆
声楽:☆☆☆★
コーラス:☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆★
ムード:☆☆☆
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:75
コストパフォーマンス:80

フィデリティ・リサーチ FR-5E

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 聴感上では中高域がややひっこみ気味で、ハイ・エンドのしゃくれ上がった特長のある音をもっているが、総じて美しいつやっぽい音質に魅力が感じられる。合唱の項目の点数だけがよくないのは、大編成のオケと混声合唱というように音の厚みを要求される曲であるのは、前記の特性の傾向ゆえか、多少ドンシャリ的な、中音域の薄っぺらな音になってしまったからで、この辺がこのカートリッジの弱点らしい。従って、時間をかけていろいろなレコードでテストすれば、あるいはもっと点数が下がるかもしれないが、今回のテストに限っていえば、歪みの少ない柔らかく美しい音、切れ込みの良いよく抜けた分離の良さ、独特のツヤっぽさ等、一応上位にランクされてよい製品のようだ。

オーケストラ:☆☆☆☆★
ピアノ:☆☆☆☆
弦楽器:☆☆☆☆★
声楽:☆☆☆☆★
コーラス:☆☆☆
ジャズ:☆☆☆☆★
ムード:☆☆☆☆★
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:85
コストパフォーマンス:90

東京サウンド STC-4E

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 音のバランスは仲々良く、欠点の少ない整った音質だが、音色に明るさをやや欠いて、どことなく湿り加減になる。オーケストラでは低域に適度の厚みもあり高域のキメも細かく、音の分離もいいし奥行も深みもあるのだが、何となく音がスピーカーから離れてこないような感じである。ピアノの音もバランスよく、弦合奏もよく溶け合ったハーモニーを聴かせるし、中高域もやわらかく美しい。ロスアンヘレスの声と伴奏のコントラストもよく再現される。要するに素性の良い音なのだが、行儀がよすぎるというか、躍動感とかつややかさをもっと望みたいような暗調の音質がもどかしくて、総じてフォルティシモで音がややつまるようにのびきらないところが残念に思われる。

オーケストラ:☆☆☆☆★
ピアノ:☆☆☆☆
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆☆★
ムード:☆☆☆☆
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:80
コストパフォーマンス:85

グレース F-8L

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 目立った特徴も欠点も無く、ごく穏健な製品のようだ。総体に丸く甘いが聴き易い音である。ハイ・エンド(高域端)はやや上昇ぎみにもおもわれるが、ピーク性のものではなく、これが音に適度のツヤを持たせているようである。オーケストラのフォルティシモや打楽器の衝撃的な音でやや腰が弱くなるが、トレーシングも割合安定しているし、反ったレコードでも不安がない。スクラッチ・ノイズも少なく、雑音の性質は軽く、耳ざわりでない。「ツァラトゥストラ」のフォルティシモや「レクィエム」の大合唱で、音の分離が幾分物足りないこと、柔らかく聴き易いがやや薄手で、音の奥行きに不足を感じることや、強奏の部分で僅かだが音にあらさが残る点が気になった。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆☆
ジャズ:☆☆☆★
ムード:☆☆☆☆
打楽器:☆☆☆★
総合評価:80
コストパフォーマンス:85

オーディオテクニカ AT-35X

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 中高域が多少張り出す感じだが、耳ざわりなピークもなく、圧迫感のない滑らかな音を聴かせる。中低域は幾らかふくみ声のような丸い感じでおとなしいが、総体に明るい新野しっかりした音質で、音像が甘くならない。特に弦合奏はつややかでハーモニーが美しい。ピアノの音色も独特で、コロコロとタッチが明瞭。ロスアンヘレスの声はやや中抜けのような気がするが、ヴェルディの大合唱で男声がしっかりきれいにハモるのは、音のバランスに難点が少ないためだろう。ジャズはややおとなしく迫力に欠けるが、近接感を伴って楽しく聴ける。立夏如何がよく出るが大編成のフォルティシモでは、音が僅かに荒くなる傾向がなくてもない。しかしトレースは割合安定している。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆☆☆
弦楽器:☆☆☆☆☆
声楽:☆☆☆★
コーラス:☆☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆☆★
ムード:☆☆☆☆★
打楽器:☆☆☆☆★
総合評価:90
コストパフォーマンス:100

スペックス SD-801 EXCEL

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 これは非常に特徴ある音だ。低域の独特の厚みというか、ふてぶてしいと言いたい程の量感は一度聴いたら忘れ難い。特にジャズやムード(今回試聴に使ったディスク)の場合には、ホットなプレイを楽しむ雰囲気をかもし出す。しかしこの低域はやや重く粘って、しかも不思議なエコーがつく感じで、ピアノやベースの音離れがよくない。中域の充実感は充分だが、弦やピアノではときとしてややキャンつく傾向がある。中高音域からハイ・エンドにかけては、ダラ下りになったようなレンジの狭い感じの音質で切れ込みが物足りない。かなり低い周波数にスペクトラムを持つ重いスクラッチ・ノイズが、楽音にまつわりつくように耳障りな傾向があった。

オーケストラ:☆☆☆★
ピアノ:☆☆☆★
弦楽器☆☆☆☆★
声楽:☆☆☆☆
コーラス:☆☆☆☆
ジャズ:☆☆☆☆★
ムード:☆☆☆☆★
打楽器:☆☆☆☆
総合評価:80
コストパフォーマンス:90

パイオニア PC-20

瀬川冬樹

ステレオサウンド 12号(1969年9月発行)
特集・「最新カートリッジ40機種のブラインド試聴」より

 低域から中域にかけての音域がやや弱く、高域端が上がっているようなバランスで、腰が弱いがあたりはやわらかく、耳あたりのよい音質である。繊細感も適度にあってひずみも少なく美しい。ピアノのタッチはやわらかすぎるきらいがあるが、こまかい音もよく出る。ただ、中音域の力が弱いせいか音が平面的で、ややこもり気味のところがある。弦合奏はよく溶け合うが、躍動感に欠けてきれいごとの感じ。ロスアンヘレスは多少ふくらみ声で、おもしろ味に欠けるが、耳あたりがやわらかい。ヴェルディでは、さすがに内声部の厚みに掛けて、特に男声の美しさが感じられない。総じて柔らかすぎる印象だが、バッググラウンド的に聴き流すには好適の音のように思う。

オーケストラ:☆☆☆☆
ピアノ:☆☆☆★
弦楽器:☆☆☆☆
声楽:☆☆☆★
コーラス:☆☆☆★
ジャズ:☆☆☆★
ムード:☆☆☆★
打楽器:☆☆☆★
総合評価:70
コストパフォーマンス:80

オンキョー Integra 701, Integra 712, Integra 713, Integra 714, Integra 613

オンキョーのプリメインアンプIntegra 701、Integra 712、Integra 713、Integra 714。パワーアンプIntegra 613の広告
(スイングジャーナル 1969年9月号掲載)

Onkyo

ソニー TC-560D

ソニーのオープンリールデッキTC560Dの広告
(スイングジャーナル 1969年9月号掲載)

TC560D

サンスイ CD-5

サンスイのエレクトリッククロスオーバーネットワークCD5の広告
(スイングジャーナル 1969年9月号掲載)

CD5

サンスイ AU-777D

サンスイのプリメインアンプAU777Dの広告
(スイングジャーナル 1969年9月号掲載)

AU777D

パイオニア PL-25D

パイオニアのアナログプレーヤーPL25Dの広告
(スイングジャーナル 1969年9月号掲載)

PL25D

ビクター ARM-1000

ビクターのトーンアームARM1000の広告
(スイングジャーナル 1969年9月号掲載)

ARM1000