サンスイの4チャンネルデコーダーQS1、4チャンネルアダプターQS10、QS100の広告
(スイングジャーナル 1972年5月号掲載)
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サンスイ QS-1, QS-100
ビクター CCR-667
菅野沖彦
スイングジャーナル 5月号(1972年4月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
CCR667は日本ビクターの発売した最も新しいカセット・デッキである。カセット・デッキというのは、カセット・テープを使ってステレオの録音再生ができるデッキ・タイプのテープレコーダーで、出力はラインで出るから、これをステレオ・アンプのライン入力回路に入れて使うように作られているもの。そして、一般に、カセット・レコーダーというと、それ自体にパワー・アンプとスピーカーを内蔵してしいて、他のアンプなどにつながなくても再生音がきけるものをいう。いいかえれば、カセット式のテープレコーダーの場合には、家の中に据置いて使うものがデッキ、どこへでも持って歩けるものが、カセット・レコーダーというように考えてよいだろう。また、今、はやりのコンポーネント・システムという概念でいけば、カセット・デッキはそれ自体では音が出ないし、高級なシステムにつないで使うように、設計されているから、これはカセット・コンポーネント、あるいは、コンポーネント・カセットと呼んでもよさそうである。いずれにしても、カセット・デッキはカセット式の高級機であって、ハイ・ファイ・マニアの音質的要求にも応えるものというのが条件である。カセットはそもそも開発の意図からして、簡便、小型、軽量という使いやすさを第一の目的としてきた。したがって、その範囲での音質向上は当然計られるにしても、本来の〝イージー・ハンドリング〟〝コンパクトネス〟といった特徴を犠牲にしてまでもハイ・ファイ再生を目指すようになろうとは想像出来なかったのである。それは、やや馬鹿げたことにも思えたし、第一、あんな細いテープで、しかもゆっくり廻して、そんな高性能が得られるわけもないと誰もが考えたにちがいないのである。しかし、そうした馬鹿げたことをも、馬鹿げたことと感じさせないのが技術の進歩というものらしく、最近のカセットの性能は、オープン・リールのテープ・デッキ並の大型化をも不満と感じさせないだけのものとなってしまったようである。
このCCR667を使ってみても、そのカセット本来の特質を失った堂々たるデッキのスタイルが気にならないだけの性能をもっているのであった。これで、音質が悪かったり、ノイズが聞くに耐えなかったりしたら、途端に、カセットの数十倍もあろうと思われる大きさに腹が立ってくるところだろう。
CCR667はビクターが独自に開発したノイズ・リダクション・システムANRSが内蔵している点を第一のフューチャーとすべきだろう。これは、有名なドルビー・システムと同じような考え方による回路であって、入力信号が小さい時に、高域における録音レベルを上げ(伸長)てテープに録音し、再生の時に、その分を下げ(圧縮)てやることにより、耳につくテープ・ヒスを減らそうというものである。つまり、ハイ・レベル録音でS/Nをかせぐというテープ録音のコツを利用して、これをたくみに電気回路で自動動作をさせたものである。そしてこのANRS(AUTOMATIC NOISE REDCTION SYSTEM)はドルビー・システムとの互換性があるそうだから都合がいい。それにしても、同じ考え方、同じような動作、さらに互換性もあるとなると、世界的特許を盾に、世界中の市境を席巻しているドルビー氏との関係はどのようになっているのだろうか? というヤジウマ根性が首をもたげてくる。
第2のフューチャーはクローム・テープに対する適応性である。ごぞんじのことと思うが、最近のテープ界の話題となっているクローム・テープは、従来の磁気テープが、ガンマフェマタイトという酸化鉄の微粒子を磁性体として使っていたが、この新しいテープはクロミダイオキサイド(CrO2)という合金の微粒子を磁性体としたもので、その磁気特性はまったくちがうものだ。テープに録音をするにあたって、あらかじめ高い周波数の交流電流を磁気ヘッドに流し、これに信号を重ねてテープを磁化する交流バイアス法が現在使われているが、そのバイアス電流の量はそれぞれのテープの磁性の特質によって異るのがテープ・レコーダーの厄介な問題の一つであった。クローム・テープとまでいかなくとも酸化鉄系のものでも、普通のテープと、ロー・ノイズ・タイプとでは性格が異り、同じバイアス電流量で使うと周波数特性に変化が起きたり、歪の少ない録音がとれなかったりという不都合が起きた。正しく使うと高性能を発揮するテープでもまちがった使い方をするとかえって悪い結果に終る、というわけだ。これがテープとデッキの適応の問題で、クローム・テープは、そのために設計されたデッキではないと使えないのである。このテープ・デッキは普通のテープとクロームとの二点切換スイッチがついていて、クローム対策は万全であり、実際、同社ブランドのクローム・テープを使ってFMやレコードから録音してみたが、なかなかよい。またフジ・フイルムのクローム・テープが手元にあったので使ってみたが、ANRSと併用して、とてもカセットとは思えない結果が得られた。メカニズムも安定していてドロップ・アウトも少なく、カセット特有だったフラフラとレベルが変動することがなかった。リニアー式のレベル・アッテネーターも確実だし適度に軽くて気持がよい。またテープの巻き終りで、ライト・ビーム・センシングによるカセットのポップ・アップ機構がついているのも便利だし、全体のデザイン・イメージもマニアの好みに合いそうだ。ヘッドまわりのクリ−ニングもカバーをとりはずすことによって容易に出来るような配慮があって好ましい。
ヤマハ YP-700
岩崎千明
スイングジャーナル 5月号(1972年4月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
ヤマハのプレイヤー、と聴いて、昔のプロフェショナル仕様のプレイヤーを思い浮かべた方がいたら、それは、本格派のベテランマニアに違いない。モノーラル時代の盛んなりし頃、たしか30年ごろだったと記憶するが、リムドライブ型フォノ・モーターと、例の長三角形のオイル・ダンプド・ワンポイントサポート方式のアームを組合せた、プレイヤーをヤマハ・ブランドで市販した。高級マニアのひとつの理想が、このプレイヤーに凝縮され息吹いていた。このプレイヤーを手がけたのは現在のティアック、東京電気音響のさらに前身であったのだが、放送局のモニタールームなどにあったレコード再生機のイメージがそのまま市販品として再現されていた。形だけではなく、その性能も、規格もプロ用に匹敬して今日において歴史に残る名作と謳われるべき高性能機種であった。
今、ヤマハのプレイヤーを前に置いて、かつての名作を思い浮かべる時、眼の前にあるプレイヤーは、昔のものとはイメージすら全然異なるものであるのは確かだがそれはそのまま我国のハイファイの推移を具象化した形で示していることを感じた。
かつて、ハイファイは一般の音楽ファンにとって高嶺の花でしかなかった。
今日のように、多くのファンやマニアの間にオーディオが定着した現実と、ヤマハというブランドがオーディオ産業の奈辺に存在するかに思いをいたせば、この新型プレイヤーの外観と、志向する性能が、昔日と全く異なるのはしごく当然といえよう。購買層ファン自体が、大きく変ったのである。共通点はただひとつ、ターンテーブル上のゴムシートのパターンだけだ。
新製品YP700は、セミ・オートマチック・プレイヤーである。つまりレコードの音溝の上にアームを位置させてプレイ・ボタンをおせば、アームは静かにレコード上におり、演奏が終われば、アームは上って静かに定位置に戻りレスト上に止る。
この新製品がセミ・オートマチック・プレイヤーであるということで、現在のヤマハの狙っている層が、昔日のように一部の超高級マニアではなくもっと若い広い層を考えていることが判ろうというものである。
ターンテーブルは今日では高級品としてオーソドックスなべルト・ドライブ方式で、大きなメタル・ボードの左奥にアウター・ローター型シンクロナス・モーターがあり、三角形のカバーがその位置を示している。この位置は、カートリッジのレコード面上の軌跡からもっとも遠い位置であり、この一点を見てもプレイヤーの設計にオーソドックスながら十分な配慮がなされていることが判る。事実、カートリッジ針先をモーターボードに直接のせてボリュームを上げてみてもスピーカーから洩れるモーターゴロは微少で、モーター自体からの雑音発生量の少ないのが確められる。
これはモーターボードの厚くガッチリした重量による効果も大きく見逃せない利点だ。
さて、このプレイヤーのウィーク・ポイントは、アームのデザインにあるようだ。使ってみて、扱いやすく、誰にでも間違えることのない優れたアームとは思うが、ただ取り柄のまったくないありきたりのパイプアームだ。シンプルというには後方のラテラル・バランサーなどがついており、多分、これが特長としたいのだろうが、このラテラルバランサーと対称的にインサイド・フォース・キャンセラーが、アーム外側につけられている。アームは、実用的であると同時に、毎日これと対決を余儀なくさせられる音楽ファンの、マニア根性を、もう少し刺激して欲しいパーソナリティーを望みたい。
ちょっとだけ不満な点にふれたがこのプレイヤーの最大メリットが2つある。まずヤマハならではの、豪華にして精緻なローズウッドのケースの仕上げだ。圧巻というほかない。
もうひとつの大きなプラスアルファはカートリッジにマニアの嬉しがるシュア・75タイプIIがついていることだ。タイプIIになってスッキリした音が一段と透明感を強めた傑作カートリッジが、オプションでなく、始めからついているのは、このプレイヤーの49000円という価格を考えると魅力を一段と増しているといえよう。
ダイヤトーン DA-Q100
テクニクス RS-275U
ビクター CCR-667
パイオニア QL-60A, QD-210
ニッコー TRM-300, FAM-300
パイオニア SX-717, SX-414
オットー RD-4300
トリオ KX-700
ヤマハ YP-700, NS-310, NS-570
デンオン VS-170, VS-270, VS-560
パイオニア PL-25E, PL-31E
オンキョー E-53A, E-83A MKII, U-4500, U-6000, SCEPTER 100
ヤマハ CA-700, CT-700
アカイ GX-220D
Lo-D HS-350
パイオニア AS-30 + LEB-30, AS-21 + LEB-20
岩崎千明
スイングジャーナル 4月号(1972年3月発行)
「audio in action」より
ステレオ・メーカーが相次いでキットを出した。トリオのアンプ・キット、ラックスの真空管アンナ・キット、さらにパイオニアがスピーカー・システムのキットを市場に送った。この新らしい試みは、不況に関連しての目玉商品としてではなく、週休2日制の声がしばしば聞かれるレジャー時代に即応した新商品としての登場である。
いわゆるホビーとしても、ステレオやオーディオはハイセンスなことこのうえなく、単に高級パズルとしてだけでなく音楽という趣味性の高度な感覚がからんで、現代の、知識層にとって計り切れないほど強くかつ、深い魅力を秘めているといえよう。
キットは、その端的な具体化商品なのである。
パイオニアのスピーカー・キットにはAS30、30センチ低音用3ウェイ、AS22、20センチ低音用2ウェイ(ダイアフラム型高音用)、AS21、20センチ低音用2ウェイの3種類がある。価格はAS30が12、000円、AS22が5、500円、AS21が4、400円となっており、それの専用ボックスが2種類売り出されている。
LEB30 AS30用 12、000円
LEB20 AS21、22用 9、000円
従って、3ウェイ用としては、LEB30とAS30を購入すればよく、価格は24、000円ということになる。この3ウェイに匹敵するパイオニアのシステムはCS−E700で、こちらは35、000円なので、スピーカー・システム・キットの方がなんと1万1千円も安くなることになる。(厳密にいうと、CS−E700の方は高音用ホーンが、マルチセラーになっているので、キットよりも高音域の拡散性がより優れていることは確かだが)。
LEB20とAS22の組合せは、パイオニア・システムCS−E400に匹敵し、レベル・コントロールのないことを除いてまったく同じだが価格はシステムが19、900円なのに対してキットの方は13、500円である。さらにLEB20とAS21の組合せはCS−E350に相当するが箱は、キットの方がひとまわり大きく、低音のスケールは一段と大きい。システムのCS−E350の14、500円に対してキットはLEB20とAS21で13、400円と差は少ないが外観がひとまわり大きい。
さて、今回AS30、3ウェイの大型のキットと、もっとも普及型であるAS21を試作してみた。
キットとしては大へんに工作が楽で穴をあけたり、切ったりする必要は全然なく、箱にスピーカーを取り付けて「ネットワーク」をハンタづけする、というだけの、イージーメイクな、万人向きのキットといえよう。
付属の説明書を頼りに進めれば、少しもまごつくことなしに完成できるが、ハンタづけのウデの確かな方ならおそらく1時間ぐらいで、2個を作り終るであろう。
ハンダづけの未経験な方は、ネットワークとスピーカー端子のハンダづけに苦労するかもしれない。
ハンダづけの要領にちょっとふれておこう。
①ハンダゴテはあまり熱くしすぎてもいけない。糸ハンダをコテ先に押しつけ溶け出して、先にたまるぐらいがちょうどよい。これよりも熱過ぎるとハンダが玉になって下におち、コテ先に付いてくれないから注意。
②コテ先にハンダがよくのったら、導線をからげたハンダづけするべき所におしつけ糸ハンダを、コテ先に触れさせると、端子全体にハンダがよくのってくる。
③そこでつけるべき導線の先までハンダを盛るようにする。ただし、ハンダの量は少ないほどよい。
とこう書くと色々と大へんな手間だが、実際は一箇所ハンタづけするのに3秒ぐらいのものだ。工作に当ってのたったひとつの注意は、中につまっているグラスウールだ。これは眼に入るとチクチクと痛いし腕にでも付着するとチクチクしてなかなかとれない。もともとガラスの細い繊維だからなるべく素肌には触れない方がよいので、そっと扱い、こまかいのが空気中に飛ばぬように注意する。スピーカーをつつんでいた布袋を利用してグラスウール全体をスッポリと被ってしまえば扱いやすい。
さて、スピーカー・ボックスにある端子板に、青白の入力コードをハンダづけする。あせって青白のむきを間違えないよう。+側が青です。ネットワークはスピーカーのボードがかたいのでネジ止めが大ヘンなので、セメダインかボンドを推める。ネジは1本か2本だけでよい。
出来上ってみると苦労のしがいがあったのが嬉しい。
さて、音を出してみよう。もし確実に1工程、1工程確めながらやってあれば信頼できるが、そうでないと、出来てからの心配や苦労が多いもの。
この辺がキット作りのコツともいえる。
く試聴記〉
キットだからと最初はたかをくくっていた。「CS−E700と同じだから社員でさえ買うものがたくさんいるほど。これはスピーカー・メーカーとしてのパイオニアのサービス商品だ。」といったのはスピーカー課長の所次にいる山室氏だが、まさかそのまま受取れるほどのことはあるまいと思ってたのだが。どうしてどうして、大した製品である。キットとはいえ、まさにパイオニアの本格的3ウェイの音だ。つまりCS−E700と変らないといってもよかろう。堂々たる量感あふれる低音、豊かなエネルギーを感じさせる品の良い中音域。輝きに満ちた高音。
パイオニアの良識あるハイファイ・サウンドはジャズのバイタリティを力強く再現してくれる。ヴォリュームを上げた場合の楽器の再現性はバツグンだ。AS21の方はコーン型トゥイーターで歌の生々しさが特筆。全体にソフトタッチのバランスのよい音で、再生のクォリティーは高く、使いよさの点で誰にも推められよう。アトランティックのキース・ジャレットの美しいタッチが力強さに溢れた感じが加わるから不思議だ。






















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