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ヤマハ C-50 + B-50

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 このスピーカーのもちあじをこのましくいかしていた。ひびきがみずみずしくあかいのがよかった。⑤のレコードではもう少しひびきにしなやかさがほしいと思ったが、ほかの4枚のレコードでの結果は、デリケートさにも力強さにもこのましく反応していて、ききごたえがあった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 このスピーカーの弱点をうまくおさえたならし方というべきであろう。総じてひびきがいくぶん重くなるところはあったものの、暗くくすんだ感じにならないところがよかった。⑤のレコードではこのスピーカーのもちあじがいかされていて、ふっくらとしたひびきに魅力が感じられた。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 ⑤のレコードでのチェロの音が太くきこえすぎるような傾向があり、その傾向が全体的にいえなくもなかった。②のレコードでの結果が、音のちらばり方の提示にしても力強い音の示し方にしてもすぐれていて、ベストであった。①のレコードでは弦のひびきがいくぶん硬すぎた。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

スレッショルド FET two + S/500

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 力をともなった明瞭さとでもいうべきか。マランツSc1000+Sm700ほどの積極性はないが、その分だけ正確のちがうひびきへの対応が敏感だということがいえる。②のレコードでの力強い音への対応と⑤のレコードでのしなやかな音への対応を対比させることによってこのアンプの特徴が浮びあがる。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 ひびきはかならずしもあかるいとはいいがたいが、音像のくっきりした提示は特徴的である。⑤のレコードでの各楽器のひびきの性格の示し方にはきくべきものがる。③のレコードでは力感の提示にものたりなさを感じるものの、このスピーカーではこれはやむをいえないことというべきであろう。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 きわだって鋭敏である。①のレコードではトゥッティではそこでなっているすべての楽器がききわけられるといっても過言ではない。⑤のレコードではたっぷりひびいて、しかも音像がくずれない。④のレコードで示されたなまなましさはまことに印象的であった。「現代的」な音というべきか。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

マランツ Sc1000 + Sm700

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 このスピーカーのもちあじを目一杯示しているといった積極的ななりっぷりである。⑤のレコードなどではひびきに力がつきすぎているようにも感じられなくてもないが、提示がごり押しになることはなく、またひびきがぼてっとすることもない。いい意味での陽性の積極性があるためといえよう。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 このスピーカーじたいの力強い音に対する反応の不充分さをかなりの程度おぎなっている。しかしながら②のレコードでのバス・ドラムのひびきなどではつらいところがある。④のレコードであきらかにされる音楽の息づかいはなまなましい。音像は全体的に大きめではあるが……。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ⑤のレコードでひびきがいくぶん骨太になりすぎることを別にすれば、このアンプの陽性の積極性が充分にいかされている。②のレコードでのアタックの鋭い音などは力感にみちていて見事である。①のレコードではひびきのきめこまかさがいきている。4343のいいところがいかされている。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

デンオン PRA-6000 + POA-8000

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 たっぷりとして明るいひびきに魅力を感じる向きもあるであろう。よくみがきあげられた、しかも腰のすわった音である。⑤のレコードできけるようなひびきへの対応はかならずしもこのましいとはいいがたいが、①のレコードなどは堂々とひびかせて独自の迫力をうみだす。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★
 このアンプのもちあじであるところのみがかれた音がここでもいかされている。ここできける嫌味のないおっとりしたひびきはそのためのものと考えていいであろう。ただ、できることならシャープなひびきへの対応でもう少し敏感なところがあれば、さらにはえたであろうと思わなくもない。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 ②のレコードなどは独自の迫力を示す。腰のすわった見事なひびきというべきかもしれない。④のレコードできける声のなめらかさもこのましい。しかしながらここできける音は4343の音としてはいくぶん異色でル。迫力にとんではいるが、音場感の面で多少狭めである。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

パイオニア C-Z1a + M-Z1a

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 なめらかなひびきをきかせる。あかるく、あたたかいひびきである。いくぶん力強さの提示に不足がちではあるが、③のレコードでのベースの音がふくらみすぎないところにこのアンプのよさを認めるべきであろう。⑤のレコードでもひびきのデリケートさによく対応できている。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 総じて音像が大きくなりがちではあるが、ひびきにきめこまかさがるので提示がごり押しにならないところがこのましい。④のレコードで歌い手たちがマイクロフォンの近くでうたっていることをなまなましく示す。①のレコードでの弦のひびきなどは艶があって美しい。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 スピーカーに、あるいはソースにしなやかによりそうアンプとみるべきであろう。それぞれのレコードのあちあじをこのましくいかしていた。ただ、パワー不足ゆえであろうか、もう一歩踏みこんでの力感にみちた音を望みたくなる。全体的に音像は心もち大きめであった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

テクニクス SU-A8 + SE-A7

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 もう少しシャープな反応を示すアンプの方が、このスピーカーのよさをあきらかにするであろう。④や⑤のレコードでのひびきのやわらかさはそれなりにこのましいが、音にべとつきがなくもない。そのために音像が心もち大きめである。③のレコードはこのましかった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★
 ④のレコードではしたっ:ている人と人との間が狭く感じられた。わざとしらい今日朝刊の内のはこのましいが、総じてひびきがったりするので、いきいきした感じがあきらかになりにくい。①のレコードでは細部の音の動きがいくぶんあいまいになっていたのがおしまれた。
JBL・4343Bへの対応度:★
 このスピーカーの反応としては思いもかけぬ反応というべきであろうが、ひびきがたるんで重く感じられた。④のレコードではきわだって音像が大きかった。③のレコードでのベースの音もふくらんで本来の迫力を示しえていなかった。①のレコードでの結果がもっともこのましかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

エスプリ TA-E900 + TA-N900

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 いずれのレコードでもすっきりと提示されていた。いくぶんクールにすぎるかなと思わなくもなかったが、この示し方の「正確」さはやはり美点というべきであろう。しかしながら③のレコードなどではひびきの熱を伝えきれていなかった。音の距離を感じてしまうなり方とでもいうべきか。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 ひびきの暗さが気にならなくもないが、バランスのよさが印象的であった。④と⑤のレコードでのきこえ方が、ひびきのきめこまかさによく対応できていて、このましかった。③のレコードでは迫力に欠けるきらいはあるとしても、まとまりがよかった。①のレコードでは遠近感もよく示した。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 過度にきらびやかになることをおさえて、JBLから品位のある音をひきだしたといっていいであろう。総じてひっそりとはしているが、みがきあげられたなめらかな音のこのましさがあった。いずれのレコードに対しても、それぞれのひびきの特徴をひかえめに示した。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

SAE P101 + A1001

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 スリムなひびきのよさというべきか。⑤のレコードではひびきにもう少し肉がついてもいいように思うが、ごり押しになったり、ぼてっとしたりしないところをよしとするべきかもしれない。④のレコードでの六人の歌い手の横へのひろがりは自然に無理なく提示されていた。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 いくぶん積極性に欠けるひびきの暗いのが気にならなくもない。②や③のレコードはこのスピーカーとこの組合せにはあわない。④のレコードでのいくぶんひっそりしたきこえ方には独特の魅力があった。⑤のレコードでのひびきのとけあい方もよくわかった。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 すっきりとした提示に特徴がある。①のレコードでの個々の楽器のひびきの性格をよく示すが、かならずしもひびきそのものをおしだしてこない。②や③のレコードで迫力の不足を感じなくもない。④のレコードでの声にはもう少し円やかさがほしい。音場感の面ではすぐれている。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

マークレビンソン ML-7L + ML-3L

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 ①のレコードではオーケストラのひびきがぐっと押しだされてくる。尋常ならざる迫力というべきである。⑤のレコードにおけるチェロの音は充分にやわらかく、しかもその音に力が感じられる。③のレコードで和音をひくピアノの重い音も見事に示されている。円みのある音の提示で特にすぐれている。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 いずれのレコードでも音場感的に狭く感じられた。④のレコードでは右のバスの方がきわだつ傾向があった。⑤のレコードにおける三つの楽器の音色の対比も十全であった。①のレコードでのトゥッティではもう少し鮮明であってもいいと思った。②のレコードでは充分な迫力を示した。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ①のレコードでのバスのひびきはすばらしい。ここにあるのは下品にならない馬力とでもいうべきものである。それでいながら④のレコードでの6人6色の声の色あいのちがいをも鮮明に示したし、⑤のレコードでのフラウト・トラヴェルソの強奏したときと弱奏したときのちがいも完璧に提示した。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

ハーマンカードン Citation XXP + Citation XX

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 敏感に反応する音というべきか。おしつけがましさのない明快さがここでの美点である。さらにこれで力強い音に対しても十全に反応できればと思わないではいられない。④のレコードでは右にいるバスより左にいるカウンター・テナーの方がきわだつ傾向がある。⑤のレコードのチェロはほっそりひびいた。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 切れこみ鋭いとはいいがたいが、このクールな提示には魅力がある。④のレコードでカウンター・テナーの方がきわだつことでは、NS1000Mの場合とかわらない。②と③のレコードでは力強い音に対しての反応でものたりなさを感じる。①のレコードでの木管のひびきはきめこまかく美しい。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 とても片チャンネル250Wの出力があるアンプでならした4343とは思えない軽やかな音がする。しかしながらこのひびきはきめがこまかくさわやかである。⑤のレコードでのフラウト・トラヴェルソのひびきの提示などは見事である。③のレコードではベースの音がふくれぎみであった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

オーディオリサーチ SP-8 + D-90B

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 いくぶん硬質な音でひびきの輪郭をはっきり示す。低い方の音の提示にものたりなさをおぼえる。②のレコードでのバス・ドラムの音などはいくぶんききとりにくい。③のレコードでの提示はまとまりはいいものの、小ぶりな提示でとどまる。もう少したっぷりしたひびきがほしい。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 このスピーカーでは低い方の音がふくれぎみになることがままあるが、その辺をうまくおさえているので、まとまりがいい。③のレコードでは、本来の迫力は示しえてはいないが、雰囲気ゆたかな提示はこのましい。⑤のレコードではチェロがいくぶん細めにひびく傾向がある。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ③のレコードでのきこえ方が力感不足でものたりないのはいかなる理由でか。②のレコードでは充分に迫力が感じとれる。⑤のレコードでは三つの楽器のいずれもが多少太めに提示される。もっともこのましかったのは④のレコードで、6人の声の色あいのちがいをよく示していた。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

マッキントッシュ C33 + MC2255

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 ひびきは上品であり、ゆたかである。しかしながら個人的な好みでいわせていただければ、いくぶんひびきに肉がつきすぎていると思う。そのためと考えていいと思うが、音像は総じて大きめである。いずれのレコードでもバランスがとれていて、しかもその提示のしかたには独自の表情がある。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 とりわけ②や③のレコードで感じることであるが、ひびきの角がとれすぎている。むろんそれなりの迫力はうみだすが、シャープさの点でもものたりなさが残る。①のレコードでの重心の低いひびきは特徴的であった。細部の音の動きがさらに鮮明に示されれば音としての説得力もますのであろうが。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 スレッショルドのきかせた音の対極にある音というべきである。⑤のレコードできかせた円やかであたたかいひびきにこのアンプの魅力を認めるべきであろう。ひびきのストレートななまなましさを求めたら、ここでは不満をおぼえるはずである。①のレコードでのヴァイオリンの音は美しかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

アキュフェーズ C-240 + M-100

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 音がこっちに向ってくるというより横にひろがる傾向があるようである。ひびきには多少の湿り気があり、そのために⑤のレコードでの音などは独自のなまなましさを示すともいえる。②、ないしは③のレコードなどは、この組合せに適していない。力強い音への対応でいくぶんものたりないところがある。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 ごり押しにならないところは美点であるが、消極的にすぎるといえなくもない。①のレコードではひびきが音場的に横にひろがり、そのためかどうか、音の身ぶりが大きく感じられる。しかしながら音像そのものはかならずしも大きいとはいえない。ひびきは暗めである。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 4343でのきこえ方としては異色というべきであろうが、③のレコードでのベースの音がふくらみぎみであった。①のレコードではひびきが総じて重く感じられた。②のレコードは効果的にきかせはするものの、本来の力強さを求めるといま一歩といわざるをえなかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

パイオニア Exclusive C3a + Exclusive M5

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 みがきあげられた音をきかせた。①のレコードでのヴァイオリンの音には充分ななめらかさがあった。⑤のレコードでの三つの楽器の音色面での、さらに音場面での対比も十全であった。①のレコードでのトゥッティでさらに細部が鮮明になればいうことないのであるが。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 ①のレコードでの遠近感の提示はすぐれていた。腰のすわった音をきかせはしたものの、③のレコードではスケール感にいくぶん不足する。④のレコードの音場は狭めだが、⑤のレコードではひろがりが感じられた。⑤のレコードでのヴァイオリンはしなやかでとびきり美しかった。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 すばらしい。①のレコードでのトランペットの直進するひびきの提示は見事である。その一方で④のレコードでは音が織りなす綾を立体的になまなましく示した。③のレコードでピアノによってたたきだされる和音には充分な重量感があった。それぞれのレコードの音の特徴をこのましく示した。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

RGR model four + model five

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★
 このスピーカーにはあわないアンプといえそうである。ひびきが妙に古風である。②のレコードで本来ならきこえるべきストレートなひびきがききとれない。バス・ドラムの音のふくれも気になる。一種独特のあじつけのある音というべきか。ひびきのひろがりの提示は充分である。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 あたたかいひびきが特徴的である。④のレコードできける声にはつくりものめいたところがなくもない。①のレコードでのたっぷりしたひびきはこのましい。響きの横のひろがりにはよく対応するが、奥行きの提示ではものたりない。アトラクティヴにきかせはするが……。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ⑤のレコードでひびきのしなやかさを示しながら消極的になりすぎないところにこのアンプのもちあじを認めるべきかもしれない。①のレコードもこのスピーカーでは遠近感をあきらかにできている。③のレコードではベースの音がふくれるので音楽としてのはずみがあきらかになりにくい。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

オーレックス SY-Λ88II + SC-Λ99

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 大変にクォリティの高い音である。音ばなれがいいためか、独特のなまなましさがある。力のある音への対応はすぐれている。問題はやわらかい音である。⑤のレコードでのフラウト・トラヴェルソの音がまるでモダーン・フルートの音のような感じであった。音場的にはある程度のひろがりを示した。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 ①のレコードでのきこえ方が思いのほか平面的であった。とるべきは④、ないしは⑤のレコードでのきこえ方であった。ひびきのきめこまかさがそこではいきていた。③のレコードではベースの音がふくらみ、総じて浅いひびきになっていた。ダイナミックな音には不向きな組合せというべきであろう。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 もう少しパワフルであってもいいようにも思うが、ここにはモデラートの美徳があるといえなくもない。ただ、④と⑤のレコードではひびきが硬くなりすぎる。⑤のレコードでのチェロなどは太くひびく。③のレコードでのひびきのバランスはこのましい。①のレコードでは画期の音色が鮮明に示される。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

ビクター P-L10 + M-L10

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 暖色系の音である。ごりおしにならない積極性がこのましい。そのために①のレコードでは大編成のオーケストラならではの迫力があきらかになる。ただ、総じて音像がふくらみぎみで、④のレコードでは子音の提示が弱くなっていた。ひびきにぎすぎすしたところがないのはこのましい。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 アンプの性格がスピーカーのもちあじをおさえこんでいるというべきか。たっぷりしたひびきが特徴的である。①のレコードでのオーケストラの音がまるでフィラデルフィア管弦楽団のように感じられる。③のレコードでは腰の低い音がきわだち、独自のなまなましさを示した。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ひびきをおしだす積極性はかなりのものである。①、②、③のレコードでは力強い音をこのましく示したが、④のレコードではNS1000Mの場合同様に子音が弱く、⑤のレコードではひびきのしなやかさに充分に対応しきれていたとはいいがたかった。音場的なひろがりでももう一歩と思わせた。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

エスプリ TA-E901 + TA-N901

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 ひびきがいくぶん煮つまった感じになったのはいかなる理由によるのか。③のレコードでは熱くるしい音場感になっていた。②のレコードでは音のエネルギーを目一杯おしだしているという印象であった。①のレコードでの重量感のあるひびきはききごたえのあるものではあったが……。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 ともするとひびきが粗くなるようなこのスピーカーの弱点をうまくおさえてはいたものの、総じて音像が大きくなるのは気になった。④、ないしは⑤のレコードでの無理なくひろがるひびきはこのましかった。⑤のレコードではまた、やわらかいひびきの特徴も充分に示しえていた。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 重量感のある音への対応のよさからこのアンプの力量を判断すべきかもしれない。②、ないしは③のレコードで示された力強い音にはきくべきものがあった。しかしながらその一方で⑤のレコードではチェロが太くひびきすぎるきらいがなくもなかった。しなやかさより力強さの提示にすぐれていた。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

クレル PAM-2 + KSA-100

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 生気にとんだ音をきかせてくれる。⑤のレコードでのフラウト・トラヴェルソのひびきの独自のかすれをこれほどなまなましく示した例は他にはなかった。また②のレコードでは音楽の流れのスピード感もよく示して見事であった。スレッショルドには感じとれなかったひびきのあたたかさがここにはあった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 ④のレコードでは6人の歌い手のそれぞれの顔がみえるようななまなましさを示した。③のレコードでのベースの音が過度にふくらむのをおさえていたのは、このアンプの性能によるとみるべきであろう。①のレコードでも大編成のオーケストラならではのひびきの多彩さをあじわえた。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ひびきの量感の提示ということでいえば、この組合せできけたものが今回の試聴でのベストであった。その一方で、⑤のレコードでのフラウト・トラヴェルソのフォルテとピアノでの音色の微妙な変化にも、ほぼ完璧に対応していた。ほれぼれときいた。見事の一語につきる。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

ヤマハ C-70 + B-70

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 C50+B50のお姉さんとでもいうべきか。ひびきの直進力に対する反応ではC50+B50の方がまさっているが、ひびきのひろがりということではこっちの方が上である。総じてほっそりした寒色系のひびきをきかせた。①のレコードでの細部の音の動きに対しての反応にはきくべきものがあった。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★
 エネルギッシュな音の表現ではいかにもものたりない。であるからといってやわらかいひびきの提示できくべきものがあるかというと、かならずしもそうとはいいがたい。④のレコードなどでは妙にひっそりとして、ひびきとしての生気が感じとりにくかった。いかにも弱いという印象であった。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 ともするとひびきがきつくなりがちなこのスピーカーの弱点をうまくおさえているというべきであろう。②のレコードでパワフルになりきれないものたりなさは残るものの、低い方がふくらみすぎないところはこのましい。⑤のレコードであきらかにしたしなやかなひびきはこのましかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

オンキョー Integra P-306R + Integra M-506R

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 このスピーカーとしては異色のなり方をした。ひびきの湿度の高いのが特徴的であった。①のレコードでの各楽器のひびきの特徴の提示のしかたとか、④のレコードでの声のまろやかさの示しかたなどはこのましかったものの、力強いひびきへの反応にものたりなさを感じた。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
 レコード③で示される音場がかなり狭く感じられた。⑤のレコードでのひびきのとけあい方はこのましかったが、ひびきが総じて暗くなるきらいがなくもない。②のレコードでのベース、ドラムスのひびきなどは本来の力を示しきれず、このアンプとスピーカーとの組合せの弱点をあきらかにした。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 ⑤のレコードでチェロが太くおしだしぎみにきこえたのが印象に残った。①や②のレコードでの力強い音への反応もまずまずといえるものであった。④のレコードでの提示がこのスピーカーのものとしてはめずらしくひかえめであった。⑤のレコードではひびきがきつくなりすぎるきらいがなくもなかった。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

マークレビンソン ML-10L + ML-9L

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 直進する音の先端がいくぶん丸くなっているという印象である。アタックの鋭い音での反応ではスレッショルドでのものの方がすぐれている。⑤のレコードでのしなやかな音の提示はこのましいが、音像はいくぶん大きめである。④のレコードでの声の余韻は大変に美しい。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★
 ①のレコードでは個々の楽器のひびきの性格を鮮明に示すものの、トゥッティで濁りが感じられる。③のレコードではこのスピーカーの弱点をカヴァーしきれていない。ベースの音は大きくふくれてしまっている。⑤のレコードでのフラウト・トラヴェルソの音もモダン・フルートのごとくである。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 あたたかいひびきはそれなりに魅力ではあるが、切れこみの鋭いシャープさが求められる。②のレコードではその面でのものたりなさがきわだつ。逆に③のレコードでは三つの楽器のひびきのとけあいが美しく示されている。力感の提示よりしなやかさへの対応にすぐれた組合せというべきか。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

マッキントッシュ C29, MC2255

マッキントッシュのコントロールアンプC29、パワーアンプMC2255の広告(輸入元:バエス)
(モダン・ジャズ読本 ’82掲載)

mcintosh

オンキョー Integra P-306R, Integra M-506R

オンキョーのコントロールアンプIntegra P306R、パワーアンプIntegra M506Rの広告
(モダン・ジャズ読本 ’82掲載)

onkyo

ビクター P-L10, M-L10

井上卓也

ステレオサウンド 60号(1981年9月発行)
「Best Products 話題の新製品を徹底解剖する」より

 ビクター独自のスーパーAクラス増幅とピュアNFB方式を採用したプリメインアンプは、同社が従来より提唱する音場感再生で優れた再生能力を示し既に定評が高いが、今回、7070シリーズ以来久し振りに、ビクターアンプのトップランクの位置を占めるセパレート型アンプとして、コントロールアンプP−L10とパワーアンプM−L10のペアが発売された。
 P−L10は、外観上はプリメインアンプに採用しているシーリングポケットによるパネルフェイスのシンプル化を受け継いだデザインで、フラットで整理されたパネルと、独自の伝統を有する木工技術の成果を活かした人工ローズ材の鏡面平滑塗装21工程の入念な仕上げによるウッドキャビネットが標準装備である。
 回路設計上の特長は、RIAAイコライザ一回路に人力電圧を電流に変換増幅し、この電流をRIAA素子に流してオームの法則により単純にイコライズする方式を新採用している。この方式の特長は、電流によるイコライゼーションのため、CR型の動特性、伝送特性と、高域ダイナミックレンジの大きいNF型の利点を併せもち、電圧・電流変換率を変えるのみでトータルゲインがコントロールでき、MM型と高インピーダンスMC型間での性能、音質が変わらないことである。
 ボリュウムコントロール回路は、音量の大小により音質が変化することが多い可変抵抗器型が一般的だが、ここでは実用レベルでのSN比が大きくとれ、信号回路に可変抵抗が入らぬ可変利得アンプによるボリュウムコントロールの採用が目立つ点だ。また、イコライザー・ボリュウムアンプ回路には回路の高速応答性を高め、歪、Dレンジを改善するフィードスルー回路がある。
 フォノ2は、低インピーダンスMC型専用入力で、信号は負荷抵抗切替付ヘッドアンプを経由してイコライザーに導かれる。
 トーン回路はボリュウムアンプの後段に置かれ、ダイレクト使用時にはモード、サブソニック回路ともども切離され、ボリュウムアンプ出力がプリアウトに出る。
 使用部品は、音質重視設計で、窒素封入リレー、金属皮膜抵抗、銀箔クラッドスイッチ接点、プレーン箔電解コンデンサー、低雑音ツェナーダイオードなどが採用され、プリントパターンも音質重視レイアウトだ。その他、標示ランプ系は、ノイズ発生が多く音質劣化の原因となりやすいLEDを全廃し、白熱ランプの定電流点灯をしているのも本機の注目すべきポイントである。
 M−L10は、スーパーA採用のパワーアンプ7050の成果をベースに発展したタイプだ。出力段トランジスターが一定電圧で動作し、電流のみ変化させ、スピーカー実装時と抵抗負荷時と同じ性能を得る目的でパワー段までカスコード回路を採用した全段カスコード回路採用が特長である。このタイプは出力段トランジスターが数ボルトの低電圧で動作をするため発熱量が少なく、スピーカー実装時の瞬間発熱量は従来方式の1/10以下となり、サーマルディストーションの改善とアイドリング電流が安定し、裸特性が向上するとのことだが、アンプトータルとしての発熱量は、電源側トランジスターが発熱をするため変わりはない。
 その他の特長には、P−L10と同じく新開発人工ローズ材の鏡面平滑仕上げウッドキャビネットの採用、便用部品面でのプレーン箔電解コンデンサー、低雑音ツェナーダイオード、高速型ダイオード、トロイダル型電源トランスと、電源ON時のインラッシュ防止回路の対電源電圧安定性の改善などの高信頼性、音質重視の設計のほかスーパーA方式の採用があげられる。
 P−L10とM−L10の組合せは、落着いた色調の艶やかなウッドキャビネット、フラットなパネルフェイスを採用しているために、オーディオアンプにありがちなメカニカルな印象が少なく、家具などのマッチングにも違和感が少ないタイプだ。
 この種のセパレート型アンプは、パワーアンプの電源をコントロールアンプのスイッチドACアウトレットでコントロールするのが一般的な使用法であるが、音質を重視する場合には、個別に壁のACコンセントから給電するか、止むをえない場合でも電源容量が充分あるACタップから単独に給電したい。コントロールアンプは電源ON時に暖かみのある色調の白熱ランプによる表示灯が点灯するが、パワーアンプは電源ON時には大型の2個のパワーメータースケールが赤に表示され、しはらくしてアンプが定常状態になるとスケール照明が白に変わる、ちょっと楽しいセレモニーが盛り込まれている。
 一般的なハイインピーダンスMM型カートリッジ使用では、ナチュラルに伸びた帯域バランスと音の粒子が細かく、滑らかに磨き込まれた艶やかな音。本格派の分解能が優れたアンプのもつ、わざとらしくない反応の良さが従来の同社製アンプとは異なった次元の製品であることを物語る。いつもは鋭角的な4343Bがスムーズでフレキシブルに鳴る。ナチュラルな音場感の拡がり、音像定位のクリアーさは立派で、情報量が充分に多い。低インピーダンスMC型使用では、SN比が非常に優れ、ノイズの質が非常に高いのが特長である。総合的な完成度が充分に高く、大人の風格が備わった見事な製品である。