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ダイヤトーン DS-700

井上卓也

ステレオサウンド 95号(1990年6月発行)
特集・「最新スピーカーシステム50機種 魅力の世界を聴く 小型グループのヒアリングテストリポート」より

 表情は硬く、プログラムソースには正確に反応を示すような音を聴かせるスピーカーだ。
 聴感上の帯域バランスは、必要にして十分に伸びたタイプで、中域のエネルギーも不足せず、音声感情報に関しても問題は少ない。このように真面目な性格と、価格に見合うクォリティを備えてるのは立派である。プログラムソースでは、平均的には過不足なく、それらしく聴かせるのが長所だ。ただ、残響成分がタップリとしたソースの場合には、残響成分が過剰に再生されるので全体にペタっとした軟調の表現となり、音色が暗く、箱鳴り気味の低音になることがあるようだ。アンプは、同じ性格で、正統派の音をピシッと聴かせるタイプが必要だ。

エレクトロボイス Sentry30

井上卓也

ステレオサウンド 95号(1990年6月発行)
特集・「最新スピーカーシステム50機種 魅力の世界を聴く 小型グループのヒアリングテストリポート」より

 低域抑えた、やや音の粒子が粗い硬質な音の聴かれるシステムである。試聴には、ビクター・SX500II用のスタンドを流用したため、音軸が聴取位置と合わない面もあるようで、むしろ、壁面にピッタリとつけたセッティングをして、このシステムの持っている全域型シングルコーン的メリットを活かせる方向がいいと思われる。
 聴感上での帯域バランスは、低域のレスポンスが抑えられ、エネルギー的にも余裕がないために、直接音成分が多く聴かれ、カ行やサ行の発音が乾き、ザラツキ気味になりやすく、それは4種類の試聴用プログラムソースに共通の結果である。聴取位置がSS試聴室左側奥のため、定在波による影響と考えても、不可解な音である。

ミッション 781

井上卓也

ステレオサウンド 95号(1990年6月発行)
特集・「最新スピーカーシステム50機種 魅力の世界を聴く 小型グループのヒアリングテストリポート」より

 音の輪郭の線を太く描き出し、一種独特の抑えの効いた個性の強い音を聴かせるスピーカーである。
 聴感上での帯域バランスは、やや重く暗い印象の低域と金属的な輝きのある中高域がコントラストを保つタイプである。全体としては、ややナローレンジであるが、中域のエネルギーを抑えた2ウェイならではのまとまり方だ。
 プログラムソースに対しては、このスピーカー独自の個性が強く、積極的に使いこなす場合には、組み合わせるアンプの選択が最大のポイントとなりそうだ。その意味では、今回試聴に使ったアンプは、スピーカーの個性とは対極をなすもので、水と油の印象がつきまとい、残念な結果となった。

NHT Model 1

井上卓也

ステレオサウンド 95号(1990年6月発行)
特集・「最新スピーカーシステム50機種 魅力の世界を聴く 小型グループのヒアリングテストリポート」より

 本機は軽量級の柔らかい、それなりに反応の速いしなやかな音を聴くことのできるスピーカーシステムである。
 基本的には、やや腰高な柔らかい低域と滑らかではあるが適度にスパイシーな輝きのある高域が魅力で、薄味な面はあるが聴きやすい音が特徴であろう。
 プログラムソースに対しては、少し距離感を隔ててスピーカーの奥に音場が広がる。また、音の輪郭を細く滑らかに聴かせ、直接音成分よりも間接音成分を多く引き出す傾向があるため、クリティカルな表現よりも、それなりに、軽く聴くための音にまとめてあるのがメリットといえる。しかし、組合せのアンプの選択は、意外に苦労させられそうな印象である。

推薦

アカペラ Fidelio

井上卓也

ステレオサウンド 95号(1990年6月発行)
特集・「最新スピーカーシステム50機種 魅力の世界を聴く 小型グループのヒアリングテストリポート」より

 聴取位置に対して、かなり高い位置にユニットを取り付け、上下方向の角度が可変という基本構造と、ダブルボイスコイルウーファーとホーン型トゥイーターを組み合わせた非常にユニークな面の多いスピーカーである。
 全体に抑制の効いた安定度のある音と独特な明解さのある質感に優れた中域で聴かせる個性的な音だ。音の細部は、クッキリと硬い線で描かれ、細部にこだわらず真面目な、質感の優れた音が聴かれる。
 左側に寄った聴取位置では、独自の脚部の反射音が影響し、少し位置を変えてもバランスが変ってしまう。ほどよくライブネスのある広い空間で聴いたときに進化を発揮する音だと考えられる。

パイオニア A-838

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

ビクター SX-700との相性
「レクイエム」では、バリトンが浪々と唱う。腰高な音のバランスのSX700を抑え込んで、このアンプがぐいと鳴らしている感じ。Pトリオで弦楽器が上ずらない。同時に楽器の音が近い。響きよりも、音そのものを押し出す。「コリオラン」の録音空間は狭め。T&Pではヴォーカルとギターのコントラストが普通にバランス。

パイオニア A-838

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

ダイヤトーン DS-77Zとの相性
ウォームトーン系の適度に安定感のある音と、音の細部をほどよくカバーしてプログラムソースの欠点を露呈しない聴きやすさが特徴の音である。実体感は少し薄いが「レクイエム」の響きの豊かさ、T&Pのライヴハウス的な楽しさなどはスピーカーの本質とは異なるが、それなりに納得できるオーディオ的に面白い音だと思う。

セレッション SL6Si

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

英国系の小型2ウェイシステムを代表する、適当に反応が速くプレゼンスの良い音と、メカニカルでわかりやすいデザインが巧みにマッチした製品である。Siに発展して中域の薄さが解消され、低軟、高硬の性質は残っているが、小型システムの、音離れが良くプレゼンスの良い特徴も併せて、総合的な完成度はかなり高い。

サンスイ AU-α707L Extra

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

ダイヤトーン DS-77Zとの相性
ナチュラルで、響きがほどよく溶け合ったプレゼンスの良い音だ。音場感は遠近感たっぷりにパースペクティヴに広がり、音像は小さく柔らかくまとまる。プログラムソースの録音されたホールなどの空間の再生は見事であり、とかく硬調でエネルギー感が誇張気味となりやすい77Zの個性を巧みにカバーした楽しく聴ける音だ。

マイクロ CD-M2 + DC-M2

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント 最新CDプレーヤー14機種の徹底試聴」より

 穏やかで、一種独特の重さ、暗さがある渋い音を持つ個性型の音である。CDとしては再生する情報量は多く、演奏会場の空気の動きや椅子などのキシミ、楽器のノイズなどを聴かせる。試聴位置は、中央の標準位置。ロッシーニは、基本的にはウォームトーン系のまとまりだが、角がとれたクッキリとした音はアナログディスク的なイメージがある。各パートの声は少し伸びが抑えられ、音像はフワッと大きく定位する。Pトリオは、低域が重く粘りがあり反応は遅いが、中低域以上はほどよく立上りの良い素直な音であるため、低域のコントロールをすれば個性的な良い音になるだろう。ブルックナーは、音楽的な意味でのブルックナーらしさがあるが、オーディオ的には見通しが悪く、晴々としない音である。平衡接続ではプレゼンスが良くなるが、Dレンジが抑えられ、表情も鈍くなる。ジャズは、狭帯域型バランスと閉鎖空間的プレゼンスが特徴だが、安定度、力感が欲しい。

ビクター SX-700

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

 小型2ウェイ方式に、低音専用のサブウーファーシステムを独立したキャビティで組み合わせ、トールボーイ型システムとしてまとめた手堅い手法の製品である。柔らかく量感があり、ほどよく反応が速いサブウーファーを加えた低域の豊かさは、この製品の特徴であり、この部分をどうこなすかがアンプの実力の問われるところ。

パナソニック SU-MA10

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

ビクター SX-700との相性
細身で、さらさらとして、薄味の印象は共通6Siから700になったことで低音部の支えが出てきたのは当然だが、どうしても高音域に耳が寄る。空間が透ける分、音の実体感が不足して、演奏がつまらなく聴こえてきた。T&Pはステージにうんと白い照明を当てたよう。ボーカルが若返り胸の鳴りが薄い。

NEC A-10X

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

ダイヤトーン DS-77Zとの相性
スピーカーとの相性で、プログラムソースへの適応性はややシャープになるが、一種のオーディオの組合せの面白さが味わえる例である「レクイエム」はそれなりにまとまるが、大編成の「コリオラン」は、全体に混濁気味でプレゼンス不足だ。77Zの重いが明るい音色と、アンプの少し暗い音色が結果を決めるようだ。

デンオン PMA-890DG

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

ダイヤトーン DS-77Zとの相性
柔らかくしなやかで、雰囲気のある音ではあるが、77Z本来の力強く、押し出しの良い音とは異なった、薄味できれいな音空間のまとまりである。音場感は奥に引っ込んで広がり、Pトリオの、ライヴネスたっぷりによく響き、美しい音の消え方が印象的である。適度のクォリティがあり、使いこなせばかなり楽しめそうな印象。

ビクター SX-700

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「最新CDプレーヤー14機種の徹底試聴」より

小型2ウェイ方式に、低音専用のサブウーファーシステムを独立したキャビティ採用で組み合せ、トールボーイとしてまとめた手堅い手法の製品である。柔らかく量感があり、ほどよく反応が速いサブウーファーを加えた低域の豊かさは、この製品の特徴であり、この部分をどうこなすかがアンプの実力の問われるところ。

セレッション SL6Si

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

英国系の小型2ウェイシステムを代表する、適度に反応が速くプレゼンスの良い音と、メカニカルでわかりやすいデザインが巧みにマッチした製品である。Siに発展して中域の薄さが解消され、低軟、高硬の性質は残っているが、小型システムの、音離れが良くプレゼンスの良い特徴も併せて、総合的な完成度はかなり高い。

ソニー TA-F555ESG

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

セレッション SL6Siとの相性
少し厚ぼったい低音域と細身の高域端で、これは6Siの音そのままだなと思わせた「レクイエム」。Pトリオでは838ほどではないが楽器がONで、響きは抑えめ。「コリオラン」でも低音部の重々しい鳴り方が、いかにも6Siの低音そのままだ。T&Pはヴォーカルが少し暗めで、ギターのボディ音が大きく、リズムがもったりしている。

ダイヤトーン DS-77Z

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

口径30cmを超すウーファーベースの伝統的3ウェイブックシェルフ型の典型的存在であり、現在生き残っている数少ない機種だ。3ウェイらしく中域のエネルギーが充分にあり、情報量が多いため、使いこなしを誤れば圧倒感のあるアグレッシヴな音になりやすく、このあたりを使いこなせないようではオーディオは語れない。

ソニー CDP-R3

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント 最新CDプレーヤー14機種の徹底試聴」より

 音の粒子が細かく、滑らかに磨き込まれた低域から中域と、聴感上で高域がゆるやかに下降したかのように聴きとれる、柔らかく、穏やかな帯域バランスをもつが、基本クォリティが高く、際立ちはしないが、聴き込むとナチュラルに切れ込む音の分離は相当なものだ。ロッシーニは、中高域に輝きのある硬質さが、時折顔を出すが、空間の拡がり感もあり、やはり価格に見合うだけのクォリティの高さは感じられる。Pトリオは、全体に低軟・高硬の2ウェイスピーカー的なまとまりとなり、一種のアンバランスの魅力があるまとまりといえるだろう。ブルックナーは、演奏会場の暗騒音もよく聴きとれ、一応の水準を保つ音だ。平衡出力は、全帯域にゆとりがあり、しなやかさが加わって、弦楽器系の硬質な音が解消され、見かけ上でのDレンジも大きく聴かれるが、高域は抑え気味。ジャズは、ライヴハウス的イメージの音で、音源が少し遠くなるが、適度なノリで、かなり楽しめる。

パイオニア S-1000T

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

雰囲気が明るく音場感を豊かにふくらませる点は、まさに現代的なスピーカーの魅力だ。しかも、そうした現代機が陥りやすい、美しいのだが透明すぎて実在感に乏しいといった面も本機にはなく、立体的で密度の高い音像をリアルに再現してくれる。海外機のような強い個性を持つタイプではないが、音色の適度な甘さも魅力的だ。

ソニー CDP-X77ES

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント 最新CDプレーヤー14機種の徹底試聴」より

 聴感上での帯域バランスを重視し、あまり広帯域のfレンジとせず巧みに総合的な音をまとめた印象が強い手堅いモデルだ。ロッシーニは、音の細部にこだわらず、素直なバランスの音を聴かせる。表情は真面目型で少し抑える傾向があるが、ややウォームアップ不足気味の音と思われる。Pトリオは、柔らかく線の細いピアノと硬質なヴァイオリン、線が太く硬さのあるチェロのバランスとなるが、金属的に響かないのが好ましい点だ。しかし、響きが薄く、厚みがいま一歩不足気味である。ブルックナーは、線が太く硬い鉛筆で描いたような一種の粗さがあり、演奏会場のかなり後ろの席で聴いたような音の遠さがある。平衡出力にすると、バランスは広帯域型に変り、全体に薄いが独特のクリアーさ、シャープさがある音になり、高域はむしろ透明感がかげりがちだ。ジャズは薄味の軽快指向型のまとまりで、表情が表面的になりやすく、低域の質感をどうまとめるかがポイントだ。

デンオン PMA-890DG

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

セレッション SL6Siとの相性
柔らかく、しなやかな音を雰囲気よく聴かせるアンプだ。音場感はスピーカーの奥にやや引っ込んで広がり、音像はソフトにフワッと浮くタイプだ。低域は全体に軟調でソフトフォーカス気味にまとまり、中域から高域は少しメタリックで硬調に聴かせる。大編成の曲は散漫になりやすく、トゥッティでは混濁気味となる。

デンオン PMA-890DG

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

ビクター SX-700との相性
響きのたっぷりとした、軽く雰囲気の良い音が聴かれる。低域は柔らかく量感も充分にあるが、音色は軽いタイプで分解能は不足気味である。バランス的には、中域が薄くエネルギー感が少ないため、大編成の曲でのハーモニーは薄くなり、中高域の硬く、ややメタリックな面が強調される。小編成は聴きやすいが、突っ込み不足。

ソニー TA-F555ESG

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

ビクター SX-700との相性
柔らかい低域は、ややエネルギー的に腰高にまとまり、線が細く硬く、整然と音を出す中域から高域が、まとまりの良い音を聴かせる。「レクイエム」のスッキリとしたプレゼンスは爽やかであり、演奏会場の空間の広がりがわかる音ではあるが、間接音を抑え気味に聴かせるこのペアの特徴がよく出た例といえるだろう。

オンキョー Integra A-701XG

井上卓也

ステレオサウンド 94号(1990年3月発行)
特集・「いまこれだけは聴きたい ’90エキサイティングコンポーネント プリメインアンプ×スピーカーの相性テスト」より

セレッション SL6Siとの相性
音を充分にコントロールして、柔らかく雰囲気の良い音を楽しむことを指向した音づくりのアンプであろう。アクティヴに適度の個性で音を楽しく聴かせるスピーカーとは相性が悪いようで、各プログラムソースは、嫌な音は出さないが表現がかなり間接的となり、録音上の個性が薄められ、聴きやすさはあるが楽しさをも抑え気味。