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ビクター MC-1, MC-2E, X-1IIE, U-2E, Z-1E

ビクターのカートリッジMC1、MC2E、X1IIE、U2E、Z1Eの広告
(別冊FM fan 30号掲載)

MC1

ビクター Z-1E, Z-1, X-1

井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 ビクターのカートリッジは、他のスピーカーシステムやアンプの音の傾向とはやや異なった、おとなしく柔らかな音であったが、X1の発売以来、音色が明るくなり、力強さが加わってきて、その内容は一段と向上して完成度が高くなっている。
 X1は、CD−4システム用のカートリッジだが、CD−4専用の枠をこえて、一般の2チャンネル用に充分使用できることを示した第一号機といってもよい製品である。低域のダンピングは適度で、粒立ちはやや細かいタイプである。音色は明るく、中低域がクリアーに拡がるため、全体の音がベトつかない特長がある。聴感上の帯域バランスはワイドレンジ型でよく伸びており、低域がこの種のカートリッジとしては質感がよく、姿・形がよいために、中高域の輝かしさが表面的にならず、クリアーで、クールな特長として活かされている。
 ヴォーカルは少し子音を強調気味で伸びやかさが欠ける面はあるが、ピアノはかなりスケールがあって鳴る。音の性質はアクティブで、ストレートな表現を得意とするが、これが、このカートリッジの特長である。音場はよく拡がるが、音像はあまり前に出てくるタイプではない。
 Z1は、X1にくらべると、やや硬質のメリハリの効いた音をもっている。
 聴感上の帯域バランスは、さしてワイドレンジとは感じさせない。低域にくらべ、中低域がやや甘口であり、中高域は少し粗い傾向がある。ヴォーカルは、アクセントをかなり付ける感じがあり、ドライな印象がある。ピアノは輝きはあるが、やや硬調である。音の腰が強いタイプで、力強さも感じられるのだが、どうも音がピタリと決まらず、表現が表面的になりやすい。このカートリッジは、コントラストをクッキリと付ける効果型の音であるために、性質がおとなしいソフトドーム系のブックシェルフ型スピーカーと上手に使うと、音の輪郭の明瞭な音が得られると思う。
 Z1Eは性質はZ1と似ている。アクティブに音を説明してくれるタイプの音で、演出はかなり効果的で面白い。

ビクター Z-1E, Z-1, X-1

岩崎千明

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 かのフロアー型バックローディングホーンスピーカーFB5の発表で口火を切って以来、独特なスタイリングをもったセパレートアンプ、デジタルカウンターをもったクォーツロック・ダイレクトドライブターンテーブルなど、最近のオーディオ界の中でビクターの名が話題に昇ることは非常に多い。つまり製品開発の成果が、それだけ成功をおさめているともいえるのだ。その成功の中にあるビクターの最新型カートリッジは、驚異的な新技術こそもたないのは当然ながら、新型アームとともに、音を追求する高級オーディオマニアにとっては注目に値する製品だということができる。つまり新型アーム、新型カートリッジの機構そのものが、とくに良いということよりも、実際に音を出したときに、その良さを知ることができる。こうした音の良さは、最終的にターンテーブルやトーンアームを実際にアッセンブルしたときに気がつくことであり、コンビネーションの良さということができよう。
 Z1Eは、まずその力強さをもった明るい音色で、圧倒的な迫力を感じさせてくれる。ダイレクトカッティングの明解さを充分に感じさせてくれる音だが、細部の再現性については、いくらか不満が残る。ステレオ感も全体的に表現して、細かな定位感については聴きとりにくいのが欠点といえる。
 Z1は、1Eでの問題点が大幅に改善され聴感上、相当な広帯域感が得られる。左右前後の広がりも大幅に改善され、音像の再現性は1Eよりもかなり良くなっている。全体の音色は、やはり1Eに似ているが高域でのクォリティは、こちらの方が数段向上している。雑音に対しては1Eよりも気になる傾向があり、針圧の可変範囲もよりシビアになる。
 ビクターの最高級モデルであるX1は、まず音の立上りの良さが一番の特徴だ。ダイレクトカッティングの良さと、スクラッチの抜けの良さは、とくに感じられた長所といえる。全帯域にわたって鮮明で明解な音を聴かせるが、ピアニシモにおける音のディテールの再現においてやや誇張される傾向があることに気がつく。ステレオ感の再現、定位の確さは、さすがに高級カートリッジらしい良さだ。

ビクター Z-1, Z-1E

ビクターのカートリッジZ1、Z1Eの広告
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

ビクター1