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SAEC WE-506/30

井上卓也

ステレオサウンド 49号(1978年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 トーンアームの軸受方式に独特なダブルナイフエッジを採用したサエタWE308は登場以来プレーヤーシステムの重要性を認識する高度なオーディオファンに注目され、その性能の高さが認められていた。以来、WE308NEW、308Lと細部の改良を受け、新素材の導入やメカニカルイコライザーの採用、精度の向上を基盤にWE308SXと完成度を高めているが、今回モデルナンバーを変えて商品化されたWE506/30は、同社初の有効長295mmのロングタイプアームだ。
 開発にあたっては業務用としても充分の性能、信頼度、安定度を満足させるために軸受まわりをいかに完壁とするかに重点が置かれたとのことで、従来の製品では細かい部品の組合せであった部分を鋼の削り出しにより一体成形とした点に特長がある。アームパイプは、フランス航空技術が生んだ特殊軽合金を採用し、軸受部との結合は内外4重支持式とし、剛性は非常に高く、トーンアームをリジッドに構成させるポリシーを一段と強く実現している。軸受部分は硬鋼材ブロック削り出し凹型ホルダー、ルビー軸受採用のコンシールド・ダブルナイフエッジ方式で、垂直、水平初動感度は5mgである。低域共振制動のメカニカルイコライザー、インサイドフォースキャンセラーと関連動作をしレコード内周ほど針圧を増加させる自動針圧微増機構、カートリッジ自重直読式ラテラルバランサー、新素材アルミナ使用のヘッドシェルの他に、出力コードが使用カートリッジにより3種類用意され、別売となっているのも特長である。重量のある剛性の高いプレーヤーベースに取付けて使用すべきトーンアームだ。

SAEC WE-506/30

SAECのトーンアームWE506/30の広告
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

WE506