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クレル PAM-2 + エスプリ TA-N900

菅野沖彦

ステレオサウンド 65号(1982年12月発行)
特集・「高級コントロールアンプVSパワーアンプ72通りの相性テスト」より

 KSA100のときのような特徴的な音ではなくなるが、大変よいバランスで、楽器の質感の響き分けもよい音。やや輝きの勝った音で、くすんだ陰影といったニュアンスには不足するが、明快な音が美しい。ただ、ごく細かいハーモニックスの再現には不十分なようで、楽音がどこかつるっとして、食い足りなさが残るのが気になった。ジャズのベースなど、中低域の質感に、ときにそうした感じが強く、力感は十分なのだがいま一つの不満。

エスプリ TA-E900 + TA-N900

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
 いずれのレコードでもすっきりと提示されていた。いくぶんクールにすぎるかなと思わなくもなかったが、この示し方の「正確」さはやはり美点というべきであろう。しかしながら③のレコードなどではひびきの熱を伝えきれていなかった。音の距離を感じてしまうなり方とでもいうべきか。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★★
 ひびきの暗さが気にならなくもないが、バランスのよさが印象的であった。④と⑤のレコードでのきこえ方が、ひびきのきめこまかさによく対応できていて、このましかった。③のレコードでは迫力に欠けるきらいはあるとしても、まとまりがよかった。①のレコードでは遠近感もよく示した。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
 過度にきらびやかになることをおさえて、JBLから品位のある音をひきだしたといっていいであろう。総じてひっそりとはしているが、みがきあげられたなめらかな音のこのましさがあった。いずれのレコードに対しても、それぞれのひびきの特徴をひかえめに示した。

試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

エスプリ TA-N900

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 ソニーの特別に高級なプレスティジ製品エスプリ・ブランドのパワーアンプだ。内容は別稿の通りかなりのもだが、見たところは、何の変哲もないぺたんこの金属箱で、夢や、使う喜びが感じられるものではない。2〜8Ω負荷に対して200W+200Wのパワーを保証したモノーラルアンプ。ノンスイッチングのA級パワーステージには、NFBも使っていない。電源はパルスロック型。内外ともにモダンで透徹なイメージのアンプ。

音質の絶対評価:9