黒田恭一
ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新セパレートアンプ44機種の実力」より
ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★
大変にクォリティの高い音である。音ばなれがいいためか、独特のなまなましさがある。力のある音への対応はすぐれている。問題はやわらかい音である。⑤のレコードでのフラウト・トラヴェルソの音がまるでモダーン・フルートの音のような感じであった。音場的にはある程度のひろがりを示した。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★★
①のレコードでのきこえ方が思いのほか平面的であった。とるべきは④、ないしは⑤のレコードでのきこえ方であった。ひびきのきめこまかさがそこではいきていた。③のレコードではベースの音がふくらみ、総じて浅いひびきになっていた。ダイナミックな音には不向きな組合せというべきであろう。
JBL・4343Bへの対応度:★★★
もう少しパワフルであってもいいようにも思うが、ここにはモデラートの美徳があるといえなくもない。ただ、④と⑤のレコードではひびきが硬くなりすぎる。⑤のレコードでのチェロなどは太くひびく。③のレコードでのひびきのバランスはこのましい。①のレコードでは画期の音色が鮮明に示される。
試聴レコード
①「マーラー/交響曲第6番」
レーグナー/ベルリン放送管弦楽団[ドイツ・シャルプラッテンET4017-18]
第1楽章を使用
②「ザ・ダイアローグ」
猪俣猛 (ds)、荒川康男(b)[オーディオラボALJ3359]
「ザ・ダイアローグ・ウィズ・ベース」を使用
③ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
④「キングズ・シンガーズ/フレンチ・コレクション」
キングズ・シンガーズ[ビクターVIC2164]
A面2曲目使用
⑤「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア-アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用
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