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テクニクス SB-E100, SB-E200

井上卓也

ステレオサウンド 48号(1978年9月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 テクニクスのスピーカーシステムは、全製品にリニアフェイズを採用しているのが特長である。今回発売された新しいスピーカーシステムは、テクニクスのトップモデルSB10000とユニット構成が同系統の中音と高音にホーン型を使用したフロアー型の3ウェイタイプである。
 SB−E100は、トールボーイ型のバスレフ方式エンクロージュアの上部に中音と高音のホーン型ユニットが取付けられている。当然リニアフェイズ方式であるため、各ユニットは階段状に重ねてある。
 ウーファーは30cm口径、コーン紙材料はカナダ産針葉樹のクラフトパルプを中心素材とし、90dBの出力音圧レベルと100Wの耐入力をもつ。スコーカーとトゥイーターは、ホーンのノド部分から急激に角度が拡がるテクニクス独特のセクトラルホーンと同等なタイプのホーンが目立つ。ホーンのカットオフ周波数は、それぞれ600Hzと1、200Hz、クロスオーバー周波数は1、500Hzと6、500Hzである。
 エンクロージュアは板厚18mmのパーチクルボード使用、表面はローズウッド仕上げ、グリルはベージュ色のサランである。
 なお各ユニットには、高耐入力型を採用しているが、アンプの異常やクリッピング歪を発生すると高域成分が強くなり、スコーカー、トゥイーターには過大入力となり、ユニットを破損させる場合もあるため、サーマル保護リレーを高音、中音に設けてある。
 SB−E200は、エンクロージュアの形状がローボーイタイプを採用している点で、SB−E100と大きく違っている。また、ローボーイタイプではシステムとしての音の中心軸が低い位置にあるため、場合によっては何らかの台の上に乗せて使いたいこともある。このようなときに組み合わせる台として、SB−E200専用のスタンドSH−S200が別売で用意されている。
 SB−E100とE200は、システムとして近似したスペックをもっているが、トータルなバランスの優れている点ではE100、音の分解能の点ではE200に魅力がある。