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ポークオーディオ RTA8t

井上卓也

ステレオサウンド 88号(1988年9月発行)

「BEST PRODUCTS」より

 ポークオーディオは、米国ボルチモアに本拠を置くハイファイ専菜メーカーである。日本国内にはスピーカーシステムをメインに輸入されている。同社のスピーカーシステムで注目したいのは、ステレオ再生で臨場感を著しく損なうインターオーラルクロストークを効果的にキャンセルするSDA方式と呼ばれる特殊な再生を、通常の再生に加えて可能にしたSDAシリーズである。
 左チャンネルスピーカーの音が右耳に、右チャンネルスピーカーの音が左耳に伝わる成分が、このインターオーラルクロストークであり、左右スピーカーを専用の接続コードで結び、これをキャンセルするのがSDA方式である。
 今回試聴したRTA8tは、SDAシリーズとは異なるモニターシリーズ3モデル中の中間機種にあたる。トールボーイ型エンクロージュアと、16・5cm口径の低域を2個、2・5cm口径の高域を1個使う2ウェイ構成3スピーカーシステムである。
 低域ユニットは、コーン材料に特殊加工のポリマーをベースとした3層ラミネートの素材を使い、軽量、高剛性を狙った振動系に特徴がある。オリジナルは、15年前に開発された伝統的なユニットである。このユニットは、6500シリーズのミッド・ウーファトとボークオーディオが名づけているように、SDAシリーズの中域を受け持っている。つまり、フルレンジ的な性格が強く、軽く、反応の早い音に特徴があるとのことだ。高域を受け持つドーム型ユニットは、SL2000シルバーコイルドーム型と名づけられているように、ダイアフラムに軽いポリアミド材を使用し、ボイスコイルにシルバーコーティングワイヤーを使った振動系に特徴がある。なお、このユニットも、SDAシリーズをはじめ、ポークオーディオの全製品のトゥイ一ターとして採用されている実績を誇る。
 タワースタイルと名づけられたウォールナット仕上げのエンクロージュアは、バスレフ型で、上下2個のミッド・ウーファーの間にトゥイーターを配置したラインソース方式のレイアウトが特徴である。
 このタイプは、スペースファクターに優れ、部屋の床や天井の影響を受け難いメリットがあり、音像定位の優れていることも特徴であるとのことで、内外を問わず、このところ、見受けられるのが多くなったユニットレイアウトである。
 このシステムは、強調感が少ないナチュラルな音が聴きどころだろう。柔らかく、おだやかな低域は、それなりに応答性が高く、適度なメタリックさが効果的に働き、コントラストを保つトゥイーターの味つけが、巧みなバランスをつくっているようだ。特に個性的な音ではないが、使いこめば、手応えのありそうなシステムである。