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ビクター QL-Y7

菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「’81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 プレーヤーシステムとしては、ビクターの現シリーズ中の最高モデルである。カートリッジはついていない。メカニズムはセミオートタイプで、電子コントロールのダイナミックバランスタイプのトーんー無をもつ。一種のサーボコントロールにより、アームの受ける機械的な不安定要素を制御して、安定したトレース能力と音質を得ている。FGサーボのコアレスDCモーターによるクォーツロック・ダイレクトドライブ方式。

ビクター QL-Y7

井上卓也

ステレオサウンド 53号(1979年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ビクター初の電子制御トーンアームを採用したセミオートプレーヤーシステムである。トーンアームは、軸受部の右側面に垂直方向のセンサーとリニアモーター、水平軸受の延長部にセンサーとリニアモーターを備えた純電子制御型で、アームの上昇、下降、盤面上の左右送り、オートリターン、リジェクトの他、ゼロバランス調整後は針圧調整、インサイドフォースとダンピング量が独立した3個のツマミで針圧対応型で調整できるが、当然、任意の個別調整も可能だ。
 プレーヤーベースはローズウッド仕上げの無共振ソリッド材積層構造で、高さ調整可能なドーム型インシュレーター付。モーターは、コッギングがなく滑らかな回転が得られる高トルク・コアレス構造の偏平型DCモーターで、サーボ系全体の信頼性を従来の約30倍向上させたダブル・クォーツロック方式と、コアレスモーターのトルクの低いデメリットを改善するプッシュプルドライブ方式に特長がある。ターンテーブルは重量2kgのアルミダイキャスト製で、ターンテーブルのつり鐘振動と固有共振を抑える目的で亜鉛ダイキャストを複合した無共振構造を採用している。演奏中に単独コントロールできる針圧、ダンピング調整は、聴感上の最適値を求める場合に有効に動作をする。情報量が多く、表情も豊かで高品位な音である。