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デンオン PMA-950

黒田恭一

ステレオサウンド 64号(1982年9月発行)
特集・「スピーカーとの相性テストで探る最新プリメインアンプ11機種の実力」より

ヤマハ・NS1000Mへの対応度:★★★
 このスピーカーのきめのこまかさをいかしているAのレコードでのパヴァロッティの声がいくぶん細めに感じられ、Bのレコードでのピアノが充分な迫力を示しきれないきらいはあるものの、ごりおしにならない表現はこのましい。ひびきはあかるく一種の透明感がある。
タンノイ・Arden MKIIへの対応度:★
 全体に音像がふくれぎみである。このスピーカーの弱い部分をカヴァーしきれているとはいえない。とりわけCのレコードでのチェロのひびきのふくれが気になった。Aのレコードではひろがりが感じられ、パヴァロッティの声がゆたかにきこえたのはこのましかったが……。
JBL・4343Bへの対応度:★★
 総じてひびきが浅い。Aのレコードでのパヴァロッティの声はくっきりきこえるもののいくぶん硬質にすぎる。このスピーカーの反応としては意外なことにというべきであろうが、Bのレコードでのきこえ方がソフトであった。その辺にこのアンプの性格の一面をみるべきか。

試聴レコード
Ⓐ「パヴァロッティ/オペラ・アリア・リサイタル」
パヴァロッティ(T)、シャイー/ナショナルPO[ロンドンL25C8042]
Ⓑ「ジミー・ロウルズ/オン・ツアー」
A面1曲目「愛さずにはいられぬこの思い」を使用
ジミー・ロウルズ(P)、ウォルター・パーキンス(ds)、ジョージ・デュビビエ(b)[ポリドール28MJ3116]
B面1曲目「ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー」を使用
Ⓒ「ハイドン/6つの三重奏曲Op.38」
B.クイケン(fl)、S.クイケン(vn)、W.クイケン(vc)[コロムビア−アクサンOX1213]
第1番二長調の第1楽章を使用

デンオン PMA-950

デンオンのプリメインアンプPMA950の広告
(モダン・ジャズ読本 ’82掲載)

PMA950

デンオン PMA-950

井上卓也

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
「Pick Up 注目の新製品ピックアップ」より

 新製品PMA950は、既発売のPMA970の系統を受け継いだデンオンAクラス増幅方式採用のプリメインアンプ第2弾製品で、出力は80W+80WとPMA970の80%である。
 基本構成は、ハイゲインイコライザーアンプといいゲインパワーアンプの2アンプ構成である。イコライザーは、新開発の広帯域MC/MM切替型で、RIAA偏差は20Hz〜100kHzで±0・2dBのワイドレンジ設計で、CR・NF型が特長。さらにMM型使用時に高域での実装負荷による歪率増大を防ぐ特殊回路の開発で高域歪は十数分の1に低下している。トーンコントロールは、信号系路からコンデンサーを除去したリアルタイムトーンコントロールで、パワーアンプ部にある。
 パワーアンプは、将来プログラムソースとして登場してくるPCMプログラムをも考慮して、広帯域化、ハイスピード化がテーマとなったデンオンAクラス増幅採用。スピーカー実装時の歪増加を避けるリアルドライブ回路の開発で、純抵抗負荷時の歪率と実装時の差を少なくしている点に注目したい。ちなみに、純抵抗負荷時に比べ実装時の歪みは、スピーカーによって数十倍にまで増加することがあるとのことだ。
 フォノ入力を含むAUX、TUNERなどの入力信号は、トーンコントロール使用時を含み、スピーカー端子まで信号系にはコンデンサーがない完全DC構成である。
 電源部は大型トロイダル電源トランスと22000μFかける2の電解コンデンサー使用で、4Ω負荷100W+100W時のA級パワーアンプを充分にドライブできる能力を備える。なお、電源部はパワーアンプ部の中心部に配置され、ワイアリングは左右チャンネル等距離、最短距離とするパワー・カレント・ピュア・ラジェーション構造を採用しているのも構造上の注目点である。
 マイクロSX8000にMC20とAC3000MC及びDL305とDA401を使いPMA950を聴く。MC20では適度に広帯域で、反応が早くキビキビした音だ。音像は小さく、少し距離をおいて並ぶ。DL305にすると表情の伸びやかさと分解能が高くなる。PMA970より反応が早く、プレゼンスも優れた印象である。全体に軽量級の印象はあるが、鮮度が高く分解能が優れた現代アンプらしい魅力作だ。