井上卓也
ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より
五十年をこえる長いキャリアを持っているだけに、プレーヤーシステムの分野でもラックスの製品には、趣味性を活かしたディスクファン向きのユニークなモデルが従来からも存在していることは見逃すことができない。
かつてのベルトドライブ全盛時代のターンテーブル軸受部分をフレキシブルマウントした製品や、最近での、アルミダイキャスト製のスケルトン構造フレームを採用し、アームの取替にカメラのバヨネット機構を導入したPD131/121は、とかく画一的な手法が見受けられるプレーヤーシステムのなかでは、性能、デザインはもとより、趣味性が活かされた優れた製品だ。
今回発表された新モデルは、組み合わせるトーンアームの全長のさを、左右方向にスライドする剛性が高いアーム取付用ベースで調整する方法を採用した点に特長がある。ターンテーブルは、30cm直径、重量2・5kgのアルミダイキャスト製で、フライホイール効果をフルに活かし、サーボ系により制御不能な5〜10Hz以上の周波数帯域における外乱負荷変動を抑えている。この手法は、PD131でも採用されているが、今回はこれに加えて、軸受部分の荷重を軽減する目的で、モーターローターの下部に埋込んだ磁石と駆動固定コイルの上側に設けられたヨークとの吸引力を利用し、スピンドルに上向きの力を与え、実質的な軸受にかかる負荷を80%程度少なくし、モーターの駆動電流を大幅に減らし、SN比やワウ・フラッターなどの諸特性を改善している。また、電気的にはクォーツロックにより時間的、温度適度リフトを抑え、機械的なターンテーブルの慣性、フリー・ロード・スピンドル方式と組み合わせて、直流域から5〜10Hz以上の外乱負荷変動、ドリフトを抑えている。
PD444は、ロングアーム取付可能な2本アーム用ターンテーブル、PD441はショートアーム専用の製品である。
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