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ヤマハ NS-10M

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 小型ブックシェルフスピーカーながら、迫力ある音を再生する、どちらかというとヤング志向の音楽に向いた製品だ。18cmウーファーと3・5cmドーム型トゥイーターによる2ウェイ。

ヤマハ NS-10M

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

他に先がけて商品性を創造した本格派コンパクトスピーカー。

ヤマハ NS-10M

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

NS451ゆずりの活気のある、明るくフレッシュな表情が特徴。

ヤマハ NS-10M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

見た目の印象にくらべてスケール感の表現は意外。耐入力も十二分。

ヤマハ NS-10M

黒田恭一

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より
スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイント50の試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶ピッチカートの響きは、薄く、細く、力に不足している。
❷あいまいにはなっていないが、低音弦の力が感じとれない。
❸フラジオレットの特徴的な響きは、はっきりしない。
❹第1ヴァイオリンの響きに艶がなく、かさかさしている。
❺かん高い響きで、刺激的になり、なめらかさがたりない。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶ピアノの音像が大きくないのがいいが、ピアノ本来の力が感じられない。
❷音色的対比は、薄味だが、くっきりついている。
❸ふくらみすぎないのはいいが、響きがいかにも粗い。
❹すっきりときこえはするが、いかにも薄味である。
❺音色対比をくっきりつけて、さわやかである。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶接近感を充分に示すが、風呂場の中の響きのようだ。
❷まずまずというべきだろう。定位もいい。
❸響きが乾きすぎるためか、キメが粗くなる。
❹硬く、細く、刺激的になるのがおしまれる。
❺オーケストラ本来の響きの広がりに不足する。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶すっきり横に並んでいるとは感じとりにくい。
❷不鮮明にはなっていない。響きのたちも悪くない。
❸残響を強調していない好ましさがある。
❹明瞭ではあるが、響きが、もう少しとけあってもいい。
❺響きののびは、充分で、ある程度のしなやかさがある。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶広がりは必ずしも充分とはいえない。音色対比もいま一歩だ。
❷もう少ししなやかさがほしい。響きが硬い。
❸浮遊感がもう少しあるといい。めりはりをつけすぎているためか。
❹前後のへだたりは示されず。横にはひろがるが。
❺ピークでは、やはり刺激的な響きになる。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶響きに透明感はあるが、広がりがたりない。
❷音像的に横に広がるので、効果的とはいいがたい。
❸響きのふくらみが不充分なため、本来の効果から遠い。
❹きわだってきこえて、エフェクティヴである。
❺うめこまれないで、響きの特徴を示す。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶ベースが不足ぎみなで、ギターの音がきわだつ。
❷ひびきの厚みはかならずしもあきらかになっていない。
❸はっきりときわだつ。低い音とのバランスは必ずしもよくない。
❹乾いているというより、薄く、軽すぎる。
❺刺激的なひびきになり、バック・コーラスの効果が稀薄だ。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶入れものの中でひびいているかのようだ。
❷指が弦の上をすべる音はきこえる。一応のなまなましさがある。
❸響きの消え方は、ほとんどききとれない。
❹くっきり示しはするが、力感にとぼしい。
❺あたかも別の楽器ででもあるかのようにきこえる。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶ドラムスのアタックの強さが充分に示されない。
❷鋭さと、響きの輝きはあるが、刺激的になる。
❸充分にはりだしてはするが、わざとらしさがついてまわる。
❹後へのひきが充分にとれているとはいえない。
❺あいまいにならないのはいいが、迫力は感じとりにくい。

座鬼太鼓座
❶ひきがもうひとつたりない。比較的手前できこえる。
❷ひびきが脂っぽくなっていないところはいい。
❸一応はきこえはするが、きわめてかすかだ。
❹響きの消え方は、ほとんどききとれない。
❺かすかにきこえはするものの、なまなましさにとぼしい。

ヤマハ NS-10M

瀬川冬樹

ステレオサウンド 45号(1977年12月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(下)」より

 白いコーンのウーファーの良さは、すでにNS451でも実証されているが(本誌37号参照)、今回の新製品も、帯域内でのバランスが周到にコントロールされてよくできたスピーカーだ。全域に亘って質の高い、そしてどちらかといえば耳当りの柔らかい音で鳴るので、いつまでも聴いていて疲れない。パワーにはかなり強く、メーターを見ていると瞬間的には指定以上の100Wをしばしば振り切れるほどの鳴らし方もしてみたが、腰くだけにならずに、ハイパワーにも耐えて音がよく伸びる。アンプやカートリッジの組合せを変えてみると、それぞれの音色の特徴に鋭敏に反応して鳴らし分けることから、基本的な素性の良さもうかがわれる。要するにこの小型スピーカーの見かけや価格から想像するよりもはるかに良い音がしてびっくりするわけだが、かといって、やはり大きさ相応に低音がそんなに低い方まで伸びているわけでなく、おそらくそれとバランスをとる意味か、高域端もあまり伸びきったという感じではない。国産にしては中高域のやかましさをよく抑えながら、中域の密度も適当だが、音量を上げたとき、オーケストラでは弦の音など僅かだが硬さが残る。置き方は、耳の位置よりやや低く、左右にひろげ気味にセットするとよい。部屋の特性に応じて背面と壁との距離を調節して、低音のバランスを慎重にコントロールしたい。

既製スピーカーシステムにユニットを加えてマルチアンプでドライブする(その2)

井上卓也

HIGH-TECHNIC SERIES-1 マルチスピーカー・マルチアンプのすすめ(ステレオサウンド別冊・1977年秋発行)
「内外代表パーツ200機種によるマルチウェイ・システムプラン」より

 このところ、ヨーロッパ系を中心として、国内製品のスピーカーシステムにも超小型の主に2ウェイ構成の製品が増加の傾向がみられる。その多くは、10cm口径程度のウーファーとソフトドーム型トゥイーターを組み合わせているがこの種のシステムは、ウーファーを追加してマルチアンプ方式で3ウェイ化するために大変な魅力的な存在である。追加するウーファーに専用アンプを用意する、2チャンネルのマルチアンプ化をおこなうのがもっとも好ましい方法であるが、そのバリエーションとして、最近復活しはじめた3D方式もある。低音の指向性がゆるやかなこと、波長が長いために左右チャンネルの位相の狂いが少ないことなどを利用して、低音だけは両チャンネルの信号をミックスして1本のウーファーで再生するのがこの3D方式である。
 超小型システムをベースとし、ウーファーを加える方法は、ベースとなるシステムがこの種の製品独特な音像定位のクリアーさとステレオフォニックなプレゼンスの再現に魅力があるため、わずかに追加したウーファーにより低音を補えば、かなりのフロアー型システムに匹敵するスケール感の大きい、それでいてプレゼンスのある音を再生することができるはずである。この場合には、スピーカーと聴取位置との距離は短いほうが超小型システムの特長が活かされる。
 小型のブックシェルフ型をベースとして、超小型システムと同じアプローチが可能だ。このタイプになれば、ウーファーの口径ももっと大きいものが使用可能で標準的に部屋にセットしてもさらに大音量でフロアー型の音が楽しめる。
 その他のバリエーションとしては、小口径シングルコーンユニットを採用した超小型や小型システムをベースとして、まずウーファーを追加して低音の改善を計り、その次にトゥイーターを加えて3ウェイ化するアプローチがある。広い帯域を中音ユニットに受け持たせるため安定した音が独特の魅力だ。

●スピーカーシステム
 パイオニア CS-X3
 ブラウン “Output Compact” L100
 ヴィソニック David50
●ウーファー
 KEF B139MKII
●プリメインアンプ
 サンスイ AU-607
●エレクトロニック・クロスオーバー・ネットワーク
 サンスイ CD-10
●パワーアンプ
 低音域:サンスイ BA-2000
 中高音域:サンスイ AU-607(パワーアンプ部)

●スピーカーシステム
 ヤマハ NS-10M
 セレッション Ditton 11
 ロジャース LS3/5A
●ウーファー
 セレッション G15C
●プリメインアンプ
 マランツ Model 1180
●エレクトロニック・クロスオーバー・ネットワーク
 パイオニア D-70
●パワーアンプ
 低音域:マランツ Model 170DC
 中高音域:マランツ Model 1180(パワーアンプ部)