井上卓也
ステレオサウンド 50号(1979年3月発行)
特集・「栄光のコンポーネントに贈るステート・オブ・ジ・アート賞」より
マランツの製品は、最初から単純なコントロールアンプとパワーアンプの組合せではなく、モノーラル時代としては前衛的な、エレクトロニック・クロスオーバーを含めたマルチ・チャンネル方式に発展可能な、いわばシステムアンプの構想をもっている点が、他には見られないユニークさである。
パワーアンプMODEL2は、その後MODEL5,8B、9とつづく一連のマランツのパワーアンプの原点と考えられる作品である。シャーシーコンストラクションは、他のマランツのモデルとは大きく異なり、パワートランスとアウトプットとランスを組み込んだ長方形の重量感のあるブロックが構造的な基盤であり、これから、片持ち式にひさし状の真空管や電源部のコンデンサーなどを取り付ける、いわゆるシャーシーが取り付けられ、この部分を包むように、横方向からパンチングメタルのカバーがかかる特殊な構造である。
メインブロックには、出力管のバイアス、ACとDCバランスをチェックするためのメーターとチェック用スイッチがあり、いわゆるシャーシー部分には、出力管を3極管接続と5極管接続に切替使用するスイッチ、ダンピングファクターコントロール、グリッド直結ジャックを含む3系統の入力端子、それに、ダンピングファクターコントロール用端子をもつ出力端子などがある。
回路構成は、出力管に6CA7/EL34をプッシュプル構成で使い、6CG7のカソード結合位相反転段でドライブするタイプで、電源部の整流管の使用と、出力が40WであることがMODEL5や8Bと異なっている。
内部の部品配置、配線は見事なもので、丹念に手がけられており、音質も、マランツのアンプのなかで、もっとも素直でクリアーな印象である。
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