瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
ビクターのお家芸であるSEAを組み込んだMCA104(プリメイン)と組み合わせるべくデザインされた製品で、最初のモデルはパネルの周囲がアルミの地色で白く光っていたが、小型でパネル同様にブラック仕上げに変った。ダイアル目盛は丸型で、サンスイを意識したわけではないのかもしれないが、テスト中も、しばしばサンスイと取りちがえたりした。MCT104bでは、ダイアル目盛の中央にメーターを置き、且つ指針を赤く光らせるなど、なかなかに凝った意匠で、FM目盛は等間隔ではないが割合読みとりやすく、同調をとりやすい。背面のアンテナ端子には、近距離受信にそなえて減衰器(アッテネーター)を設けるなど、キメの細かい設計である。
音質は、意識的にビクター独特のトーンを作っているように思われる。もしかすると、かつてAST140T等がそうしていたように、可聴周波の上の方をカットしているのかもしれない。少なくとも聴感上はそんなようにも感じられた。そのせいかどうか、入力信号との一対比較をすると、演奏者の人数が減るような、情報量の一部を意識的にカットしているような、そんな印象を受けた。
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