Tag Archives: MC2300

マッキントッシュ MC2300

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

大出力アンプの範となった王者的風格。

マッキントッシュ MC2300

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

実質的に600Wを感じさせるパワー感は、現在の高出力機の王者だ。

マッキントッシュ MC2300

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 超弩級のステレオアンプである。このアンプで鳴らすと、音の次元がちがうという表現が一番ぴたりとくる。レコードの溝が、ぐんと太くなって密度が増したように感じられる。とてもレコードとは思えぬ、たくましさなのだ。それでいて、細やかな再現もちゃんと果す。ちゃちなスピーカーはすぐ吹飛ぶ。

マッキントッシュ MC2300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 300W×2というパワー自体はいまやそう珍しくないが、製品を前にしてその偉容に打たれ、鳴らしてみると、その底力のある充実したサウンドは、並の300W級が色あせるほどの凄みを感じさせる。歪感が皆無とはいえないが、なにしろ物凄いアンプだという実感に、こまかいことはどうでもよくなってくる。

マッキントッシュ MC2300

菅野沖彦

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
特集・「世界の一流品」より

 マッキントッシュ・ラボラトリー・インクは、すでにご承知のとおり、アメリカ合衆国のニューヨーク州ビンガムトンに本拠を置く、高級アンプリファイヤー・メーカーとして広く知られている。創設以来ほぼ30年という歴史は、他の分野からみれば決して長いとはいえないが、創立当時の会社組織と首脳陣に変更がないという点では唯一のメーカーともいえ、アンプリファイヤー・メーカーのみならず、他の部門を見渡してみても最古の歴史をもつメーカーといえるだろう。
 有名なマッキントッシュ・サーキットという、独特のユニティ・カップルと称する特殊巻線方式によるアウトプットトランスを中心とする回路を、かたくななまでに守り続ける商品づくりの強固な姿勢で一貫している。現代のエレクトロニクス技術の最先端をいくものと比較すれば、いまや古い回路技術だという見方ももちろんできる。私もそれを否定はしない。しかし、自分たちが信ずる方向を全く妥協せずに、一つの商品としての主張を通し、長年の間に磨きに磨きをかけて生かしきってきたマッキントッシュの姿勢は、まさに私は一流メーカーの名に恥じないものがあると思う。そして、その製品はきわめてグレードが高く、あたかもメルセデス・ベンツのごとく、マッキントッシュと名前の付けられたアンプリファイヤーは、最も安価な製品といえども高級アンプであるという、確固たる地位を築いてきているのである。
 多くのマッキントッシュ・アンプリファイヤーの中で、特にこのMC2300というパワーアンプは、同社のソリッドステート・パワーアンプ中、最大のパワー(300W+300W)を誇り、しかも、同社の長年の間に培われた技術の蓄積がフルに生かされた製品である。そういう意味において、私はこのMC2300をパワーアンプの一流品とし躊躇なく挙げたい。このMC2300は、同社の管球式アンプのステータスシンボルともなっていた、350Wというとてつもない大出力のモノーラルパワーアンプMC3500のシャーシをそのまま継承したソリッドステート・モデルで、現在のマッキントッシュの象徴として、パワーといい、重量といい、このガッチリとした堅牢なつくりといい、まさに王座に君臨しているのである。また、このパワーアンプは、モノーラル切替スイッチによって、600Wのシングルチャンネル・アンプとして使用できるという、驚異的なマシーンでもある。
 先に述べたような、マッキントッシュ社が目ざす姿勢は、外観にもはっきりとオリジナリティを持ったデザインとして表われているが、性能面でも独自のマッキントッシュ・サーキットが再現する、非常に重厚な、マッキントッシュならではの安定したバランスのよい音が聴ける。そして、このチャンネル当り300Wというハイパワーに支えられた、次元を異にする充実した立体音は、まさにアンプリファイヤーの一流品として、堂々たる風格を備えているのである。

マッキントッシュ MC2300

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 300W×2の超弩級アンプ。ひとつひとつの音のつぶの確実な重みは、ちょっとしたスピーカーも別物のような充実した音質になる。耐久性、安定性は他の同社製品同様高い信頼度だ。

マッキントッシュ MC2300

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 強大なパワーを誇りながらも、並列動作のMC275を思いおこさせるマッキントッシュサウンドが嬉しい。パワーと音質という不可分の要素を見事にバランスさせた傑作だ。

マッキントッシュ MC2300

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 70万を越す価格も、製品を前にすると「なんと安い」ことを教えられる。マッキン製品中の名実とも最高のパワーアンプであり、ハイパワー時代にあってもマッキン健在なりだ。

マッキントッシュ MC2300

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 いかにも音がいっぱいに詰まっているというような充実感と緻密さ。パワーを絞ってもどことなく悠然と鳴る音質には、限りない底力を感じさせる。明らかに国産品と一味違う。

マッキントッシュ MC2300

菅野沖彦

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 超弩級ハイパワーアンプ。片チャンネル300ワットのモンスター・アンプ。その次元の違う再生音のスケールの大きさは、鳴らしてみれば納得するだろう。少々ちゃちなスピーカーでもガッシリと鳴る。ただし、いい気になってパワーを入れるとヴォイス・コイルが焼けてすっ飛ぶ。8ℓFFキャディラック・エルドラードを思わせるアンプだ。重さに匹敵する価値を感じる事だろう。こういうアンプを他に先がけて商品化する底力が凄い。

ハイパワー・アンプの魅力

岩崎千明

スイングジャーナル 5月号(1974年4月発行)
「AUDIO IN ACTION」より

●アンプはパワーが大きいほど立上り特性がよくなるのだ! だからジャズには……
 アンプの出力は大きいほど良いか? はたまた、必要性のないただただぜいたくなのか?
 そうした論争や、論説はいいたいやつにいわせておけ。オレは今日も午前中いっぱい200ワット出力のアンプをレベル計がピクンピクンといっぱいに振り切れるほどの、ドラムの響きに身をまかせ切っていた。
 一度でもいい。キミも、大出力論争をやっているひまに、ほんのひとときを100ワット級のアンプで鳴らす空間にその身をさらされてみろ。一度でもハイ・パワー・アンプの洗礼を受けたが最後、ジャズを愛し、断ち切れないほどのファンなら、だれだって必ずやその虜になるぞ。必要ない、なんてうそぶいていたのは、実は、望んでも達せられないための、やっかみ半分のやつ当りだっていのうを、ひそかに思い当るに違いない。
 ハイ・パワー・アンプから繰り出されるこの上なく衝撃的なパルスは、現代に息吹く若者にとってあるいは麻薬の世界にも例えられるのかも知れない。一度覚えたそのアタックの切れ込みのすざまじさは、絶対に忘れられっこない経験として耳を通してキミの大脳にガキッと刻み込まれてしまうのだ。もうそれを消そうと思ったって薄れることすらできやしない。それどころか、口でけなし、あんなのはだめな音と、どんなに思い込ませようと努力したところで、逆にますます強く求めたくなってくるあこがれにも近い感情を内側でたぎらせてしまうだけだろう。
 恋の対象を初めて見かけたとき、それは少しも変りやしない。だから、ジャズ喫茶でスピーカーの前には、すべての環境から遮断されたマニアックなファンが少なからず、首をうなだれてサウンドにひたり切っているのだ。
 スピーカーは、例え小さくても良い、そのすぐ前で座ろう。プレイヤーは今までのでもいい、カートリッジの質さえある水準以上なら。
 ステレオの心臓はアンプだ。電気信号に変えてエネルギー増幅する、それがアンプの真髄。だから、アンプはきのうのより大きくしてみよう。2倍じゃなまぬるい。4倍も6倍も、いや10倍の出力のアンプなら一層結構、大きければ大きいほどいいのだ。それがたとえ借り物であっても、仮の姿でも、いつかはキミの所有になるはずだ。
 大出力のよさを身をもって知ったならば、もう逃れられっこないのだから。良さが判ればキミのステレオの次の標的として、大出力アンプは、大きくキミの前にほかの目標を圧して立ちふさがるだろう。キミはそれに向かって猛進するだけだ。100ワット/100ワットのジャンボ・アンプに向かって。

ソニー TEA-8250
 後から鳴らしたFETアンプのおかげでソニーのハイパワー・アンプはスッカリ形が薄れてしまった。けれど、1120のデビューのときの音そのものの感激がこのハイパワー・アンプ8250でもう一度思い出された。「あくまで透明」なサウンド。それは非情といわれるほどで、アタックの鋭さは正宗の一光にも似る。以前より低域の豊かさが一段と加わっているのは、単なもハイパワーのなせる所だけではないかも。

ソニー TA-8650
 20種にあまもハイパワー・アンプを並べたこの夜のSJ試聴室。編集F氏Sくんを含め、むろんこのオレも一番期待したのがソニーのこのFETアンプだ。球の良さをそのまま石で実現したといういい方は、気に喰わないというより本当にして良いのかという半信半疑からだ。
 その不安も、まったくふっとんでしまつたのだ。なるほど確かにハイパワー管球アンプの音だ。このFETアンプ8650に最も近いのは、なんと米国オーディオリサーチ社管球アンプだったから。
 低域の迫力の力強い響き、プリアンプのような超低域までフラットだが力強さがもうちょっと、なんていうのがFETアンプではうそみたいに直ってしまう。中声域から高域の力に満ちた立ち上りの良さプラス華麗さも、石のアンプのソッ気なさとは全然違う。
 こうしてまたしてもソニーは、アンプにおいて1120以来の伝統よろしくオーディオ界のトップに出た、といい切ってよかろう。製品が出たら、まっさきにオレ買おう。

オンキョー Integra A-711
 711はなんと20万を越す名実ともに一番高価なインテグレイテッド・アンプだ。しかし、音を聴けばそれが当然だと納得もいこう。ローレベルでの繊細さと、ハイパワー・アンプ独特の限りない迫力とを見事に融合させて合わせ持っている数少ないアンプだ。音の特長は、……ないといってよい。ない、つまり無色、これこそアンプメーカーの最終目標だろう。オンキョーのアンプがずっと追いつづけた目標は、このアンプではっきりと捉えられていよう。

オーディオリサーチ SP-3 + Dual75
 かつてマランツ社で真空管アンプを設計してたっていう技術スタッフが集まって興したのがこのメーカー。だからトランジスタ・アンプ万能の今日、その栄光と誇りはますます燃えさかり、このどでかいアンプを作らなければならなくなったのだろうか。なにしろ75/75ワットという実効出力にも拘らず、200ワットクラスの石のアンプとくらべても一歩もひけをとらず、それどころかサウンドの密度の濃さは、どうやら石のアンプでは比すべくもない、と溜息をつかせる。

SAE Mark 1M + IV C
 ロス周辺の新興エレクトロニクス・メーカーと初め軽く受けとっていたが、どうしてどうしてこの4年の中に、オーディオ界ではもっとも成功を収めたアンプ・メーカーだ。それだけに製品の完成度の高さと漉さは、抜群だ。プリIMと接続した状態で端正で品のよいサウンド。数あるトランジスタ製品中ベストの音色をはっきりと知らせたあたり、実力のほどをもう一度思い知らされろ。個性的でスッキリしたデザインはサウンドにも感じられる。

Lo-D HMA-2000
 やっぱり日本産業界切っての大物「日立」、やることが違う。というのがこのアンプのすべてだ。果しなくパワーを上げていくと、遂に突如、ひどくなまってくるのに慣らされた耳に、このアンプは不思議なくらい底知れずのパワー感がある。つまり音が冴えなくなる、という限界がないのだ。それはテクニクスに似てもっと耳あたりのよいサウンドの質そのもののせいといえる。日立のオーディオ界における新らたる実力だ。

フェイズリニア 700B
 そっけないくらいの実用的ハイパワー・アンプ。350/350ワットで700ドル台、日本でも40万円台と類のないハイCPのスーパー・アンプだ。今度バネルレイアウトを一新して、マランツ500そっくりのレベルメーターを配し、左右の把手のゴージャスな巨大さは、700ワットという巨人ぶりを外観にのぞかせたグッドデザイン。音はそっけないはどさっぱり、すっきりしているが、底ぬけのハイパワーぶりは低音の迫力にいやおうなしに感じられる。

マランツ Model 500
 今日マランツ社には創始者のMr.ソウル・マランツはいない。しかし、マランツのソウルは今もなおマランツの全製品に息吹いている。それをはっきりしたサウンドだけで聴くものに説得してくれるのが、モデル500だ。250/250ワットのアンプながら、それはもっと底知れぬ力を感じさせるし、モデル15直系の、音楽的な中声域の充実された華麗なサウンドはちょっと例がない。しかも現代のアンプにふさわしい豪華さを具え、この上なく超広帯域だ。

ダイナコ Stereo400
 なにしろ安い。アチラで600ドル、日本でも30万円で200/200ワットのジャンボぶり。すでに普及価格の高級アンプで定評あるダイナコの製品だけに前評判も高く、それらの期待に充分応じてくれる性能とサウンド。高音域のおとなしい感じもいわゆるウォーム・トーン(暖かい音質)というダイナコ伝統のマニア好み。うるさいヒトほど惚れ込んでしまう、うまい音だ。ボリュームを上げて行くと、分厚い低音の確かさにも一度惚れ直す。

ダイヤトーン DA-P100 + DA-A100
 ダイヤトーンのプリアンプの端正なたたずまいは、なにかマランツをうんと品よくしたといいたくなるような優雅さをただよわす。管球アンプを思わすパワー・アンプのゴツイ形態は、いかにもパワー・アンプだ。それはひとつの目的、エネルギー増幅の実体をそのまま形に表わした、とでもいえようか。このコンビネーションのサウンドはまた実に品のよいサウンドで、いかなるスピーカーをもこの上なく朗々と鳴らす。まさに、アンプはスピーカーを鳴らすためにある、ということをもう一度教えてくれるアンプといえそうだ。
 100/100ワットと今や、やや小ぶりながらひとまわり上のパワーのアンプとくらべても聴き劣りしないのは充実した中声域にあるのか、あるいはその構成の無理なく単純化された回路にあるのか。あまりワイド・レンジを意識させないのに、深々と豊かな低域、すき透るように冴えた高域、なぜか手放せなくなるサウンドだ。

パイオニア Exclusive C3 + Exclusive M3
 ズラリ並んだ国産アンプ中、スッキリとした仕上げ、にじみ出てくる豪華な高級感、加えて優雅な品の良さ。やはりパイオニアの看板製品にふさわしく、もっとも優れたデザインといえる。
 このデザインは、サウンドにもはっきりと出て、品の良さと底知れぬ迫力とを同時に味わせてくれろ。やや繊細な音のひとつぷひとつぶながら全体にはゆったりとしたサウンドはこうした超高級アンプならではで、さらに加えて「パイオニア」らしいともいえようか。このM3にさらにAクラス動作50W+50WのアンプM4が加えられるという。A級アンプというところに期待と限りない魅力を感じさせる。待ち遠しい。

アムクロン DC-300A
 ギラギラした独特のヘアライン仕上げのパネルは、いかにも米国製高級趣味といえようか。でもこのアンプの実力は、その製品名の示す通り、ラボラトリ・ユースにあり、直流から数100万ヘルツという超広帯域ぶり。ガッチリと引き締って、この上なく冷徹なサウンドが、なまじっかの妥協を許さない性能を示していも。米国でのハイパワー化のトリガーともなったこのDC300、今日でもずばぬけた実力で、マニアならマニアほど欲しくなりそう。

マッキントッシュ MC2300
 ここでとやかくいうまい。SJ試聴室のスタンダード・アンプというより今やあらゆるアンプがハイパワー・アンプとしての最終目標とするのがこの2300なのだから。サウンドの管球的なのもつきつめれば、出力トランスにあり、このアンプのあらゆる特長となっているサウンドに対する賛否もここに集約されるが、誰もが説得させられてしまう性能とサウンドに正面切ってケチをつけるやつはいまい。

サンスイ AU-9500
 黒くてデッカクて、やけに重いアンプ。山水の9500は75・75ワットっていうけれど、どうしてどうして、100/100ワットのアンプと互角以上にその力強い馬力をいや応なしに確かめさせてくれる。,
 ECMのすざましいばかりのドラムは、このアンプの13万なんぼというのが信じられないはどに力いっぱい響いてくれる。SJオーディオ編集者のすべてが認めるこのジャズ向き実力はハイパワ一時代、まだまだ当分ゆるぎそうもない。

テクニクス SU-10000 + SE-10000
 以前、SJ試聴室での試聴では保護回路の敏感すぎから、実力を知るに到らなかった10000番シリーズ、今宵はガッチリとたんのうさせてもらった。さすが……である。
 なんとも高品質な迫力と、分解能の良さに改めて10000番の良さを確めた。一式95万と高価なのだからあたりまえといえなくもないが、金にあかして揃えられるマニアなら、やはり手元にぜひおきたくなるだろう。物足りないくらいの自然さは最終的なレベルといえるだろう。

スタックス
 A級150/150ワットというそのメリットよりもスタックスの製品というところにこのアンプの意義も意味も、また魅力も、すべてがある。世界でもっとも早くからスタテック・イクイプメントコンデンサー・カートリッジ、コンデンサー・・スピーカーをファンに提供し続けてきたスタックス。数々の幻の名器を生んできたメーカーの志向がアンプの特長の根底にずっしりとある。サウンドは、それこそまさにコンデンサースピーカーのそれだ。加えてローエンドの底なしの力強さに惹き込まれて時間の経つのも忘れさせるワンダフルな機器だ。(発売時期末定)

ラックス CL350 + M-150
 309のパワーアンプを独立させたのがM150。75/75ワットというパワーもそれを物語る。アンプの高級ファンをガッチリと把握している企画と音作りのうまさはM150でもっとも端的にはっきりと現われている。しぶいが落ちついた品のよいその外観と音。加えてソフトながらいかにも広帯域をと力強さにも感じさせるサウンド。物足りないといわれるかも知れないが、しかし飽きのこない親しさもまた大きな魅力なのだ。

ESS/BOSE
 日本にはこれから入ってくるだろうと予想される話題のスーパー・アンプ2種。ハイル・ドライバーで一躍注目されてるESSのモデル500。みるからどでかくゴツい力強さを外にまでみなぎらせて、早く聴きたいアンプだ。
 もうひとつはペンダゴン型ボックスのスピーカーで有名なボーズのアンプだ。これは品のよいスマートな個性で粧おいをされた豪華大型。インテグラル・システム100/100ワットで200ドルと安いのが早くも出てきおったぞ。

アキュフェーズ C-200 + P-300
 国内製品では実力ナンバーワンを目されているのが、ケンソニックのP300だ。このところ目白押しの国内ハイパワー・アンプ。なんてったって世界市場を意識して企画され、価格を設定されたというところにこのケンソニックのすべての製品の特長と意義がある。つまりケンソニックのアンプは実力を世界に問うた姿勢で作られているわけで、逆にいえば世界のマニアに誇れる高性能を内に秘めてもってことになる。
 事実、このアンプをマッキンと較べ、マランツと比べても、一長一短、ブラインドで聴かせれば、どちらに軍配が上がるか率は半々。透明度の高さ、中域の緻密さにおいて特にすぐれ、高域の明るさと、低域の豊かさにおいて聴く者を魅了してしまう。
 プリアンプC200のこの上なくナチュラルな音に、P300の良さはますます高められて国産ハイパワー・アンプの大いなる誇りを持つものにじっくりと味わしてくれる。
 かくいうこのオレも、P300、C200のスイッチを入れない日はなく、メイン・システム、ハークネスはP300のスピーカー端子にガッチリと固定され、ひんばんに変っていたアンプが変わる気配もない。

マッキントッシュ MC2300

菅野沖彦

スイングジャーナル 5月号(1973年4月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

 マッキントッシュ、この名前は名実共に世界長高のアンプの代名詞として、オーディオの好きな人々の中では重味のある響きをもって語られている。マッキントッシュはアメリカのニューヨーク州、ビンガムトン(ビングハントンと発音するのは誤り)に本社をもつアンプ中心のオーディオ専門メーカーである。筆者は縁あって同社を何回も訪れるチャンスがあり、マッキントッシュ氏を始め、副社長のガウ氏、技術担当重役のコーダーマン氏などと親しくしているが、比較的小規模の同社が真に高級品のメーカーとして卓抜の技術とクラフトマンシップ、そして独自の経営理念にもとずいて益々ならぬ努力の結果、現在の地位を築いたことをよく知っている。
 マッキントッシュのアンプは、あらゆる点から見て優れたものをもっているが、だからといって全ての点で、現在のオーディオ技術の頂点に立つ最新のテクノロジーと、完壁な高級パーツによる仕上げであるとは断言できない。むしろ、そのアンプの回路構成には頑固なほど古い思想が入りこんでいるし、必ずしも最高のパーツの集積ともいえない。しかし、一つの商品として、絶対の信念の結びついたまとめの巧みさ、それは同社が標榜する高度の信頼度と、それを裏づける保証、最高級品として、それを持つ人の満足感を十分に満し得る製品としてのバランスと完成度の高さである。
 同社の現役製品としてはプリ・アンプのC28、パワー・アンプのMC2105が高級アンプの最高峰で、アウトプット・トランスを持つTrアンプというユニークなパワー・ステージの特長は、音質の面でも如何なく独特な風格と、優れた特性を誇っているのだが、ここに紹介するMC2300という製品は、その上をいく、むしろ特殊といってもいい、超高級品である。MC2300というアンプは、300W×300W(RMS)のパワー・アンプで、このパワーは、アウトプット・トランスがあるので、いかなる負荷インピーダンスにおいても、保証されている。混変調歪はフル・パワー時において20Hz〜20kHzにわたって0・25%以下、F特は同条件で20Hz〜20kHzにわたり+0、−0・5dB以下の範囲におさまり、ダンピング・ファクターは8Ω負荷時で14、入力電圧は0・5Vの感度をもっている。このアンプは管球式のモノーラル・アンプMC3500というアンプの発展型であって、これをTr化し、ステレオ・アンプとしてまとめたものと考えられる。シャーシやパネルのデザインも共通のイメージで、内容にふさわしい桁はずれに豪華なラボラトリー・スタイルである。
 なにしろ、300W×300Wという大出カアンプであるから、その音質は、デリカシーや透明感といった繊細な見方からしたら期待出来ないのではないかと思われるかもしれないし、事実、大パワー・アンプにはそうしたものが少くないのだが、このMC2300を実際に使ってみて、それが全くの危惧であったことがわかった。このアンプの音は、小出力時にも、大出力時にも、従来のアンプのイメージをひっくり返す余裕のある堂々たる響きの中に、充分なデリカシーをもった再現が聞かれる。残留ノイズがやや大きいが、これはマッキンのパワー・アンプに共通の欠点。とにかく、これで聞くと、あと他のアンプで聞くのが嫌になるといっても過言ではない次元のちがいとでもいったものが感じられ、音像の一つ一つが生き生きと浮き上がり、深みと奥行が再現されるのであった。
 アクエリアス・ブルーのイリュミネイションに照らされた大型の二個のピーク・レベル・メーターをもったパネルの迫力、130ポンドという一人では持ち上らない重量、すべてのイメージがアンプという概念を変えさせるような超弩級のアンプ、MC2300はハイ・パワー・アンプの現時点における最高峰といってよいだろう。価格も当然、凄く高価だが、それを払うことができる入にとって、その気になれば、これだけのアンプが存在するということは幸せなことに違いない。勿論本来はマッキントッシュでも、これをラボラトリー・ユースとして考えていて、カッティング・ヘッドのドライヴ、スタジオのモニター・ドライヴなど、プロフェッショナル・エクイプメントであることはいうまでもないが……。マニアなら一生のうちに、このぐらいのアンプを持ちたいと憶がれるのも私だけではあるまい。