アルテックのスピーカーシステムSantana、Malagaの広告(輸入元:エレクトリ)
(スイングジャーナル 1971年6月号掲載)
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アルテック Santana, Malaga
アルテック Malaga
瀬川冬樹
ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より
10号のブラインド・テストのときのものと違って、3000Hトゥイーターが追加された方のモデルである。
419Aユニット一本だけの方は、あまりにも逞しく、押しつけがましいほどの饒舌さに閉口したが、3000Hが加わると、3kHzからの変化でこうも全体の音質が変るのかと驚くほど改善される。いまさらながら、3000Hのすばらしさに感心させられる。IIILZのぜい肉のない細身な感じとは正反対に、赭ら顔の太ったアメリカ人に、大きな声で元気よくあいさつされているような感じの、野放図といいたいような元気さはむろん同じだが、高域が素直によく伸びているため、適度に繊細感が加味されて、バランスの良い音質になっている。ただ、メディナ同様に、419Aも、ほんらいはもっと大型のエンクロージュアで本領を発揮するユニットだ。
採点表
大編成:★★★★
小編成:★★★
独奏:★★★
声楽:★★★
音の品位:★★★
音のバランス:★★★★
音域の広さ:★★★★
能率:★★★★★
デザイン:★★★★
コストパフォーマンス:★★★
(推薦)
アルテック Malaga
アルテック Malaga
アルテック Malaga
アルテック BF419 Malaga
菅野沖彦
スイングジャーナル 3月号(1970年2月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より
今月は、ジャズの本場アメリカで生れて育ったスピーカーがベスト・バイとして取り上げられることになった。
スピーカー・メーカーの名門アルテックの419Aと3000Hの2ウェイ・システムである。
アルテックの419Aは30cm口径の全帯域型スピーカーとして、既に本誌でも新製品として紹介したが、これを組み込んだものが、通称マラガという名前のシステムである。そして、この〝マラガ〟は、後日、3000Hトゥイーターを附加して2ウェイに出来るようになっているのだが、なんといっても、30cm口径の全帯域では高域はやや不満で、システムとしては3000Hがついて完成の域に達するといってよい。
アルテックのスピーカーの全体的傾向といってもよいが、このシステムの中音域の充実と、高能率による明るく抜け切ったサウンドの魅力は他のいかなるスピーカーからも味わえない圧倒的な迫力で、これほどジャズの再生に適したものも少なかろう。デンシティの高い音は、楽器のイメージをきわめてリアルに再現するのである。
マラガについて少し具体的な説明を加えると、エンクロージュアは、ブック・シェルフ・タイプで、パイプ・ダクト・タイプのテユーニング・ポートをもった位相反転型の変形である。これは、419Aを極力コンパクトにまとめるべく設計されたもので、輸入元のエレクトリが完成した。419Aは中央にドーム・ラジエーターをもち、頂角の異った二重コーンをもった特殊構造のスピーカー・ユニットで1kHz以下を外側のコーン、それ以上を内側のコーンでラジエートするようになっている。アルテックではこれをバイ・フレックスと呼んでる。3000Hはアルテック唯一のトゥイーターで、本来2ウェイを主力にしている同社の大型システムの中高域ドライバー・ホーンは高域まで十分にカヴァーするので、このトゥイーターはあまり使われないが、この全帯域用と組み合わせると大変うまくマッチして、419Aの音のスケールと品位を一段と高めるのである。このトゥイーターは繊細で柔い、しなやかな高音を持ち、これが、ダイレクト・ラジエーションのコーン・スピーカーの中高音域のキャラクターと自然に連るのである。419Aのもつソリッドな中高域にのって、美しいハーモニックスを再現し、ジャンジャン、シンバルの金のアタックと余韻にふるえるハーモニックスが生き生きと響く。そして、とかく、もぐり勝ちなスネアーやトムトムの張りのある音の鳴りも抜群である。欲をいうと、内容積が小さいので、低域ののびがもう一息といったところだが、アンプのほうで少しブーストしてやればよいだろう。
私は、このシステムに準じたものを可搬型のモニターとして使っているが、あまり音がよいので、録音時のアラさがしがまどわされるぐらいである。しかし、これで、プレイバックした音には、今までセッションにつき合った多くのジャズ・メンが満足の意を表してくれた。アルテックのもつ血の通った、生命力溢れる音には、製作者も意識しない、血と伝統、風土が生きていると思う。この強い訴えをもった音は、プレイヤーの感情の起伏をあり
ありと伝えてくれるのである。日本のジャズメンでは渡辺貞夫が、このシステムを愛用しているし、ジョージ大塚もお気に入りだ。また、近々新宿のピットインの二階の試聴室にも入るようだから機会があったら聞かれることをおすすめする。ジャズ向きのスピーカーというのがあるかないか? などとよくいわれるが、あるとすれば、このシステムなどはもっともジャズ向きといってよいのではなかろうか。それは、このシステムが全帯域のバランスというよりは、音そのもののガッツの豊かさに特長があるからである。
アルテック Malaga
アルテック BF419 Malaga
アルテック BF419 Malaga
菅野沖彦
ステレオサウンド 10号(1969年3月発行)
特集・「スピーカーシステムブラインド試聴」より
クオリティは大変高い音だと思う。締まっていて硬軟合わせもった緻密で腰のしっかりした音だ。しかし、高低域がのび切らず、レンジの狭さがなんとしても気になる。オーケストラの中でのオーボエなどのソロでは魅せられるほど素晴らしい音を聴かせてくれているのに、テュッティになるとバランスせずスケールがくずれる。ただし、ジャズにはマッシヴな中域がものをいって充実した再現が得られ迫力ある安定した再生音が得られた。驚異的な高能率。
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