瀬川冬樹
ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より
011、022と聴きくらべると、さすがに大型になっただけのことはあって、低域の豊かさが格段に向上してくる。もちろん低音だけでなく全体のスケール感が大型になって、011が小型の割には朗々とよく鳴るという感じであるのに対して、033はもっと楽々と音が出てくる感じになる。中音域は011のやや抜けた感じよりも022のどちらかといえば張り出す印象に近く、022ほどではないにしてもクラシックのオーケストラの強奏でむずかにキャンつく傾向が聴きとれる。やはり本質的にポピュラー系の音感でまとめられたスピーカーであることを感じる。ただし中域から高域にかけての音のバランスや質感が改善されれば、クラシック系もこなせるだけの素質は持っている。この製品はあまり高くない(30~40センチの)台に乗せ、背面を壁に密着させて置く方がバランスがよかった。011との価格差を考えあわせると、022よりは033の方が、あきらかに高価になっただけの値打があると思う。
最近のコメント