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ジュエルトーン JT-333, JT-555

井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 JT555は、ソフトで粒立ちが細かく滑らかな音である。全体に音を軽く柔らかく表現するために、汚れがなくキレイであるのはよいが、やや性質が消極的で実体感や力感不足の面があり、コントラストがつきにくいようだ。ヴォーカルはクッキリとは立たないがナチュラルな軽さがあり、プログラムソースの性質によっては誇張がないメリットにつながるようだ。
 JT333はJT555にくらべ、音に若さがあり、反応も早く、スッキリとストレートに音を出してくる良さがある。音の粒子は細かく、かなり磨かれており、柔らかで耳あたりがよく性質も素直である。バランスは、全域にわたりよくコントロールしてあるが、低域が少し甘く、いま少し腰が強い表現が欲しい印象である。

ジュエルトーン JT-333, JT-555

岩崎千明

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 ジュエルトーンは、一般的にはこれまでその名をあまり聞かなかった新しいブランド名だが、そのキャリアは、比較的永い。
 ここでとり挙げているJT333、JT555は、ともにソリッドブラックと呼ばれるカーボン繊維を使用したカンチレバーが使われているのが特徴だ。
 このふたつのカートリッジに共通していえることは、全体的に広帯域を目指しているのだが、中域のある部分で機械的な共振と思われる部分があるという点だ。
 音の傾向として、JT555はウォームトーンであり、音像はふやけ気味な点が気になるところといえよう。それに対してJT333は、クリヤートーンといえる。両者とも全体に広帯域であるという感じはするが、高域に少々ヒステリックな一面をもつ。