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Lo-D HS-340MKII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 36号(1975年9月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(上)最新40機種のテスト」より

 日立のスピーカーは、従前の製品には一種弱々しい感じがあったが、新しい製品は一変して、硬質の、線の太い、力強い音を鳴らしはじめた。例えばHS500の高音には、金属の細い弦がピンと張りつめて振動しているのがわかる、というような、爽やかな濃やかこさが聴きとれたが、新シリーズのトゥイーターの音は、それより表情が固くいわば清涼感のような要素が出にくいし、ことに肉声の唇のぬれた感じ、声の艶、あるいは空間にひろがってゆくような又は漂うようなひろがりや繊細なニュアンスを、一切断ち切ってしまうような鳴り方をする。低音はたしかに以前のような薄手の弱々しい感じではなくなったが、しかし聴感上の低音の豊かさが不足している。このクラスとしてはファンダメンタルがよく出ているのだが、おそらく低音楽器の低次の倍音領域のエネルギーが不足しているのだろう、楽器の弾みや豊かな表情が出にくいタイプである。全域を通して歪みっぽい音をよく抑えているのはさすがローディストーションの命名に恥じない。