瀬川冬樹
ステレオサウンド 18号(1971年3月発行)
特集・「FMチューナー最新33機種のテストリポート」より
FMオンリーのチューナーで、ダイアル目盛がパネルの下の方にあるというのが変っている。これは、同社の有名なテープデッキA77や、プリメイン・アンプA50とパネルのパターンを共通に統一したためであるが、光線の当り具合によってはひどく安っぽい光りかたをして、高級感を損ねるように思われ、個人的にはかなり抵抗を感じる。
ダイアルスケールはやや短かく、有効長12センチ強の等間隔目盛。文字の書体や照明の色など、かなり大まかな印象。指針の位置がやや見えにくい。
ランプによるマルチパス・インジケーターを内蔵しているのは大きな特徴で、反射の多い地域でアンテナの向きを調整するのに役立つことだろう。
音質はたいへん素晴らしい。中低域に暖かみがあり、全体にツヤがある。音の躍動感がよく再現され、音像の定位がよい。なおこれもQUAD同様、受信バンドとイクォライザー特性を日本で変更・再調整したものである。価格も相当なものだが、輸入品の場合は、国産の同等品のほぼ二倍ていどの価格になっていると考えるべきで、性能を評価する場合にも、その点に留意しなくなはならない。
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