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フィリップス EG 9000

井上卓也

ステレオサウンド 60号(1981年9月発行)
「MCカートリッジ用トランス/ヘッドアンプ総テスト──(下)」より

 筐体上部の3系統のアーム切替とパスを含み3Ωと40Ωに切替えるダ円形のバーチカル型スイッチに特徴がある昇圧トランス。
 聴感上の帯域バランスは、ナチュラルに伸びたトランスとしてはワイドレンジ志向型で、柔らかな低域と軽快さがあり、反応が速いフレッシュな中高域から高域が特徴である。音の粒子は細かく滑らかでスッキリと粒立ち、細身で爽やかな印象は独特の魅力がある。
 MC20は、オルトフォンSTA6600Lを軽快にしたサウンドとなる。305はこのトランスとマッチングが良く、スムーズに伸びたワイドレンジ感と、適度に反応が速く、フレッシュでスッキリとした美しい音を聴かせる。音場感の拡がり、音像定位もシャープで小気味のよい音だ