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ダイヤトーン DS-40C

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 先の401同様ハニカム構造コーンを採用したウーファーをもつ3ウェイだ。やはりクリアーで濁りのない、あくまで屈託なく音を前に押し出してくる大型フロアーの良さが満喫できる。

ダイヤトーン DS-40C

井上卓也

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

明るく伸びやかな音のリーゾナブルな価格の中型フロアーが魅力だ。

ダイヤトーン DS-40C

黒田恭一

ステレオサウンド 44号(1977年9月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(上)」より
スピーカー泣かせのレコード10枚のチェックポイントの試聴メモ

カラヤン/ヴェルディ 序曲・前奏曲集
カラヤン/ベルリン・フィル
❶ピッチカートのひびきがまろやかでいい。木管の音色もいい。
❷もう少し力があってもいいように思うがすっきりしたよさがある。
❸フラジオレットの特徴的なひびきがよくでている。
❹もう少しひびきにつやがほしいが弦の響きの美しさはでている。
❺ひびきのゆたかさと力が充分でない。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番
ブレンデル/マリナー/アカデミー室内管弦楽団
❶音像は小さめでこのましいが、ピアノの音に力がほしい。
❷音色的な対比は示せている。薄味のひびきにとどまる。
❸ひびきがもう少し軽やかでいいだろう。
❹きめこまかく示すが、幾分しめりがち。
❺かなりオンでとっているようにきこえる。

J・シュトラウス:こうもり
クライバー/バイエルン国立歌劇場管弦楽団
❶子音がいつくひびく。音像はふくらみがちだ。
❷接近感は示すが、定位が鮮明ではない。
❸クラリネットの音色はよく示すが、声とのバランスはよくない。
❹はった声は硬くなり、声のしなやかさがなくなる。
❺とがったひびきが強調ぎみになる。

「珠玉のマドリガル集」
キングス・シンガーズ
❶ひびきの目がつまりすぎているので、定位がすっきりしない。
❷まろやかなひびののよさはあるが、鮮明さがたりない。
❸残響をぴっぱりすぎるためか、すっきりしない。
❹とけあってはきこえるが、各声部の動きは不鮮明だ。
❺ポツンときれずに、ある程度の余韻を感じさせる。

浪漫(ロマン)
タンジェリン・ドリーム
❶暖色系のひびきのためか、音色対比は充分でない。
❷ひびきの後へのひきがかならずしも充分でない。
❸ひびきに浮遊感がたりず、ひきずりぎみにきこえる。
❹前後のへだたりがあまりなく、空間がせまくきこえる。
❺ピークでは、ひびきが金属的になる。

アフター・ザ・レイン
テリエ・リビダル
❶ひろがりは一応感じられるが、ひびきに透明感が不足している。
❷これと❶での音との、サウンドの性格のちがいがはっきりしない。
❸他のひびきにうめこまれがちで、ひきたたない。
❹かなりめだってききとれる。ひびきに輝きがある。
❺一応ききとれるが、かならずしも効果的といえない。

ホテル・カリフォルニア
イーグルス
❶12弦ギターのひびきから角がとれすぎている。
❷サウンドの厚みは充分に示されているとはいえない。
❸かなり積極的に前にでてくるが、さわやかさがたりない。
❹切れがにぶいので、アタックの鋭さがでない。声はまずまず。
❺言葉のたち方は弱い。声とのとけあい方はよくわかる。

ダブル・ベース
ニールス・ペデルセン&サム・ジョーンズ
❶スケールの大きさは示すが、迫力ではたりないところがある。
❷指の動きの示し方は、かなり鮮明だ。
❸かならずしも余裕をもって示すとはいいがたい。
❹こまかい音の動きに対応するのは得意ではないようだ。
❺サム・ジョーンズの音色の示し方に問題がある。

タワーリング・トッカータ
ラロ・シフリン
❶ドラムスに力が不足しているので、にぶい。
❷ブラスのつっこみはそれなりの効果をあげる。
❸せりだしてくるが、ひびきは幾分刺激的になる。
❹個々のサウンドを分離して示すより、とけあう傾向にかたむく。
❺幾分ふやけぎみで、めりはりがつきにくい。

座鬼太鼓座
❶尺八はかなり奥の方にひいた感じできこえる。
❷尺八の音色の特徴を、よく示した。
❸一応ききとれるものの、ごくかすかにきこえるだけだ。
❹スケールのゆたかさは示すが、力強さがたりない。
❺かならずしも充分にはきこえない。

ダイヤトーン DS-40C

瀬川冬樹

ステレオサウンド 44号(1977年9月発行)
特集・「フロアー型中心の最新スピーカーシステム(上)」より

 このスピーカーにとくに向いているプログラムソースは、たとえばシェフィールドのダイレクトカッティング・レコード等の鳴らす一種鮮烈なポップス系の音楽だ。そして音量をあまり絞らずに、少なくとも平均85dB以上、できれば100dBぐらいの平均音量になるくらいのパワー(本誌試聴室での場合、おおよそ3ワットから30ワット以上)を放り込んで鳴らすと、ブラスの輝きや迫力、あるいはパーカッションの力強さや弾みがおもしろいように浮かび出て、聴き手を楽しませる。ところがクラシック系の音楽、あるいはポップス系でも、とくに弦楽器や女声あるいは木管のように、しなやかさ、しっとりした艶、あるいは暖かい息づかいなどを要求したい傾向の楽器を、音量を絞って楽しみたいという場合には、このスピーカーの本来内包している力の強さが逆にマイナスになりがちだ。もしもそういう音楽までこなそうとする場合には、中域の張ったカートリッジやアンプを避けて、できるだけ繊細な表情の出る組合せをくふうしたい。試みにトゥイーターのレベルを一段絞ってみたが、ウーファーの中高域の張り出すところが逆に強調されてつながりが悪くなる。むしろ一段上げてこの鮮明な迫力に徹してしまう方がおもしろいと感じた。フロアータイプなので台は不要。背面は壁からやや離す方がよかった。

ダイヤトーン DS-40C

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 トールボーイ型のバスレフ・エンクロージュアに、30cmウーファーをベースとし、コーン型トゥイーターを組み合わせた、モニターシステム的な印象の製品である。ウーファーには、独得な低歪化のための磁気回路が使われ、トゥイーターコーンの中央に軽金属キャップが付いているあたりは、新しい製品らしいところで、DS−50Cの重厚さにくらべれば反応が速く、鮮明で伸びやかな音が、このシステムのフレッシュな魅力である。

ダイヤトーン DS-40C

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 先に発売された50Cの音は、私には少し目の詰りすぎのように聴こえて、40Cの音の方が気楽に聴ける。価格的にはSB6000などとぶつかる製品だろうが、その音は全く対照的で、SB6000が音像をスピーカーの奥にひろげて展開する鳴り方ををするのに対して、DS40Cは音像をむしろ固めて押し出すような感じで鳴る。力や迫力ではダイヤトーン、空間の表現力ではテクニクスと、それぞれに特長がある。

ダイヤトーン DS-40C

井上卓也

ステレオサウンド 41号(1976年12月発行)
「SOUND QUARTERLY 話題の国内・海外新製品を聴く」より

 ダイヤトーンの新しいフロアー型システムは、既発売の3ウェイ構成のフロアー型DS50Cのシリーズ製品として開発された、2ウェイ構成のシステムである。
 エンクロージュアのプロポーションは、いわゆるトールボーイ型で、一般的なブックシェルフ型システムをタテ方向に伸ばしたようなタイプであり、床面積をあまり広く占有しないため設置上での制約が少ない利点がある。バッフルボード上のユニット配置は、変調歪みが少なく、椅子に座ったときに、音軸が耳の位置とほぼ同じ高さになるように位置ぎめされている。
 低音用の30cmウーファーは、バスレフ型エンクロージュア専用に設計してあり、クロスオーバー周波数付近の特性を良くするために、コーン紙はコルゲーション入りのいわゆるカーブドコーンを使っている。また、ボイスコイルにゴム製のダンプリングを付け、一種のメカニカルフィルターとして、ウーファーの高域特性をコントロールしている。エッジは、熱硬化性樹脂と念弾性樹脂を混合し、数回にわたりコーティングしたクロスエッジで、さらにその上から特殊なダンピング処理をしてある。
 磁気回路は、今回もっとも重点的に改良された部分である。一般の低歪磁気回路は、ポールピースに銅キャップをつける方法や硅素鉄板の積層材を使う方法があるが、ダイヤトーンで新しく開発した方法は、ポールピースに特殊な磁性合金でつくったリングをつける方法で、磁気回路での非直線歪みが、ボイスコイルにリアクションをして音の歪みとして再生されることを大幅に低減している。歪率の低下は、周波数によっては、1/10と発表されている。
 磁気回路のマグネットには、ダイヤトーンは、ウーファーに限りフェライトマグネットを使わないのがポリシーであったが、新しい低歪磁気回路の開発により、フェライトマグネットを採用しても低歪磁気回路の採用で、総合的な性能としては鋳造マグネットを上廻る、として、初めてフェライトマグネットが採用されているのも、新しいシステムの特長であろう。
 トゥイーターは、5cm口径のコーン型ユニットだが、センタードームが円錐形の独特な形状をしているためにセミ・ドーム型と呼ばれている。磁気回路は、クロスオーバー付近の特性を良くするために、磁束密度14000ガウスの強力磁気回路による磁気制動と、バックチャンバー容積を大きくして振動系を臨界制動で動作させている。なお、バックチャンバーは、楕円形でチャンバー内の残響をコントロールして、トランジェントの悪化を防いでいる。
 DS40Cは、バスレフ型の豊かな低音の味わいと、2ウェイらしいスッキリとした音がバランス下、ダイヤトーンらしい音である。低歪化のためか、クロスオーバー付近の硬さがなく、量的に不足しないのがメリットで、音像定位は明瞭で安定しているのは、ダイヤトーンの伝統である。