Tag Archives: DS-A1

ダイヤトーン DS-A1

井上卓也

オーディオ世界の一流品(ステレオサウンド別冊・1994年春発行)
「世界の一流品 スピーカーシステム篇」より

 ダイヤトーンのコンシューマー用スピーカーシステムは、受注生産となったDS−V9000、V5000、V3000のシリーズと、中堅モデルとして開発されたDS2000Z、1000Z、800Z、600ZをラインナップするZシリーズがその基本路線であり、同社の標榜する「ダイヤトーン工房」的な構想のモデルが、スペシャリティモデルのDS20000や、このDS−A1と考えることができる。
 DS−A1は、最初に目に触れたのがプロジェクションTV用スクリーンの両脇に置かれた総合カタログであったため、AV用システムとの誤解を招いた。基本的にはディフラクションを避けるために楕円断面のエンクロージュアを設計し、その天板部分をラウンド形状とするプロポーションがベースであり、各社ともに、このタイプのエンクロージュアを試作し検討した例は多い。これを実際に商品化するモデルとして、制約のなかで出来上がったプロポーションが本機採用のデザインであろう。
 本機に組み合せるユニットは、新世代のデジタルリファレンス放送モニター、2S30003のユニット開発の成果が投入されたもので、B4C・5cmコーン型高域と三軸織りアラミッドスキン・ハニカム振動板と三軸織りエッジは、システム価格をはるかに超えた超豪華設計といえる。低域用のネットワークレスの全域ユニットは、2S30003直系の設計である。エンクロージュアは剛性重視設計ではなく響きの豊かさを狙った設計で、開放感があり、のびやかによく鳴り、これは本機以降の同社システムの新しい方向性のようだ。
使いこなしポイント
 全域ユニット+トゥイーターの2ウェイ方式とバスレフ型の組合せは、反応がシャープかつセンシティヴで、プログラムソースに素直に反応するため、オーソドックスなアンプが不可欠。設置周囲の影響にも敏感で、設置には細心の注意が必要だ。